BCAAとトレーニングの関係性って?上手にとるコツ
前回の記事でプロテインについてお伝えしました。
今回はプロテインと同じくらい知名度のあるサプリ「BCAA」についてお伝えします。
プロテインと異なり、効果もよくわからずになんとなくで飲んでしまっていませんか?
摂取する目的、自分に必要なのか、また摂取する場合は「いつ」「どのくらいの量」を摂取することが必要なのかを学んでいきましょう!
BCAAってなに?
そもそもBCAAとは必須アミノ酸の1種で、その中でも特に運動時に筋肉のエネルギー源になる「バリン・ロイシン・イソロイシン」の総称です。
BCAAは比較的多くの研究がなされていて多くのアスリートに注目されています。
BCAAの効果は大きく2つ
①筋損傷の軽減
②疲労感、筋肉痛の軽減
アスリートにうれしい効果ですね。詳しくみていきましょう!
①【筋損傷とBCAAの関係】
激しい運動をすると、筋損傷の指標である血液データクレアチンキナーゼ(CK)と乳酸脱水素酵素(LDH)が上昇します。運動前と途中でBCAAを摂取により血液データにどのように影響があるのかをみてみると、ある大学陸上部の長距離選手の場合、摂取群と無摂取群で比較すると無摂取群では血液中のCKとLDHが有意に上昇しました。このことから、BCAAを摂取することで筋損傷の軽減ができると結論づけられます。
②【疲労感、筋肉痛とBCAAの関係】
陸上部の合宿においてトレーニング期間中の3日間、BCAAを摂取した場合、摂取群においても合宿前と比較して筋肉痛の増加自体はありましたが筋肉痛の程度が抑制されることがわかりました。疲労感に関して、摂取群では抑制され、無摂取群では増加していました。このことから、合宿のような高強度の運動が繰り返し行われるような場面でBCAAを摂取することで、より質の高いトレーニングを行うためのコンディションに役立つと言えます。
いつ・どのくらい?
いつ
筋力トレーニングは筋肉に強い負荷をかけて行う運動です。筋トレのエネルギー源のほとんどは糖質であり、無酸素運動のため乳酸が蓄積しやすいです。
そのため、運動パフォーマンスが下がりやすいとされています。そこで、筋トレ開始前にBCAAを摂取することで、筋肉のエネルギー源となり糖質の代謝を抑制してくれるため乳酸の蓄積を防いでくれます。トレーニングの質をあげたり、翌日にダメージをのこさないことに有効です。
また、筋肉回復のための摂取の場合は、プロテインやタンパク質源になる主菜類や乳・乳製品を一緒にとることができれば更に有効的に働く可能性も示唆されています。
どのくらい
BCAAの恩恵を受けるには、十分に血液濃度を上げる必要があります。血中BCAAの濃度が上昇する量を調べた研究によると、2000㎎以上摂取により、摂取の2時間後においても摂取前の値に比べ高値を維持していました。1000㎎以下の摂取では1時間後には摂取前のレベルと同じ濃度になり変化が見られませんでした。
この研究は健常成人男性を対象にしていますが、運動時はBCAAの要求量が高まるため、運動30分前~運動中にBCAAを2000㎎以上摂取することがBCAAをより効率よく作用させるためには重要であることが推察できました。
サプリはあくまでサブと考え、うまく活用しよう
サプリは決して「悪」ではありません。
食事にもサプリにも良さがあります。特にアスリートは一般人とは消費エネルギー量も身体への負荷も全く違います。競技レベルが上がるほど、食事だけで必要な栄養素を補うのは難しい場合もあります。
大切なことは「食事ではとりきれない場合に助けてもらう」という考えでいることです。
自分自身で口に入れるものに興味を持ち、知ることから始めましょう!
出典:J SPORTS PHYS FITNESS,p316,47,2007
J SPORTS PHYS FITNESS,p424,49,2009
J.Nutr.Sci.Vitaminol p52,55,2009 一部改変
執筆者
広瀬 陽香
(ひろせ はるか)
【セミナー】
・ヤングリーグ
大阪公立野球部
九州大学野球部
・水泳
選手や、ジュニア期(中学~高校生)アスリートの保護者の方など
【個人サポート】
・野球
全日本選手権出場
・バスケ
全国中学校バスケットボール大会優勝校
・陸上
日本インカレ出場選手
個人サポート・セミナーやSNSでの情報発信を通じて、ジュニア期アスリートの『成長』の大切さと”自ら考え、実践できる選手”が1人でも多く増えることをテーマとしてスポーツ栄養士として活動している。