【アスリートの免疫について②】風邪をひかない強い身体をつくるための食事
前回は、免疫力が落ちる原因についてお伝えをしました。
今回はその原因を解決するために、実際にどのような食品を摂取していけばよいのかをお伝えします。今後の食材選びに役立ててみてください。
免疫力を高める栄養素と食品例
前回の記事では、食生活の乱れによる免疫力低下の原因を以下のように例をあげました。
① 食物繊維の不足、脂質の摂りすぎによる腸内環境の悪化
② ビタミン、ミネラル不足によるバリア機能の低下
③ タンパク質不足などによる免疫細胞、抗体の材料不足
これらの栄養素と照らし合わせながら食品例をあげていきます。
食物繊維不足への食事アプローチ
食物繊維が不足し脂質が過剰摂取状態になると、腸内環境が悪化し免疫力が低下すると考えられています。
善玉菌のえさである「食物繊維」を十分に摂取しましょう。
また、食物繊維以外にも「オリゴ糖」は善玉菌のえさになります。
【食物繊維を多く含む食材】
◎野菜(ごぼう、れんこん、人参、大根、切り干し大根、菜の花、タケノコ、かぼちゃ、モロヘイヤ、枝豆、キャベツ、白菜、ほうれん草を始めとする様々な野菜)
◎果物(りんご、干し柿、イチゴ、梨等)
◎海藻類(ひじき、焼きのり、わかめ、昆布)
◎キノコ類(干しシイタケ、シイタケ、シメジ等)
※キノコ類に含まれるβ-グルカンは食物繊維の一種で、免疫機能に働き白血球を活性化します。キノコ類の中でも、シイタケやマイタケにより多く含まれます。
◎豆類(インゲン豆、えんどう豆、大豆、きなこ、小豆、納豆、豆腐)
こんにゃくや芋類も食物繊維を多く含みます。
オリゴ糖は液体や、粉で販売されていて甘みがあるため、砂糖の代わりに置き換えで使用することをおすすめします。
また、栄養素ではありませんが、乳酸菌、ビフィズス菌などの善玉菌(総称プロバイオティクス)は食物繊維やオリゴ糖(総称プレバイオティクス)をえさに増え、腸内環境を良くします。
えさだけでなく、善玉菌自体も取り入れてみられると良いですね。
ヨーグルト、みそ、漬物、納豆などの発酵食品には多くの善玉菌が含まれています。
脂質過剰にならないように、揚げ物・ファストフード・菓子類の摂取頻度は気をつけましょう。
ビタミン・ミネラル不足への食事アプローチ
ビタミン(特にビタミンA・B2・C)が不足すると生体の第一防御である粘膜が弱くなり、ウイルスや病原菌が侵入しやすくなったり、免疫細胞が上手く働かなかったりと免疫力が低下すると考えられます。
また、ミネラルは酵素の構成成分になるものが多く、中には免疫反応に関するものもあるため、不足することで免疫機能が正常状態を保てない場合があります。
●ビタミンA、B2、C
【ビタミンAを多く含む食材】…粘膜を正常に保つ
◎肉類(レバー等)
◎魚類(ウナギ、銀ダラ等)
◎野菜類(かぼちゃ、人参、モロヘイヤなどを始めとする緑黄色野菜)
卵、乳製品(牛乳、チーズ等)にも多く含まれます。
※植物性食品(野菜等)は動物性食品(特にレバーは毎日多く食べると過剰症の可能性あり)に比べ多く食べても過剰症が起きにくい。
【ビタミンB2を多く含む食材】…皮膚などの細胞の再生
◎肉類(レバー)
◎魚類(ウナギ、カレイ、サバ、サンマ等)
◎牛乳、納豆など
緑黄色野菜やキノコにも比較的多く含まれます。
【ビタミンCを多く含む食材】…免疫細胞の機能維持、粘膜や皮膚の強化
◎野菜類(菜の花、赤ピーマン、芽キャベツ、ブロッコリー、ジャガイモ等)
◎果物(柿、ネーブル、はっさく、イチゴ、キウイ等)
主に、野菜、果物に多く含まれます。水に溶けやすく熱に弱いビタミンなので汁もので食べたり生で食べられるものは新鮮さそのままに生で食べることをおすすめします。
じゃがいもはビタミンCが比較的減少しにくいので取り入れるとよいでしょう。
●ミネラル(銅、亜鉛等)
【銅を多く含む食材】…皮膚の健康維持、欠乏すると免疫細胞の減少
◎レバー、カキ、そら豆、干しエビ 等
【亜鉛を多く含む食材】…免疫反応の酵素の成分
◎魚介類(カキ、ウナギ、カニ)
◎肉類(牛モモ、レバー、鶏モモ)
玄米や野菜、海藻にも含まれます。
積極的にとりたい栄養素を含んだ食事例
●根菜の煮物(大根、人参、ゴボウ、れんこん、鶏肉、シイタケ)
●ひじき煮(ひじき、人参、大豆、こんにゃく)
●切り干し大根の煮物(切り干し大根、人参、シイタケ)
●ヨーグルトにきな粉、オリゴ糖を入れる
色の濃い野菜や根菜、海藻、豆類、キノコ類を少し意識してとりいれるようにしてみましょう!
3食の中にまったくなかった方はまず1食から必ずとりいれるようにしてみてください。
タンパク質の摂取に関しては、「肉や卵だけにならない」ということを覚えていてください。
魚や植物性タンパク質である豆製品や豆も重要です。なぜなら、肉に少ないビタミン・ミネラルを魚・豆製品・豆は含んでいるからです。(当然逆もしかりです)
免疫力アップのために覚えていてほしいこと
前回と今回の記事では一部の栄養素のみを挙げましたが、大前提として摂取カロリー(エネルギー)が十分である必要があります。
摂取カロリー(エネルギー)は1番の土台になるため、不足しているといくら他の栄養素を意識していたとしてもその力はうまく発揮してくれません。
これらの栄養素の力を発揮させるためにも土台を十分にしましょう。
今回の記事で実際に食材を目にしてみていかがでしたか?
「最近この食材とれていなかったな」や「風邪をよくひいていた時期はあまりこの食材食べていなかったかも」と何かの気づきや改善のきっかけになれば幸いです。
気づけば、次は実際に行動に起こして変えていきましょう。
執筆者
広瀬 陽香
(ひろせ はるか)
【セミナー】
ヤングリーグ
大阪公立野球部
九州大学野球部
・水泳
選手や、ジュニア期(中学~高校生)アスリートの保護者の方など
【個人サポート】
野球
全日本選手権出場
・バスケ
全国中学校バスケットボール大会優勝校
・陸上
日本インカレ出場選手
個人サポート・セミナーやSNSでの情報発信を通じて、ジュニア期アスリートの『成長』の大切さと”自ら考え、実践できる選手”が1人でも多く増えることをテーマとしてスポーツ栄養士として活動している。