アスリートなら油の質までこだわってみよう!

アスリートにとって糖質やタンパク質は注目を浴びやすい栄養素であり、選手や保護者も注意をして食品を選んだり、食事を組み立てているかと思います。
その中でも、油に関しては「アスリートは少ない方が良い」と『量』だけが注目されていたりします。
確かに、アスリートの食事の基本は「低脂質」とよく言われています。
しかし、少なければよいということでもなく、油の種類によってはアスリートの身体には重要な要素となる場合もあります。
そこで今回のコラムでは、油の質に焦点を当ててご説明いたします。
普段口にしている油の種類はどれ?
一言で「油」といってもその種類は1つではありません。
油を構成しているのは「脂肪酸」というものであり、下記のように沢山の種類があります。
大きくは「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」に分けられ、飽和脂肪酸は肉や乳(バター・チーズ)に多く含まれます。
食の欧米化が進む我が国では、飽和脂肪酸の摂取が増えてきていることは言うまでもありません。
しかし、飽和脂肪酸は適正な量は必要ですが、それを超える食事をしていると様々な病気のリスクがあがりやすくなります。
一方、不飽和脂肪酸は魚や植物油に多く含まれています。
そして、不飽和脂肪酸は特徴により更に細かく「一価不飽和脂肪酸」と「多価不飽和脂肪酸」に分かれます。
一価不飽和脂肪酸には、「オメガ9脂肪酸」が分類され、オリーブオイル・こめ油・ココナッツオイルに多く含まれています。
多価不飽和脂肪酸には、「オメガ6脂肪酸」と「オメガ3脂肪酸」が分類され、オメガ6脂肪酸はサラダ油・ゴマ油・牛乳・卵・肉・ツナ缶の油に多く含まれています。
オメガ3脂肪酸は魚の油(サバ・サンマ等)・亜麻仁油・えごま油に多く含まれています。
「油」だけでも多くの種類があることがわかります。次に、油の「酸化」についてお伝えします。
油は酸化しやすい!?
油は酸化のしやすさに注目する必要があります。
なぜなら、酸化されてしまった油を多量に摂取すると、腹痛や下痢、食中毒等を引き起こして健康を損ねる可能性があるためです。
酸化は、光・熱・酸素が関係します。
それぞれの熱に対する強さとしては、オメガ9脂肪酸>オメガ6脂肪酸>オメガ3脂肪酸となり、右に行くほど熱に弱く「酸化されやすい」です。
オメガ3脂肪酸は一時期、流行りましたが注意点としては非常に酸化しやすいという点です。
そのため、熱を通してから約半日~1日ほど時間が経った魚料理は試合前日や当日は注意が必要です。
なるべく、焼いてすぐに食べるようにできると良いですね。
また、オリーブオイルやサラダ油と異なりえごま油や亜麻仁油は、加熱により酸化が進みやすくなるため、炒め物に使用しないようにすることと、開封後になるべく早く使い切ることが必要です。
アスリートにとってほしいオメガ3脂肪酸
注目されやすい油の種類である「オメガ3脂肪酸」ですが、一般の方だけでなくアスリートにも重要です。
オメガ3脂肪酸の働きによって期待される内容を以下にあげました。
① 血流が促進され栄養素が末端まで運ばれやすい
② 筋肉痛・腰痛などの炎症を抑える
③ 炎症を抑制することで疲労回復に役立つ
これらの恩恵を受けるために「魚」を積極的に摂取してみるのはいかがでしょうか?
その中でも特に、「魚の缶詰」はおススメです。
缶詰は、加工されているので「酸化されているのではないか?」と思われてしまうかも知れませんが、実は新鮮な魚を使用して空気を抜いているので酸化を抑えた状態となっています。
そして、缶詰は包丁要らずですぐに食べることが出来ます。
また、油を避ける選手の中には魚自体に含まれる油も嫌がる場合がありますが、魚の油は「良質」です。
このように、「魚・魚の缶詰」には多くのメリットがあげられます。
そのため、体重制限のある選手の場合を除く、アスリートの方々は調理油には気を付けながら積極的に摂取してみてください。
MCTオイルはアスリートに向いている?
また、サッカー等の持久力が必要なスポーツを行うプロ選手の中にはMCTオイルを活用している場合があり、一時期アスリートの中で流行っていました。
MCTオイルとは中鎖脂肪酸を100%含んだ油であり、飽和脂肪酸や不飽和脂肪酸に比べてすぐエネルギーに変わる特徴を持っています。
持久系スポーツの場合は、体内で長くエネルギーを供給する必要がありますが、運動を行っている最中に糖質を摂取すると横腹が痛い感覚にみまわれる場合もあります。
そうなってしまうとパフォーマンス低下に繋がるため、日頃の食事で脂質の量を増やすような食事をとる選手もいます。(ケトン食というものです。次回以降のコラムで紹介します)
ただし、MCTオイルの活用方法には注意が必要です。
MCTオイルに含まれる中鎖脂肪酸はサラダ油などに比べて小腸内で早く吸収されるため、摂りすぎると小腸内の浸透圧が高まります。
そして、浸透圧を元の状態に戻すために多くの水分を小腸内に取り入れ、水分量が増えることで、腹痛・下痢・胸やけなどの体調不良を引き起こす場合があります。
そのため、使用したい場合は大切な試合の前に自身の身体で試しておくようにしましょう。
また、MCTオイルを直接摂取する場合は調理時の油は1食につき1g程度(かなり少ないです)に抑え、MCTオイルを3g摂取するようにしましょう。
なぜなら、普段使用している油の量と変えずにMCTオイルを摂取していると油の摂取が過剰になってしまうからです。
油の質はそれぞれありますが、1g=9kcalであることに変わりはないことは頭に入れておいて損はありません。
油の質を考えてみよう
これを機に、普段サラダ油だった場合はより熱で酸化しにくいオリーブオイルに変えたり、肉の頻度が多い場合は抑えて魚を摂取するようにしてみるのはいかがでしょうか?
私たちが日々口に入れるもので身体はよくも悪くも変わっていきます。
今一度、食生活を見直し、より身体によいものや、自分に合うものを取り入れるようにできると良いですね。
参考文献:厚生労働省e-ヘルスネット
執筆者
広瀬 陽香
(ひろせ はるか)
【セミナー】
・ヤングリーグ
大阪公立野球部
九州大学野球部
・水泳
選手や、ジュニア期(中学~高校生)アスリートの保護者の方など
【個人サポート】
・野球
全日本選手権出場
・バスケ
全国中学校バスケットボール大会優勝校
・陸上
日本インカレ出場選手
個人サポート・セミナーやSNSでの情報発信を通じて、ジュニア期アスリートの『成長』の大切さと”自ら考え、実践できる選手”が1人でも多く増えることをテーマとしてスポーツ栄養士として活動している。