アスリートが正しい食選択をするための食品表示活用術
アスリートは目的に応じて食品を選択する必要性があります。
その選択の積み重ねがアスリートとして求める身体やコンディションの維持、大事な試合での力の出方に良い影響を及ぼします。
例えば、強度の高いトレーニング後に、糖質とタンパク質を必要量摂取することは、身体づくりや翌日の疲労感に関係します。また、減量中の場合は補食を摂取する際に脂質量をとりすぎないようにする必要性もあります。そのため、食や自身の身体への意識が高いアスリートは外出先で何か食品を購入する際は「成分表示」をみることでしょう。
成分表示をみることで、その時々に応じた食品を手に入れることができます。正しい選択をするために、どのような栄養素がどのくらい含まれているのか成分表示を確認する習慣をつけていきましょう。
成分表示を鵜吞みにして踊らされないように注意
減量をしようとする時に「カロリーゼロ」と書いている商品であれば、カロリーが全く入っていないように感じ、手に取ることはありませんか?
実は、食品100g(飲料100ml)当たりのエネルギーが5kcal未満であれば「カロリーゼロ」と表示できることになっています。
そのため、カロリーゼロだからといって沢山飲み食いしてしまえば、カロリー摂取量は増えてしまいます。「○○オフ」「低○○」と書いているからといって、すぐに購入をするのではなく、自分の目でしっかり成分表示を確認しましょう。
例えば、「低糖質」と書いている商品でも、脂質量はどうでしょうか。案外、脂質量が多く含まれている場合もあります。そうすると、カロリー摂取量(エネルギー摂取量)自体はそれほど低くないということもあります。
多い・少ないを示すような表記は、1つの栄養素に限定されて書かれていることが多いため、他の栄養素の確認は必須です。
まずは三大栄養素量の確認から始めよう
何をみて購入をすればよいのかわからない場合には、まずは三大栄養素をみてみましょう。
三大栄養素とは、炭水化物・タンパク質・脂質です。
例えば、強度の高いウエイトトレーニング後の身体づくりのためには、炭水化物(糖質量)+タンパク質が必要となります。
体重や普段の食事状況にもよるので一概には言えませんが、具体的な量としては、炭水化物(糖質量)は体重1kgあたり1~1.2g、タンパク質は体重1kgあたり0.25~0.3gが目安とされています。(例:体重60kgの場合→糖質量60~72g・タンパク質量15~18g)
脂質量は、増量する場合にも高脂質にするメリットは少ないとされているため、1日のカロリー摂取量(エネルギー摂取量)あたり、25%が適当です。例えば、カロリー摂取量(エネルギー摂取量)が3500kcalの選手の場合は、食事が3食のみとした場合、脂質は1g約9kcalなので、1食当たりの脂質量は約30gが目安です。
必要なカロリー摂取量(エネルギー摂取量)は選手により異なるため、皆が同じわけではありませんが、コンビニやスーパーでお弁当を買う時に脂質30gがどのくらいなのかをみてみるのも良いですね。
まずは成分表示を見ることから始めましょう!
おもしろい気づきがあるかも知れません。
参考文献:エビデンスに基づく競技別・対象別スポーツ栄養
執筆者
広瀬 陽香
(ひろせ はるか)
【セミナー】
・ヤングリーグ
大阪公立野球部
九州大学野球部
・水泳
選手や、ジュニア期(中学~高校生)アスリートの保護者の方など
【個人サポート】
・野球
全日本選手権出場
・バスケ
全国中学校バスケットボール大会優勝校
・陸上
日本インカレ出場選手
個人サポート・セミナーやSNSでの情報発信を通じて、ジュニア期アスリートの『成長』の大切さと”自ら考え、実践できる選手”が1人でも多く増えることをテーマとしてスポーツ栄養士として活動している。