ダイエットに筋トレは必要?効果ある!?
皆さんこんにちは。
前回のコラムではウォーキングやサイクリングなど、ダイエットに一般的に用いられる有酸素性運動について、そのメリットやデメリット、取り組み方のポイントを紹介しました。
今回のコラムではダイエットにおける筋力トレーニングの役割やその効果についてお伝えしたいと思います。
筋肉トレーニングでの筋肉の増加
以前1月のコラムで筋力トレーニングを行って、基礎代謝を増やすのが難しいことをお伝えしました。
筋力トレーニングに伴う筋肉量の増加はわずかで、たとえ筋肉が増えたとしても、筋肉量の増加に伴う基礎代謝の増加量はわずかです(筋肉1㎏の増加で一日の基礎代謝が13kcal程度増加すると言われています)。
したがって、ダイエットのために筋トレをして「痩せやすい体になる」ことや「太りにくい体になる」ことは難しいと言えます。
筋力トレーニングのエネルギー消費量
では、筋力トレーニング自体のエネルギー消費量(脂肪燃焼量)はどうでしょうか。
例えばスクワットを例に挙げると、スクワットはウォーキングとジョギングの中間ほどの運動強度(エネルギー消費量)です。
案外エネルギーを消費すると思ってしまいますが、スクワットのような筋力トレーニングはウォーキングやジョギングのように長い時間にわたって繰り返し続けることはできません。
10回のスクワットに要する時間はゆっくりとした動作で行ったとしても、せいぜい1分程度で10回のスクワットです。
それを3回通り行ったとしても、10kcal程度のエネルギーしか消費することができません。
そのほかの筋力トレーニング種目のエネルギー消費量もスクワットと同様で、筋力トレーニング自体でエネルギーを消費したり、脂肪を燃焼することは難しいようです。
筋力トレーニングのメリットは?
基礎代謝は増えない。エネルギー消費量も多くない。
では、ダイエットにおいて筋力トレーニングを行うメリットはどこにあるでしょうか。
以前2月のコラムで、運動よりも食事制限の方が減量効果ははるかに大きいことを説明しました。
また同時に食事制限のみの減量では、筋肉や骨などの除脂肪組織の減少が生じ、筋肉が脂肪を燃焼する能力の低下やリバウンドの可能性が高くなってしまうことを説明しています。
ダイエットで筋力トレーニングを行う理由はこのあたりにあります。
減量によって減少しがちな筋肉を筋力トレーニングによって維持・増加させることで、体力の維持につながり、減量効果を促進することが期待されます。
筋肉量が維持・増加されることで、活発に有酸素運動を行うことができ、結果的にたくさんのエネルギーを消費することができます。
また、筋力トレーニングにより筋肉細胞への糖の取り込みが促進され、より多くの糖が筋肉で消費できるようになります。
このことは、高血糖や糖尿病の予防にもつながります。
したがって、ダイエット時に筋力トレーニングを行うメリットは、筋肉の量や質を維持・向上させることで、効率よくダイエットを行うことができるようになる点にあります。
まとめ
ダイエットの要点は
①有酸素運動でたくさんのエネルギー(脂肪)を燃焼すること
②筋力トレーニングで筋肉の量・質を維持・向上させること
③食事制限により摂取エネルギーの調整を行うこと
上記3点であると言えます。効率よくダイエットを行うために、筋力トレーニングを取り入れることを強くお勧めします。
次回のコラムでは具体的な筋力トレーニングの方法をお伝えしたいと思います。
【参考文献】
国立健康・栄養研究所, 「改訂版 身体活動のメッツ(Mets)表」, https://www.nibiohn.go.jp/files/2011mets.pdf
健康体力づくり事業財団, 「健康運動指導士養成講習会テキスト 上巻」, 南江堂, 64-154, 2022.
健康体力づくり事業財団, 「健康運動指導士養成講習会テキスト 下巻」, 南江堂, 569-634, 2022.
執筆者
川福医療福祉大学 医療技術学部 健康体育学科 准教授
川崎医科大学附属病院 健康診断センター 健康運動指導士
博士(健康科学)
日本陸上競技連盟公認審判員
全日本スキー連盟公認スキー準指導員
脇本 敏裕
(わきもと としひろ)
岡山県倉敷市にある川策医療福祉大学で健康づくりのための運動指導のスペシャリストである健康運動指導の養成に従事しています。川崎医科大学附属病院健康診断センターでは健康運動指導士として健康づくりのための運動指導に従事しています。
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