スポーツ貧血とは?パフォーマンス低下の原因を徹底解説!
「すぐに息切れする」「周りと比べて早く疲れやすい」「疲労感がずっとある」といったパフォーマンスの低下を感じ、悩んでいるアスリートはいませんか?
またそれを『スポーツ貧血』と疑ったことはありますか?
本当は貧血なのに、「練習についていけない自分はダメだ」と感じてしまう選手もいます。
しかし、貧血は血液検査の結果で判断されるため、上記の症状を感じるからと言ってスポーツ貧血とは限りません。
ここでスポーツ貧血という存在を知ることでそれを疑い血液検査に行くという選択肢が増えます。
的確な診断により、スポーツ貧血によるパフォーマンス低下を抑えることができます。
パフォーマンス低下の要因を1つでも減らし、熱く楽しくスポーツに取り組みましょう!
貧血とはどういう状態か
貧血というのは「何らかの原因」により、赤血球数やヘモグロビン量の減少により起き、低酸素状態をもたらします。
「何らかの原因」の多くは以下の通りです。
≪希釈性貧血≫
血漿量(血液中の液体成分)の増大による血漿希釈により起きる
トレーニングに伴い血漿量が増加することで、血液全体(血漿+血球)の濃度の低下を起こしている状態です。液体部分の増加により、希釈という名の通り血液が薄まっています。
そのため、他の貧血のように赤血球やヘモグロビン量が減少しているわけではありません。
これはみかけの貧血であり、実際の貧血とは少し異なります。
トレーニングの初期に起こりやすいとされていますが全てがそうとは限りません。疲れやすい、息切れや動悸が続くようなら病院に行かれることをお勧めします。
≪溶血性貧血≫
血球破壊による溶血・ヘモグロビンの体外への損失により起きる
陸上競技、剣道、柔道、空手、バレー、体操競技など、足底に物理的な衝撃が加わることで赤血球の破壊が起こります。
靴を履いてのスポーツでは靴のソールを変えるなどにより良くなることもあります。
この貧血は赤血球が新しくできれば回復していきますが、疲れやすい、息切れや動悸が続くようなら病院に行かれることをお勧めします。
≪鉄欠乏性貧血≫
体内鉄の不足・赤血球合成材料の不足等様々な理由で起きる
最も頻度の高い貧血です。
この漢字のようにヘモグロビン(赤血球の成分)の材料である鉄が欠乏(不足)することで起きます。
今回は、特に多い鉄欠乏性貧血についてピックアップしてお伝えします。
ヘモグロビンは酸素の運び屋
なぜヘモグロビンが少なくなると、貧血(低酸素状態)になるのでしょうか。
それは、ヘモグロビンが酸素を全身に運ぶという役割を持つためです。
ヘモグロビンが減少するということは、酸素が全身に行き渡りにくくなり、息切れや疲労が起きることに繋がります。
そのため、鉄欠乏によるスポーツ貧血は、より酸素を多く必要とする持久系のアスリートのパフォーマンスの低下などが特に目立ちます。
鉄が不足する理由
鉄が不足する理由は大きく分けて3つです。
①鉄需要の増大
②鉄摂取不足
③鉄損失の増加
主な原因は以下の表のとおりです。
特に、成長期の女子アスリート選手はこれらの要因の上に「月経」もあるためより可能性が上がります。
運動量が多い選手や、食事を気にして減らしているような選手ほど注意が必要です。
アスリートの貧血診断基準
貧血診断基準の1つであるヘモグロビンはアスリートと一般人では基準が異なり、アスリートのほうが基準値が高くなっています。
男性アスリートで14.0g/dl女性アスリートで12.5g/dl未満が貧血とされます。
これらの血液検査は、医療機関でしか行えません。
もし、症状がでてきたり、記録が伸びない、練習に自分だけついていけないなどあれば、一度病院などで診断してもらうことをお勧めします。
今回の記事を読んだ皆さんは視野がより広がり、自分自身やご家族の健康や成長を守りながら、競技を楽しめることを願っています。
次回は、スポーツ貧血を防ぐ食事についてお伝えします。
執筆者
広瀬 陽香
(ひろせ はるか)
【セミナー】
・ヤングリーグ
大阪公立野球部
九州大学野球部
・水泳
選手や、ジュニア期(中学~高校生)アスリートの保護者の方など
【個人サポート】
・野球
全日本選手権出場
・バスケ
全国中学校バスケットボール大会優勝校
・陸上
日本インカレ出場選手
個人サポート・セミナーやSNSでの情報発信を通じて、ジュニア期アスリートの『成長』の大切さと”自ら考え、実践できる選手”が1人でも多く増えることをテーマとしてスポーツ栄養士として活動している。