アスリート育成に必要な食事とは?バランスの良い食事で我が子をサポートしよう②
前回のコラムでは、アスリートにとってバランスの良い食事が重要であり、バランスの良い食事とは「主食」・「主菜」・「副菜」・「果物」・「乳製品」がそろった食事だということをお伝えしました。
今回は、それぞれに含まれる主な栄養素と働きのうち【主食】【主菜】についてお伝えします。
主に含まれる栄養素とその働き
主食(主に糖質、一般に炭水化物)
主食にはご飯、パン類、麺類、餅、ジャガイモなどがあげられます。
主食に多く含まれる炭水化物は体を動かすためのエネルギー源として大部分を占めています。
主食のポイント
•主食を十分にとらないと体重は増えない
•筋肉の分解を抑える(筋肉量の減少を抑える)
•疲労回復のサポート
アスリートは一般の人に比べ消費エネルギーが多くなっています。
主食はその消費量分をカバーする中心の食品類です。体重増加には摂取エネルギーが消費エネルギーを上回る必要があります。そこで主食(糖質)から十分にエネルギーを摂る必要性が出てきます。
また、筋肉量を増やすことがアスリートにとっての体重増加になりますが、それにも糖質は関係しています。ヒトの体というのは糖質の不足によりエネルギーが足りなくなると筋肉を分解してエネルギーを作ろうとします。そのため主食を十分にとることで筋肉の分解を抑えることができるのです。
ここが重要!!
タンパク質や脂質にもエネルギーはあり、脂質に関しては1g当たりのエネルギー量が糖質・タンパク質以上に多いです。それでも糖質を主とする食事が必要な理由は、疲労しない体をつくるためです。
ここでカギになるのは、筋グリコーゲンというものです。筋グリコーゲンは糖質(グルコース)が筋肉に貯蔵される時の形でありこれが運動時に筋肉のエネルギーとなって使われ、不足・枯渇すると疲労に繋がります。
三大栄養素の中でも糖質だけが酸素のない状況下でもエネルギーを作ることができます。そういう点でも、エネルギー源として最も大切な栄養素と言えるでしょう。
しかしながら、貯められる量は限られているので激しいスポーツではすぐに枯渇してしまいます。よって、主食は毎食しっかり摂る必要があります。
主菜(主にタンパク質・脂質)*ビタミン・ミネラルも含む
主菜は、魚、肉、卵、豆、豆製品などがあげられます。
主菜に多く含まれるタンパク質や脂質は体をつくる材料です。
主菜のポイント
•筋肉を作るもとになる
•細胞、組織を構成する主成分
•体温を上げる
タンパク質は筋肉のもとになる。これはきっとほとんどの方がご存知だと思います。タンパク質は筋肉を合成する主な栄養素となります。(タンパク質だけではありませんが)
他にも体の中の内臓、骨、代謝や、エネルギー代謝をサポートする酵素、免疫反応に必要な抗体や細胞など体の中の様々な組織はタンパク質からできています。筋肉だけでなく、人が生きていく中で必要不可欠なものをつくりだすための主成分にもなっているということです。
また、糖質、脂質、タンパク質の三大栄養素の中で1番体温をあげるのはタンパク質です。朝は体温がさがっています。そこでタンパク質を朝からしっかり摂ることで体温があがり、身体が動きやすくなります。
タンパク質の特徴
糖質や脂質とは違い体内に貯蔵ができないということが挙げられます。
体内で合成と分解を繰り返しているので、毎食適切量をとることで、効率よく摂取できるようになります。
タンパク質には、動物性(肉・魚・卵・乳製品)と植物性(豆・豆製品)があります。どちらかにだけ偏らず3食でバランスよくとっていきましょう。それがタンパク質の力を引き出すコツです。
また、脂質もタンパク質同様に人体の構成成分になる栄養素です。
「脂質」と聞くと悪いイメージがあるかも知れませんが、決して悪者ではありません。
脂質の特徴
中性脂肪の構成成分である脂肪酸の中には体内でほぼ合成できないものがあり、それを必須脂肪酸と呼びます。これらは食事からとる必要性が高い脂肪です。必須脂肪酸は動脈硬化の予防、炎症抑制などの作用を持ちます。
また、生体膜やホルモンは人が生きていく中で必要不可欠です。
それも脂質をもとに作っています。そして、アスリートは多くのエネルギーを必要とすると言いましたがそれを賄うとすればその食事の量はかなり多くなってしまいます。
そこで1g当たり糖質やタンパク質の倍のエネルギーを持つ脂質を上手く取り入れることで、量を抑えることができます。脂溶性ビタミンの吸収も高めるという効果もあるので、上手くつかえば味方になる栄養素です。ですが、余分な脂肪(ファストフードやコンビニでの揚げ物の購入など)は控えるようにしましょう。
次回は、【副菜】【果物】【乳製品】についてお伝えしていきます。
執筆者
広瀬 陽香
(ひろせ はるか)
【セミナー】
・ヤングリーグ
大阪公立野球部
九州大学野球部
・水泳
選手や、ジュニア期(中学~高校生)アスリートの保護者の方など
【個人サポート】
・野球
全日本選手権出場
・バスケ
全国中学校バスケットボール大会優勝校
・陸上
日本インカレ出場選手
個人サポート・セミナーやSNSでの情報発信を通じて、ジュニア期アスリートの『成長』の大切さと”自ら考え、実践できる選手”が1人でも多く増えることをテーマとしてスポーツ栄養士として活動している。
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