減量中に行いたいアスリートの食事~減らすのではなく〇〇〇〇が基本~

ここまで、減少を行う前段階、減量の考えをお伝えしてきました。
今回は、減量中の実際の食事についてご紹介します。
何をどのくらい摂取するのかについては、選手の体組成や練習時間・強度等によっても異なるため一概には言えません。
そのため減量を実際に行う際は、なるべく専門家にみてもらいながら行うことをおすすめいたします。
そこで、この記事の中では摂取量ではなく減量中の食事の全体図についてお伝えします。
アスリートが減量をする際の食事の三原則
前回までの記事を読まれた方々は、「やみくもに減らすことは違う」と理解されたことかと思います。
バランスを大切にすることを大前提として、前回少しお伝えした食事の【質】を細かくご紹介します。
アスリートが減量をする際の食事の質の三原則は
① 食品選び
② 調理法
③ 調味料の3つです。
バランスと、この三原則をしっかりと食事に反映させてみてください。
そこで、具体的に参考にしていただきたい図を下記に記載しました。
それでは、下図をもとに三原則で意識すべきことについて1つずつご説明いたします。
①食品選び
この表中の「超高エネルギー」の食品は頻度を落とすもしくは控え、高エネルギー以下に置き換えていきましょう。
高エネルギーの中に魚が赤文字で入っていますが、魚の油は良質なので落とす必要はありません。
その分、調理を行う際に油を使わずに焼くようにできると良いです。
➁調理方法
調理方法は、揚げ物をなるべく控え、炒める・焼くより下を基本にしましょう。
また、1つの食事の中で調理油を使用した料理を1品までに抑えることも重要です。
その他の料理では「ゆでる」「煮る」「素焼き」「蒸す」を選択しましょう。
③調味料
調味料では、1番上のバターやマヨネーズなどは頻度を減らすことがおすすめです。
洋食を和食にかえることでそれが実現しやすくなります。
鶏ささみ肉ばかりはよくない
減量となると、脂質量が少なくタンパク質がたくさん含まれているささみ肉や胸肉が人気ですが、鶏肉に偏った食品選びを行っていると栄養素が偏ってしまいます。
例えば、豚肉には「ビタミンB1」という主に炭水化物をエネルギーに変えるサポートをする役割のビタミンが豊富に含まれています。
そのため、この栄養素が不足するとうまくエネルギーに変わらず、脂肪が減りにくいことや疲労を感じやすい要因にもなります。
また、みなさんの中には「牛肉は油が多い」という認識を持たれている方が多くいらっしゃるのではないでしょうか?
しかし、「赤身」を選ぶことで油の量は鶏のモモ肉の皮なしとほとんど同じくらいで抑えることができます。
その上、鉄が多く含まれているため「鉄欠乏性貧血」を防ぐために良い働きもしてくれます。
特に減量をしている持久運動の多いアスリートや女子アスリートにはもっておいてほしい知識です。
このように、1つの肉の種類に偏ることで、不足する栄養素がでてきてしまいます。
そのため、今後は肉の種類や部位を変えることで、様々な栄養素をとりつつ脂肪を落とす選択をしていきましょう!
減量中の実際の食事例
実際の減量時の食事の一例を下記にあげてみました。
ここからわかることは
①副菜(野菜・海藻類・キノコ類)をたっぷりとる
②タンパク質源の食品は少しだけ多めに
③脂質は少なく
④ご飯もきちんととる
ということです。
考えていた減量の食事と比べてどうでしょうか?
このように、食事の質をしっかり意識することができれば、ある程度の量も食べることができます。
そして、減量時はおそらく以前の食事よりも必要な栄養素量は上がっていることが多くあります。
そのため、質の高い食事を多く摂取することで、身体の調子も自然と上がり体脂肪量が適正になり、コンディションも整った状態になります。
もし、減量方法を間違えて行ってしまうと体重が落ちたとしても不調になり、コンディションは以前よりも悪くなることがあります。
努力が結果となりかえってくるように取り組んでいきましょう。
執筆者
広瀬 陽香
(ひろせ はるか)
【セミナー】
・ヤングリーグ
大阪公立野球部
九州大学野球部
・水泳
選手や、ジュニア期(中学~高校生)アスリートの保護者の方など
【個人サポート】
・野球
全日本選手権出場
・バスケ
全国中学校バスケットボール大会優勝校
・陸上
日本インカレ出場選手
個人サポート・セミナーやSNSでの情報発信を通じて、ジュニア期アスリートの『成長』の大切さと”自ら考え、実践できる選手”が1人でも多く増えることをテーマとしてスポーツ栄養士として活動している。