アスリートのファストフードとパフォーマンスの関係

ファストフードといえば、アスリートは食べてはいけないものというイメージがありませんか?
その理由として、よく「脂質量が多くなること」と「野菜の少なさ」が挙げられます。
定食型の食事と比較すると、脂質量が多くなってしまいます。
また、意識をしないと野菜量も少なくなることが多いでしょう。
これらの点からアスリートは避けるべき食品とよく言われています。
実際、アスリートの体作りやパフォーマンスにどのような影響がでるのでしょうか?
今回はファストフードと体作り・パフォーマンスの関係についてお伝えします。
ファストフードと定食の栄養価の違い
体作りやパフォーマンスは、その食品がどのような栄養素で構成されているかが関係します。
まず、エネルギー源になる三大栄養素を見ると、脂質量が圧倒的に多いのが、ファストフードの特徴です。
ある定食屋さんとハンバーガー屋さんのセットのカロリーと三大栄養素を比較してみましょう。
《定食 和風おろしハンバーグ定食 ごはん大盛り》
エネルギー:1004kcal
炭水化物量:140.8g
タンパク質量:31.3g
脂質量:37.9g
《ハンバーガーセット ポテトMサイズ・コーラ》
エネルギー:1037kcal
炭水化物量:123.7g
タンパク質量:20.7g
脂質量:51.1g
摂取カロリー自体は、ほぼ変わりありませんが、その中身をみると、脂質量に差が大きく出ています。
また、アスリートの筋肉づくりに必要なタンパク質や動くエネルギー源になる炭水化物も、ファストフードの方が少ないです。
このように、何も気にせずにファストフードを選んでいると、脂質量が多く、アスリートに必要な炭水化物やたんぱく質量をとりきれない可能性が出てきます。
定食であれば、メイン料理を変えると、摂取カロリーをファストフードの約半分まで落としつつ、栄養素をしっかりと摂ることも可能です。
ファーストフードであっても、ポテトの代わりにサラダをセットに追加するなど、工夫ができます。
食べる頻度が高いとパフォーマンス悪化の可能性
競技やポジションによりますが、多くの選手は体脂肪量をコントロールし、筋肉量を増やすことが望まれます。
しかし、脂質量の多いファストフードを頻繁に食べていると、エネルギーの過剰摂取から体脂肪量増加につながります。
また、筋肉づくりに必要なタンパク質量が不足し、うまく筋肉量を増やせない場合もあるでしょう。
野菜摂取量が少ないと、食物繊維量が不足しやすくなります。
食物繊維は腸内環境を整えたり、脂肪の吸収を抑えてくれます。
腸内環境は栄養素の吸収に関わり、体作りをサポートしてくれます。
また、ファストフードを練習前や試合前の食事として摂取してしまうと、脂質量によっては、消化に時間がかかってしまいます。
胃の中に残った状態での運動は、集中力が落ちてしまうでしょう。
練習や試合後の、捕食に選ぶ場合も脂質量の量により、消化が遅くなり、本来リカバリーに必要な炭水化物・タンパク質とビタミン・ミネラルをとるための夕食が入りにくくなってしまいます。
ファストフードはタイミング・頻度によっては体作り、パフォーマンスに影響してくるといえるでしょう。
ファストフードは食べるタイミングや頻度に気を付ける
食べてはいけないものではありませんが、その内容を理解したうえで、どのタイミングで食べることがパフォーマンスや体づくりになるべく影響を与えないのか、また、今食べている頻度で本当に問題がないのか今一度見直してみてください。
執筆者
【セミナー】
日本少年野球連盟、東京都軟式野球連盟
ヤング・ボーイズチーム、大阪公立野球部、九州大学野球部
J-STARプロジェクト JHAエリートアカデミー
(公益社団法人日本ホッケー協会が実施する育成プログラム)
【個人サポート】
野球:ボーイズ・シニア・ヤング・部活動
バスケ:全国中学校バスケットボール大会優勝校
サッカー:高校新人戦兵庫県大会優勝
スターティングメンバー
陸上:日本インカレ出場選手
フィギュアスケート:ジュニアオリンピック出場選手
ホッケー:オリンピック出場選手
個人サポート・セミナーやSNSでの情報発信を通じ、ジュニア期アスリートの『成長』の大切さと”自ら考え、実践できる選手”が1人でも多く増えることをテーマとしてスポーツ栄養士として活動している。