【アスリートの免疫について①】風邪をひかない!コンディション維持のための食事アプローチ
季節の変わり目や、気温が一気に下がると、風邪をひいたり感染症にかかりやすくなります。
アスリートが風邪をひき練習を休むことで周りの選手やチームと差がついてしまったり、症状がある中で練習や試合を行うと力を発揮できない原因になります。
食事が全てではありませんが、食事で防ぐことができる面もあります。
チームからの離脱や、力を十分に発揮できないことにならないように風邪を防ぎ、コンディションを維持していきましょう!
常に自分の100%の力を引き出したい!免疫力を上げて休みしらずの強い体を作りたい!
一般の方であれば、常に元気でありたい。好きなことに全力で打ち込むためにも風邪をひかない体をつくりたい!
今回はそんな強い身体をつくるためにまずは、どのような原因があるのかを自身の生活習慣と比較しながらみていただければと思います。
免疫力が落ちる主な原因は生活習慣
まずはなぜ免疫力が低下するのかについてです。
主な原因として生活習慣(睡眠不足、食生活の乱れ)が挙げられ他には、加齢や過剰なストレスも考えられます。
また、適度な運動は免疫力を上げますがアスリートのように激しい運動を続けることは免疫力低下の要因になります。
ここでは、食事に焦点をあてながら様々な原因を見ていきます。
≪加齢、過度のストレス、睡眠不足≫
加齢により造血幹細胞から免疫細胞に分化する能力が落ち、免疫細胞が減少することによって体内の異物への対応がうまくできなくなってしまいます。
更に唾液に含まれる免疫作用を持つ物質(IgA)が減少することで免疫力が低下します。
過度のストレスやアスリートの激しい運動、睡眠不足による免疫力低下の原因もIgAの減少からくるものだと言われています。
≪食生活の乱れ≫
睡眠不足もですが、生活習慣については加齢と違い自分の意識次第で変えることができます。
食生活の乱れによる免疫力低下原因は以下の3つが主です。
① 食物繊維の不足、脂質の摂りすぎによる腸内環境の悪化
② ビタミン、ミネラル不足によるバリア機能の低下
③ タンパク質不足などによる免疫細胞、抗体の材料不足
1つ目から順に細かく見ていきましょう。
腸内環境の悪化と免疫力低下の関係
まず、腸内環境の悪化による免疫力低下の理由についてです。腸は消化や吸収の働き以外にも免疫のしくみも持っており、体内の免疫細胞の約7割が腸に存在すると言われています。免疫というのは、体内に侵入したウイルス、病原菌を排除する反応の事です。
つまり腸内環境を良好に保つことで免疫力の低下を防ぐことができるのです。
そして腸にはいわゆる善玉菌と悪玉菌が住んでおり、食物繊維不足や脂質の過剰摂取などの偏った食生活によりこの2つのバランスが崩れ悪玉菌が優位になり腸内環境が悪化することで、免疫力が低下すると考えられます。
バリア機能低下と免疫力低下の関係
次にバリア機能低下によって免疫力が弱まる理由についてです。
先ほど、腸内での免疫の話をしましたが、ウイルスや病原菌から体を守る方法は免疫細胞による働きだけではありません。
第一次防御として、皮膚や鼻、喉など外界と接する粘膜があり、それによりウイルス等の侵入を防いでいます。
そのため、皮膚の再生がうまくできていないと、抵抗力がおちているところにウイルスなどが侵入しやすくなります。
侵入を防ぐために大切な粘膜や細胞を正常に保つには、ビタミンAやビタミンB2 が必要です。また、ビタミンCは免疫細胞の機能維持に寄与します。
これらのビタミンが不足することで粘膜が弱くなり、ウイルスや病原菌が侵入しやすくなったり、免疫細胞が上手く働かなかったりと、免疫力がより低下しやすくなると考えられます。
またこれは、ミネラル不足でも起きます。ミネラルは、酵素の構成成分となるものが多く中には免疫反応に関するものもあります。体内では合成できません。食事からとる必要性があるのです。
タンパク質不足と免疫力低下の関係
これまでお伝えしてきた免疫細胞や免疫のもとになる抗体の主材料となっているのがタンパク質です。
一般の方は普段から肉、魚、豆製品などをとっていれば不足ということはまずありませんが、極度の食事制限などによるダイエット、減量により不足する可能性はあります。
アスリートも、タンパク質は意識的に摂取している場合が多いため、明らかな不足は基本的にないかもしれません。
しかし、菜食主義者や、特に女性アスリートの過度な減量では不足の可能性も考えられます。
また、コレステロールを敵としてみなしていませんか?
過剰摂取はいけませんが、細胞の材料となっているため、適度にとることが必要です。
原因がわかれば防ぐことができる
毎年必ず風邪をひいている場合は生活習慣を見直すところからはじめてみましょう。
生活習慣が原因でそのようになっている場合は、正すことで変わる可能性があります。
自分の意識や行動次第で変えられることは変えていきましょう!
次回は、実際にこれらの問題を改善していくためにはどのような食品を摂取していけばよいのかについてお伝えします。
執筆者
広瀬 陽香
(ひろせ はるか)
【セミナー】
ヤングリーグ
大阪公立野球部
九州大学野球部
・水泳
選手や、ジュニア期(中学~高校生)アスリートの保護者の方など
【個人サポート】
野球
全日本選手権出場
・バスケ
全国中学校バスケットボール大会優勝校
・陸上
日本インカレ出場選手
個人サポート・セミナーやSNSでの情報発信を通じて、ジュニア期アスリートの『成長』の大切さと”自ら考え、実践できる選手”が1人でも多く増えることをテーマとしてスポーツ栄養士として活動している。