身体を軽くしたい!アスリートの減量、その方法であっていますか?
前回は、減量をする前段階に知っておいてほしい事や実際に確認してほしいことをお伝えしました。
今回は、減量を行う場合の考え方についてお伝えします。
ただやみくもに、「ご飯量を減らす、糖質をカットする」このような減量では
パフォーマンスが落ちてしまうかもしれません。
パフォーマンスを上げるための努力で落ちてしまっては非常にもったいないことです。
しっかりと本来の減量目的が達成できるように知って、行動していきましょう。
体重だけをみていると減量に失敗する
減量の際に「体重」をみるだけではいけません。体重は大きく体脂肪量と除脂肪量(骨・筋肉・血液・内臓・水分)に分けられます。
除脂肪量の中で食事やトレーニングによって変動するものの多くは筋肉量です。
体重だけをみていると、脂肪と筋肉のどちらが落ちて体重が減っているのかがわかりません。
アスリートは筋肉量がパフォーマンスと関連する場合が多いため筋肉量が落ちるとパフォーマンスが落ちる可能性があります。
そうならないように減量中は体重だけでなく、「体脂肪率」も確認し「なにで」体重が変動しているのかを必ずみておくようにしましょう。
減量はゆっくり行うことがコツ
急速に減量をすると、ゆっくり減量よりも筋肉量の減少が大きくなってしまいます。
また脂肪量の減少も、実は急速減量よりもゆっくり減量のほうが大きくなります。
ここでの急速減量というのは、1週間で1%の減量であり、ゆっくり減量というのは1週間で0.7%の減量のことを言います。
筋肉量が低下した減量では、パワーやスピードが落ちます。
また、酸素を運搬する量も低下するため特に持久性の運動では疲れやすいです。
急速減量を行う場合の多くは糖質を大きく落としますが、そうすることで体に蓄える糖質が減るため持久力や集中力の低下やそこからくるケガのリスクも上がります。
無理な減量は、極力控えるほうが良いですね。
減量中もバランスの良さは崩さない
減量でも増量でも、どのような目的であっても「バランスの良さ」は重要です。
なぜ、バランスの良い食事が重要なのかは過去の記事で確認してみてください。
脂肪を燃焼させようとするならば、避けられがちな「糖質」もサポート役のビタミン・ミネラルも必要です。これらが十分になければ体脂肪を落とすような減量はできないのが身体の仕組みです。
糖質を完全にカットしておちている体重のほとんどは「水分」です。
(糖質は水とくっついて体内で保持されるため)
大きく変えるのは食事の質
あまりにも多い量を食べている選手の場合は、大きく量を減らすことも行いますがそれ以外はそれほど大きく食事量を減らすことはありません。(階級制や体重の絶対的な制限がある場合を除く)
それよりも、その食事の内容=【質】を変えていくことを念頭におきましょう。
例えば、間食では何を食べていますか?
油×塩の間食(スナック菓子等)や油×砂糖(洋菓子等)を食べてはいませんか?
これらはビタミン・ミネラルも含まないので脂肪燃焼もうまくできないことや、手がとまらなくなってしまうため、ついつい食べ過ぎてしまい余分な脂肪をため込みやすいです。
またお腹がすきにくいため、大事な3食が入りにくいです。
そして特に、油に含まれる主な栄養である脂質は厳しい食事制限を行っていない場合3食で不足することはめったにありません。
アスリートの減量中に特に注意が必要です。これらの間食を、3食で足りていない栄養素を補う時間にしましょう。
例えば、豆腐や枝豆、野菜スティックやもずく・めかぶやゆで卵や練り物等があげられます。
朝ごはんのお供に、ツナ缶を食べている場合は、油漬けを水煮缶に変えることでもツナに期待したい栄養素はそのまま脂質を落とすことができます。
このように、量を減らすことよりも質を変えてよくしていくことがパフォーマンスを下げない減量のコツです。
減量をする際のチェックポイント
減量を行う際に真っ先に3食に目がいきがちですが、そうではなく
まずは、嗜好品に目を向け砂糖や油が多いものを頻繁に食べていないかをチェックしましょう!
3食に目を向けていくのはその後です。
そこを変えるだけで、適正な体重や体脂肪率になる場合もあります。
嗜好品を変えて数か月たっても変わらない場合は3食をみていきましょう。
減量の方法は自己流で行うと、体調を崩したりパフォーマンスダウンをすることもあります。
“どのように減らすのか”方法もしっかりと理解し、計画をたててからスタートしましょう!
執筆者
広瀬 陽香
(ひろせ はるか)
【セミナー】
ヤングリーグ
大阪公立野球部
九州大学野球部
・水泳
選手や、ジュニア期(中学~高校生)アスリートの保護者の方など
【個人サポート】
野球
全日本選手権出場
・バスケ
全国中学校バスケットボール大会優勝校
・陸上
日本インカレ出場選手
個人サポート・セミナーやSNSでの情報発信を通じて、ジュニア期アスリートの『成長』の大切さと”自ら考え、実践できる選手”が1人でも多く増えることをテーマとしてスポーツ栄養士として活動している。