プロ選手の真似は正解?アスリートの持久力と脂質の関係

記事

これまで、スポーツ選手における効果的な脂質摂取方法というものはほとんど検討されていませんでした。


しかし、ここ数年の間にアスリートにおける脂質の活用法に関する研究が行われるようになり、ぜひアスリートにも知っておいてほしいことや知見が出てきました。


プロ選手の中にはあえて「高脂肪」の食事にしている選手も存在します。


果たしてそれが、自分にも合うのでしょうか?


今回と次回の記事で、脂質とアスリートについて、現時点での最新の知見をお伝えします。

体内の糖質とスタミナの関係

人が長く運動を継続するためには、体内の糖質や脂質が必要とされています。


糖質の場合は、グリコーゲンという貯蔵できる形に変化し肝臓や筋肉に蓄えられます。


特に筋肉に蓄えられたグリコーゲンは「筋グリコーゲン」と言われ、運動をするとこれが筋肉のエネルギーに変わり消費されていきます。




そしてこの筋グリコーゲンが減少・枯渇することでエネルギーが減ったりなくなったりと疲労やパフォーマンス低下につながります。


筋グリコーゲンが分解されて使われていく際に無機リン酸が必要とされているため、その濃度がグリコーゲン分解速度を決める重要な存在になっています。


持久的な運動を行った際、筋肉ではミトコンドリアの数と量が増加することに伴い、無機リン酸濃度が上昇しグリコーゲン分解が抑制されることで長時間運動の後半においても筋グリコーゲン量を維持でき、疲労の発現が遅延すると考えられています。


このように長時間の運動でミトコンドリアを増やすことは広く知られていますが、これを食事で行うことができると明らかになりました。

高脂肪食は持久力アップができるのか

筋肉内でのミトコンドリアを増やす刺激として長期的な高脂肪食の摂取が挙げられます


そして、持久運動と高脂肪食を組み合わせることでミトコンドリアが更に増加することも明らかになりました。


実際に動物実験において高脂肪食の摂取により持久的パフォーマンスが向上することが報告されています。


しかし、人を対象とした実験では運動中の脂質の利用量が増えることは確かではあるものの、動物実験のような明確な疲労の遅延やパフォーマンス向上効果は認められなかった。




むしろ、高強度の運動時ではパフォーマンスが悪化するケースも報告されています。


パフォーマンス向上効果が認められない要因の1つとして「体重増加」が挙げられます。


糖質やタンパク質と比較し、脂質は1g当たりのエネルギー量が高いことが特徴のため当然そのようになります。


また、高脂肪食の摂取によってむしろ疲労を感じやすくなるという研究結果も示されています。例えば、7週間にわたって高脂肪食を摂取しながらトレーニングを行った場合、高糖質食を摂取した場合に比べて運動強度が高く感じられ、一定の強度の運動の持続時間も短くなることが報告されています。


特に高強度の運動時における主要なエネルギー源である糖質の利用を制限してしまうことにより高強度運動パフォーマンス低下の要因になります。


高脂肪食のメリットとして、ミトコンドリアが増えることは明らかですが、その分体重増加や糖質利用を制限してしまうというデメリットを持っていることは理解しておくべきです。

必ずしも高脂肪食が結果に繋がるわけではない

少し難しい内容になりましたが、上記を理解すると、現時点では単に「脂質の摂取量をあげる」ことはパフォーマンスアップに貢献できない可能性があることがわかります。


持久系スポーツの従来型の食事である「高糖質食」の方が、パフォーマンスアップに貢献している研究の方が多くでています。


次回の記事では、単なる高脂肪の食事ではなく糖質をかなり減らすことで成り立つ「ケトン食」についてお伝えします。


これは持久系スポーツのプロ選手が活用している食事法です。


高脂肪食とどのように違うのかぜひご覧ください。


参考文献:論文「スポーツ栄養における脂質の活用」オレオサイエンス第18巻第8号(2018年)


執筆者

スポーツ栄養士

広瀬 陽香

(ひろせ はるか)


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個人サポート・セミナーやSNSでの情報発信を通じて、ジュニア期アスリートの『成長』の大切さと”自ら考え、実践できる選手”が1人でも多く増えることをテーマとしてスポーツ栄養士として活動している。




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