結局何を食べれば良い?サッカー選手の試合前後食事を徹底解剖part2
前回は、サッカー選手の「試合前・当日」の食事についてお伝えしました。
試合前・当日は基本的な食事のカタチは変わらないものの、少し普段の食事とは異なり「高糖質食」が望ましいことが理解いただけたかと思います。
今回は、試合の後の食事についてお伝えします。
試合前日や当日はその試合のパフォーマンスに影響するため重要なことはよく知られていますが、実はその後に必要なタイミングで必要な食事がとれているかによって翌日のパフォーマンスは変わる可能性があります。
特に、試合期で連戦の場合はリカバリーが十分にできているかで、翌日の試合のコンディションは左右されます。
試合後に「なにを」「どのくらい」食べればよいのかを知り実行していくことで、パフォーマンスを今以上にあげていきましょう。
試合後の食事は時間経過ごとに食べるものが変わる
≪試合直後20分以内の食事はどうするか≫
試合日程が集中している時期は早期回復を目指すことに重点を置くため試合終了後は速やかに糖質摂取を行う必要があります。
糖質摂取の目安としては、体重1㎏あたり、糖質1.2gです。
例えば、体重75㎏のアスリートの場合糖質量は90gとなり、食品例を挙げると市販のエネルギーゼリー(1本糖質45g程度)2本分です。
もしくは、バナナ2本+エネルギーゼリー1本でもほぼ同様の糖質量の摂取ができます。
こうなると、やはり糖質メインの食事かのように思えますが、もう1つ方法があります。
それは、試合終了直後に体重1㎏当たり糖質0.8g+体重1㎏当たりたんぱく質0.4gを摂取する方法です。
例えば、体重75㎏のアスリートの場合糖質60g+たんぱく質30gの摂取となり、食品例を挙げると、市販のエネルギーゼリー1本半もしくはバナナ3本+プロテインパウダー1杯強(プロテインパウダー1杯当たりたんぱく質20g)です。
プロテインパウダーを、プロテインバーやプロテインゼリー等に置き換えることもできます。
もしくは、たんぱく質を強化したヨーグルトやギリシャヨーグルトの活用もできます。
●ギリシャヨーグルト…糖質量:12g たんぱく質量:10g
●たんぱく質を強化したヨーグルト…糖質量:10g程度 たんぱく質量:10g(※成分の数値は商品1個当たりの目安で、商品によって多少異なります)
これらを使用すると、ギリシャヨーグルトやたんぱく質を強化したヨーグルトを3つとバナナ1本が適量となります。
自身の嗜好や、食事をする環境を加味した上で合う方法を見つけていきましょう。
≪試合直後30~60分後の食事はどうするか≫
試合後の食事をとるまで糖質補給が継続されることが筋肉の中に糖質を蓄えるためには重要です。
試合直後の補給の後はしっかりとした食事がとれるまで30~60分おきに、体重1㎏当たり糖質0.6g~1.2gの糖質を摂取し続けるようにしましょう。
体重75㎏のアスリートの場合、30分ごとにエネルギーゼリー1本かバナナ2本を食べるようにするか60分ごとにエネルギーゼリーを2本のむようにできると良いです。
≪試合終了後3時間以内の食事はどうするか≫
上記のような補食をとって繋ぎ、試合終了後3時間以内にバランスの良い食事をとることが必要です。
極度の疲労により食欲が低下しやすいため試合後のメニューは喉ごしの良いものや、食欲を高めるために、好きな食事(低脂質が基本)や香辛料をうまくつかったものを取り入れることが工夫点として挙げられます。
≪就寝までの食事はどうするか≫
試合後にバランスの良い食事がとれたら次は、就寝までの間は損傷した筋肉の修復のため3時間ごとのたんぱく質補給がとれると理想的です。
3時間ごとにタンパク質摂取を意識してきましょう。
この場合、体重1㎏あたりたんぱく質量は0.25g~0.30gが適量であるため、体重75㎏のアスリートの場合1回当たり18~23gとなり、サラダチキンやギリシャヨーグルト、プロテイン等で補給が妥当でしょう。
試合後まで食事を考えることが一流選手の証
試合前の食事や補食を気にしている選手や保護者・指導者は多いものの、試合後の細かい部分まで気にかけている人は多くありません。
しかし、試合が続く時期こそこういったところまで意識し実行することが、コンディションよく戦い続けられる身体をつくることに繋がります。
参考文献:エビデンスの基づく競技別・対象別スポーツ栄養 建帛社 p65
執筆者
広瀬 陽香
(ひろせ はるか)
【セミナー】
・ヤングリーグ
大阪公立野球部
九州大学野球部
・水泳
選手や、ジュニア期(中学~高校生)アスリートの保護者の方など
【個人サポート】
・野球
全日本選手権出場
・バスケ
全国中学校バスケットボール大会優勝校
・陸上
日本インカレ出場選手
個人サポート・セミナーやSNSでの情報発信を通じて、ジュニア期アスリートの『成長』の大切さと”自ら考え、実践できる選手”が1人でも多く増えることをテーマとしてスポーツ栄養士として活動している。