今の努力を無駄にしない!パフォーマンスをあげる食事②

前回の記事では、ここ数年で注目されるようになったカフェインとパフォーマンスの関係と、ビタミンB群についてお伝えしました。
今回は、そのほかのパフォーマンスをあげる栄養素についてお伝えします。
前回と合わせて全部で4つの栄養素をおさえてパフォーマンスをあげていきましょう!
クエン酸とパフォーマンスアップ
サッカーやマラソンといった持久力が必要な強度の高いスポーツでは汗をよくかくため、汗からの「鉄」の排出が増加します。
更に、持久系スポーツではより多くの酸素を体内で必要としており、酸素を運ぶヘモグロビンの材料である「鉄」の必要量も上がることから、貧血の可能性が高まります。
また、酸素がいきわたりづらくなると、筋肉にも影響を及ぼし、体のだるさや疲労感、筋力低下につながる恐れもあります。
そのため、筋肉量の多いアスリートではより広範囲に酸素を届ける必要があるため、日頃の食事から「鉄」を意識的に摂取する必要性があります。
特に、月経のある女子選手や成長期の選手では最も重要な要素です。
それでは、最も重要な「鉄」はどのように摂取していけば良いのでしょうか?
「鉄」は、赤身の魚や肉に豊富に含まれますが、野菜から摂取することもできます。
代表的な野菜はほうれん草ですが、野菜からの鉄摂取は、動物性と比較して、吸収率が下がることが欠点です。
そこで、クエン酸を一緒に摂取することで欠点である吸収率の悪さをカバーすることができます。
鉄がしっかりと吸収されることで、ヘモグロビンが十分に働き、パフォーマンスアップを期待できるでしょう。
また、運動中は、内臓よりも筋肉に優先的に血液が送られるため、内臓の血液量が落ちることから、 運動後に食欲が低下したりおなかの不調を感じる選手もいます。
しかし、クエン酸は、胃液の分泌を促し胃の活動を活発にする作用もあり、食欲を増進させる効果も期待できます。
更に、ナトリウムの体内への吸収もサポートしてくれることから、筋肉の痙攣や熱中症対策にもなります。
クエン酸を摂取できる食品には、梅干し・レモン・酢やクエン酸が添加された飲み物や粉末が挙げられます。
これらの食品を日頃の食事に取り入れていけると良いですね。
β-アラニンで疲労にアプローチ
筋疲労の原因の1つに酸の蓄積があります。
”乳酸が溜まる”という言葉を聞いたことがありますか?
乳酸はその名の通り「酸」になります。この蓄積によってphが低下します。
phが低下すると、身体は酸性の状態になり、筋肉運動や代謝に障害を起こし、疲労感を生じます。
そこにアプローチできる要素として「β-アラニン」が挙げられます。
β-アラニンは、タンパク質を構成するアミノ酸の1つです。
疲労の原因となるpHの低下を中和する働きがあることから、pHの管理に役立つのではないかということがいわれ始めています。
β-アラニンを摂取するタイミングは運動の約30~45分前が良いとされています。
特に強化合宿など強度の高い運動を連日行う場合に意識的に摂取できるとよいですね。
アミノ酸の1つなので、タンパク質源になる食品である鶏肉や魚に豊富です。
食事を利用して自分の力を引き出す
食事は、自分の可能性を伸ばすツールの1つです。
スポーツ栄養分野が、まだあまり知られていない時代には「タイミング」・「内容」・「量」も気にせずに食事が摂取されていました。
しかし、その後スポーツ栄養分野が注目され始めたくさんの研究がなされるようになりました。
「いつ」「なにを」「どのくらい」摂取するかによって、疲労度合いなどのコンディションや筋肉量などの体づくりに違いがでることがわかってきました。
食を正しく学び、正しく取り入れることで今以上に力を発揮できるかもしれません。
適正量の範囲であれば自然な食材からだけではなく、状況にあわせて補助食品を使用することもよいでしょう。
新しくわかってきた成分は、十分に情報を集めたうえで試すことや、身近な専門家に聞いたのちに始めることをおすすめいたします。
執筆者
広瀬 陽香
(ひろせ はるか)
【セミナー】
ヤングリーグ
大阪公立野球部
九州大学野球部
・水泳
選手や、ジュニア期(中学~高校生)アスリートの保護者の方など
【個人サポート】
野球
全日本選手権出場
・バスケ
全国中学校バスケットボール大会優勝校
・陸上
日本インカレ出場選手
個人サポート・セミナーやSNSでの情報発信を通じて、ジュニア期アスリートの『成長』の大切さと”自ら考え、実践できる選手”が1人でも多く増えることをテーマとしてスポーツ栄養士として活動している。