「子どもの糖に関する身体の異変のサイン」について
糖尿病という病気は聞いたことがある人がほとんどだと思うのですが、子どもが糖尿病になることはどのくらいの人が知っているでしょうか。今回は「子どもの糖尿病」をテーマにお伝えしていきます。
子どもの糖尿病とは?
「最近やたらと水分をとるようになった」「喉が渇くと頻繁に訴える」「水分をよく飲むからトイレの回数が増えている」「だるそうにすることが増えた」「痩せた」お子さんにこのような様子はありませんか?
子どもと言えばすぐに「のどかわいた~。」と訴えるようなものですが、それはもしかしたら糖尿病のサインかもしれません。子どもの糖尿病についてご紹介します。
糖尿病の代表的な初期症状は、
・のどがやたらと渇く
・水分を頻繁にとる
・トイレの回数が増える
・疲れやすい
・特に何もしていないのに体重が減る
というようないつもと違った様子が見られるようになります。
子どもの場合、異変をうまく訴えることができない場合もあり、すぐには気付かず意識混濁など重篤な状態になってようやく気付くこともあります。
初期の頃は学校で受ける尿検診で発見されることがほとんどです。
しかし、尿検診は年1回の機会ですし、尿検診を受ける機会がなかったお子さんは発見が遅れてしまうかもしれません。
大人が早い段階で気付いてあげられるように糖尿病の初期症状を知っていて欲しいと思います。
糖尿病の初期症状のうち、「のどの渇き」というのは、血液が糖によってドロドロしているのが原因です。
血液中の余分な糖を尿中に排泄するため、のどが渇きます。
しかし、糖の量を減らすことができるホルモンはインスリンだけなので、いくら水を飲んでも血糖値が下がらなければのどの渇きはおさまることがありません。
そのため、やたらと飲み物を飲むようになり、トイレに行く回数が増えるのです。体は水分が奪われた状態なので脱水状態です。
疲れやすかったり、だるかったり、お子さんの元気がなくなっていきます。
痩せてしまうのは糖を代謝できていないからです。
糖を代謝できない代わりにたんぱく質や脂質を代謝するので痩せてしまいます。
そもそも「糖尿病」とは?
まず基礎的な話ですが、「糖尿病」はインスリンが原因で血糖を適正にコントロールできなくなってしまう病気です。
血糖値が高い状態が長期間続くと、心筋梗塞や脳梗塞など命に関わるような合併症を起こすため、放置できない病気の一つです。
糖尿病は予備軍も含めると日本で2,000万人を超えている、40歳以上で8人に1人いると言われている国民病です。
そのうち、小児慢性特定疾患治療研究事業に登録された子どもの糖尿病患者は約6,200人が登録されているそうです。
この6,200人という数字をどう思いますか?
糖尿病患者数全体からみると少なく感じるかもしれませんが、子どもの頃から糖尿病のために毎食インスリンの投与をする子どもたちが約6,200人もいると想像するととても大きな数字だと思いませんか。
糖尿病は「1型糖尿病」と「2型糖尿病」に分けられます。
そのうち、1型糖尿病は10~15歳に発症することがほとんどで、子どもの糖尿病の80%(5000人)を占めています。
2型糖尿病は20%弱(1,100人)その他の糖尿病が約2%弱(120人)です。
糖尿病は大人になってなる病気というイメージがあるかと思いますが、1型糖尿病は子どもの病気といっても過言ではありません。
2~3歳の乳幼児のお子さんでも発症することがある病気です。
また、2型糖尿病の割合は多くはありませんが、コロナ禍で増えているともいわれていて無視できない状況です。
子どもの「1型糖尿病」
1型糖尿病というのは、膵臓のβ細胞が壊れてしまいインスリンが作れなくなっている状態です。
主に、自己免疫学的機序(※)により生じます。
(※)何らかのきっかけで自分自身の細胞を標的にして殺してしまう、本来起きるはずのない免疫反応がおきてしまうこと。
そのため、糖をコントロールすることができなくなっています。
はっきりした原因は不明ですが、やせ型の子どもに見られる傾向があります。
治療法はインスリンを皮下注射する方法になります。
食事や運動量、体調によって変動する血糖値を24時間モニタリングしながら、1日2~5回のインスリン投与を継続して行うことになります。
血糖値をコントロールすることで、他の人と同じように生活できるので、病気を理解してうまく付き合うことが大事です。
子どもの「2型糖尿病」
2型糖尿病は、インスリンは出ているにも関わらず効きにくくなっている状態です。
主な原因は肥満によるものです。2型糖尿病の子どもは約70~80%が肥満です。
糖尿病の遺伝子をもともと持っている子が、食生活の乱れや運動不足など環境要因が重なることで発症します。
コロナ禍では家に閉じこもることが増えたり、近年不登校の子どもが増えていたりと肥満に繋がりやすい環境要因が増えているのではないかと危惧しています。
2型糖尿病は肥満を解消することで改善できるので、大人が率先して生活習慣を見直していけたらいいかと思います。
最後に
子どもの糖尿病の大変さは大人と違って、本人が自分で治療を担うことが難しいという点だと思います。
食べるものの内容を把握して、インスリンを適量注射することや血糖測定器を体につけること、ダイエットなど子どもだけで取り組むことは容易ではありません。
ご家族がサポートすることはもちろん、その子の周りにいる人たちが理解してサポートできる環境を整えていくことが子どもの糖尿病患者さんに必要な社会だと思います。
病気で悩む子どもたちを孤独にしない為にも子どもの糖尿病について知っていきましょう。
※下記サイトより引用している個人の見解です。
【引用サイト】
・小児慢性特定疾病情報センター
・一般社団法人 日本内分泌学会
http://www.j-endo.jp/modules/patient/index.php?content_id=1
執筆者
鳴島 友理
(なるしま ゆり)
【資格】
はり師・きゅう師免許 平成16年厚生労働大臣認定資格取得
大師流小児はりの会 上級課程修了
認定子育てハッピーアドバイザーHAT認定資格取得
【所属】
一般社団法人 日本小児はり学会 所属
東洋医学からみた産後ママのからだ
妊娠初期のつわりがつらい妊婦さんのための東洋医学のおはなし