タンパク質の適切な摂取量とは?適切な量を知って効率的に摂取しよう

記事

タンパク質の適切量を知ろう

タンパク質を“とにかく沢山とる”は間違い

皆さんはタンパク質に関して「アスリートはとにかく沢山とれば良い」と思っていませんか?

しかし、沢山摂取することが筋肉量の増加・肥大に繋がるとは限りません。

ただ沢山摂取するのではなく、「適切な量・質・摂り方」が大切です。


※「タンパク質以外の栄養素」・「食事以外の要素(トレーニングや休養)」も必要ですが今回はタンパク質に焦点を当てます。

この記事では、アスリートに効率的なタンパク質摂取の方法をお伝えしたいと思います。



タンパク質の特徴

たんぱく質の特徴は以下の通りです。


•体の多くの構成成分

•貯蔵ができない

•過剰分は尿や脂肪になる


タンパク質は、筋肉の材料だけではありません。

爪・髪・皮膚・骨・靭帯・腱など体の一部を構成する構造的な役割(ご存知のコラーゲンもタンパク質です)と酵素・ホルモン・ヘモグロビンなど体内の調節機能物質の材料にもなり、機能的な役割も持ちます。

効率的な摂取方法

タンパク質は、他の三大栄養素(糖質と脂質)と比較して、貯蔵ができないため毎食均等に摂る必要性があります。

特に日本人は、朝食のタンパク質摂取量が十分でない傾向があります。

どこかだけを多くしたり、少なくしたりというのは効率が良くありません。 

たんぱく質は体内で分解されると「アミノ酸」になりますが、このアミノ酸を“常に一定に保つ”ことが、効率の良い筋合成のカギとなります。

まずは、朝食を見直してみましょう!

毎食の量について



では、具体的に毎食、どのくらいとればよいのかを例とともに紹介していきます。

前提として、必要量というのは、性別・トレーニング形態等『個人』によって変わるのであくまで「あなたに必要な量」というよりは「1つの目安」として捉えてくださいね。


1日のたんぱく質量

◎一般人:1.0g/kg体重

(例)体重60kgの人の場合、60g/kg体重/日


◎スポーツ愛好家:多くて1.1g/kg体重/日

(週に4~5日の30分程度のトレーニングをする者とする)

(例)体重60kgの人の場合、66g/kg体重/日


◎アスリート 

(持久性や瞬発力・筋系競技やトレーニング形態で異なります。)

持久運動:1.2g~1.4/kg体重/日

瞬発力・筋系競技:1.7g~1.8kg体重/日とされています。

まずは、自分の普段行っている競技の練習内容がどれに当てはまっているかを考え、1日に必要なタンパク質摂取量を計算してみてください。




タンパク質摂取量に関する最新の知見

アスリートの筋肥大を目的とした場合のタンパク質摂取推奨量に関する最新の知見では瞬発・筋系競技選手の筋肥大を目的と最大化するための平均タンパク質摂取量は、1.6g/㎏体重/日であり集団の大多数の人が筋肥大を最大化するのに必要なタンパク質摂取量は2.2g/㎏体重/日であることを報告しました。

また、持久運動選手の平均タンパク質摂取量は、1.65g/㎏体重/日であり集団の大多数の人が筋肥大を最大化するのに必要なタンパク質摂取量は1.8 g/㎏体重/日あることも報告されています。

こう見ると、新たな知見ではこれまでより多い量が示されていますね。

(※但し、アスリートのたんぱく質摂取量は未だにはっきりはしておらず報告によってばらつきがあり、更なる研究がされています。)

※2021年12月現時点での情報になります。



具体的な食事量

実際の食事で考えていくために、食材のタンパク質を表しました。

ここでは「タンパク質が豊富な食材」をあげています。

食材は複数の栄養素から構成されているので、これらの食品以外に量や質は違っていても、野菜や果物にもタンパク質は含まれています。


【食材のタンパク質量】



■肉・魚類:約20g(※肉や魚の種類によって異なります)

■木綿豆腐(1/3丁100g):6.6g

■納豆(1パック45g):7.4g

■卵(1個50g):6.2g

■牛乳(200ml):6.8g

■ヨーグルト(100g):3.6g

■ごはん(男性茶碗1杯200g):5.0g

商品によって多少の差はあるため、成分表示を見てみてください。


≪一般人:体重60kg 1日60g/kg体重の場合≫

毎食、ご飯(男性茶碗200g)1杯と主菜(肉・魚)1品もしくは、主菜(卵や豆製品)を1~2品と乳製品1~2品でタンパク質量は十分です。


≪アスリート:体重70kg 筋系競技選手で1.8kg体重/日1日126g/Kg体重の場合≫

補食なしで、3食ですべてを摂りきると仮定すると1食、42g となります。

毎食、ご飯(200g)2杯と主菜(肉か魚)1品と、主菜(納豆・卵・豆腐)から1品と(牛乳か乳製品)を1品で計算上では、足りることになります。

※たんぱく質量だけに焦点を当てた場合の話です。これだけで食事が完璧ということではありません。

アスリートのパフォーマンス向上のためにいろいろな食材(栄養素)が体には絶対に必要です。

まずは自分の食事の確認から



「アスリートはタンパク質を多く摂取した方が良い」という文言をみてすぐに増やすのではなく、まずは「自分の食事はどういう状況なのか」を確認することが大切です

分からないときは管理栄養士に相談して一緒に自分に合う量や食べ方を探してくださいね!


次回はタンパク質の「質」についてのお話になります。



執筆者

スポーツ栄養士

広瀬 陽香

(ひろせ はるか)


【セミナー】

  • ・ヤングリーグ

    大阪公立野球部

    九州大学野球部

    ・水泳

    選手や、ジュニア期(中学~高校生)アスリートの保護者の方など


【個人サポート】

  • ・野球

    全日本選手権出場

・バスケ

全国中学校バスケットボール大会優勝校

・陸上

日本インカレ出場選手


個人サポート・セミナーやSNSでの情報発信を通じて、ジュニア期アスリートの『成長』の大切さと”自ら考え、実践できる選手”が1人でも多く増えることをテーマとしてスポーツ栄養士として活動している。




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