骨盤矯正ってどんなこと?~骨盤の働きと骨盤矯正で期待できる効果を解説~ 

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はじめに

長時間のデスクワークや偏った姿勢、運動不足などの生活習慣をつづけると、骨格のバランスが崩れ、骨盤が歪む原因になることがあります。

意外かもしれませんが、骨盤の歪みによって、腰痛や肩こり、下半身太りやむくみにつながることもあり、骨盤を整えることで健康や美容にも大きく影響するといわれています。

骨盤の歪みに対して、近年「骨盤矯正」が注目されています。女性や産後のママさんが対象と思われがちですが、実は多くの人に関係する問題なんです。

骨盤を整えることで、身体の不調や見た目の変化に影響するとなると、ぜひ積極的に取り入れてみたいと思う方も多いと思います。

このコラムでは、骨盤の歪みによる影響と、骨盤矯正で期待できる効果などをお伝えします。

身体の土台、重要な骨盤の働き

骨盤は、上半身と下半身をつなぐ要であり、骨格を支えてくれる大切な身体の土台となります。骨盤は仙骨、尾骨、寛骨(腸骨、坐骨、恥骨が癒合したもの)から構成され、器のように内臓を保護する働きをしていますが、日常的な身体の動きにも大きく関係しています。骨盤が歪んだり傾いたりすると、身体のさまざまなところに影響を及ぼすといわれています。

 

骨盤の主な働きには下記の4つがあります。

①正しい姿勢の維持

骨盤は脊柱を支える土台であり、正しい姿勢になることで、見た目の美しさだけでなく、内臓の正常な機能血液循環の促進にも繋がります。逆に、姿勢が悪いと肩こりや腰痛、頭痛などの原因になるだけでなく、内臓が圧迫されてしまい、消化不良や便秘などの原因となることもあります。

運動機能のサポート

歩く走る跳ぶなどの動作の際に、体幹の安定性を保ち、スムーズな動きを可能にするために大切な基盤となります。骨盤周りの筋肉は、下半身の大きな筋肉と連動しており、この筋肉がバランス良く働くことで、効率的な運動ができるようになります。骨盤が安定することで身体が力を伝えやすくなると言われているので、スポーツ選手はパワー強化の目的で骨盤や体幹を鍛えることもあります。

骨盤が歪んでいると、特定の筋肉に負担がかかり、けがのリスクが高まる可能性も考えられます。

③内臓の位置の安定と保護

骨盤は、腸や膀胱、子宮などの重要な臓器を覆うように位置しており、外部からの衝撃から守っています。骨盤底筋群と呼ばれる筋肉は、骨盤の底を支え、内臓を正しい位置に保つ働きをしています。骨盤の歪みや骨盤底筋群が弱くなることで、内臓下垂や尿漏れ、頻尿などのトラブルを引き起こす可能性があります。特に女性は、妊娠・出産によって骨盤底筋群がダメージを受けやすくいといわれています。

生殖器の保護

骨盤内には生殖器があり妊娠・出産にも深く関わっています。女性の場合、骨盤は胎児を育む子宮を支え、出産時には産道となる重要な役割を果たします。骨盤の歪みは、子宮や卵巣への血流を阻害し、生理痛や生理不順、不妊症などの原因となる可能性も指摘されています。妊娠中は、リラキシンというホルモンの影響で骨盤の靭帯が緩み、出産に備えて骨盤が開きます。産後は、骨盤が不安定な状態になりやすく、適切なケアを行わないと歪みが定着してしまう可能性があります。

骨盤が歪む原因は?

身体の土台となる骨盤ですが、なぜ歪んでしまうのでしょうか?原因はさまざまですが、大きく分けて以下の3つが挙げられます。

①姿勢の悪さ

猫背や足を組む癖、片方に体重をかけて立つ癖などは、骨盤に負担をかけ、歪みにつながります。また、同じ姿勢でスマートフォンを見たり、長時間座って仕事をしたりすることがありますが、背中が丸まりやすく、姿勢が崩れる大きな原因になります。長時間同じ姿勢をとると、自然と骨盤の後傾(後ろに傾くこと)が起こり、全身のバランスをとるため、顔の位置が前にでてしまいます。頭の重さは、体重の10分の1くらいになるといわれており、首や肩にかかる負担も大きくなることで肩や首の不調、疲労感にもつながります。

②運動不足(筋力不足)

適度な運動は、骨盤周りの筋肉を鍛え、骨盤を安定させる効果があります。逆に運動不足だと、骨盤まわりの筋肉が衰えて骨盤を支えきれなくなり、歪みが生じやすくなります。運動不足や加齢により、筋力や柔軟性が低下してしまうと、バランスや姿勢も崩れ、腰やひざの不調にもつながることがあります。さらに体型の変化を引き起こす要因にもなります。

③出産

出産を終えた女性の骨盤は、赤ちゃんが産道を通るために大きく開いた状態です。産後は自然と元の位置に戻ろうとしますが、育児中の無理な姿勢(授乳や抱っこ)や、ホルモンバランスの変化、腹筋の弱化などにより、歪みが残ってしまうケースも少なくありません。そのため、出産前は感じなかった腰痛や骨盤まわりの不調を感じるようになる場合や、体型の変化に悩む人も多いです。

骨盤矯正について

重要な役割を果たす一方で、日常生活の癖や出産等で歪んでしまう骨盤。さまざまな不調の予防やスポーツ時のパフォーマンスアップのためにも、しっかり整えていきたいですよね。整える方法の1つとして、「骨盤矯正」があります。

骨盤矯正とは?

骨盤矯正は、歪んだ骨盤を正しい位置に戻す施術のことです。接骨院・整骨院やカイロプラクティックなどで受けることができます。


接骨院・整骨院では、柔道整復師と呼ばれる国家資格を取得した施術者が施術を行います。主に骨・関節・筋肉のけがを専門としていますが、関節や筋肉の専門的な知識や技術が豊富なので、その知識や技術を活かして骨盤矯正を行っている店舗もあります。


カイロプラクティックでは、カイロプラクターと呼ばれる施術者が脊椎や骨盤の歪みを手技で調整する施術を行います。

日本におけるカイロプラクティックは法制化されておらず、民間資格のみが存在するので、事前に施術者の資格も確認しておくと安心です。


店舗によって施術内容や方法は違いますが、手技を中心とした施術が多く、トムソンベッドといわれる専用のベッドが使用されることもあります。骨盤の歪みを調整するだけでなく、骨盤まわりの筋肉をほぐしたり、全身の骨格のバランスを見て関節の可動域を広げたりしながら、患者さんの身体の状態に合わせて歪みを整えていくことが多いです。



痛みがないように身体の負担を抑えた施術や、骨盤まわりの筋肉をほぐすためのマッサージやストレッチ、骨盤ベルトの販売など、店舗によって特徴や施術メニューがさまざまです。数回にわたって施術を行い、根本的な改善を目指すコース制を取り入れた店舗もあります。

予約制も多いので、初めて行く際は、ホームページやSNSなどで施術内容やメニュー、料金、予約方法などを事前にチェックしておくと安心です。


施術を受ける際に不安な点があれば、遠慮なく施術者や店舗のスタッフに相談しましょう。また、施術後には、日常生活における姿勢やストレッチ、エクササイズなど詳しく説明してもらえることもあるので、自分の身体の癖やセルフケアを知る機会にもなりますね。


骨盤矯正の効果

骨盤矯正を行うことでさまざまな効果が期待できます。

①姿勢の改善

骨盤が正しい位置に戻ると、背骨のS字カーブが自然な状態になります。猫背や反り腰、O脚、X脚といった悩みの改善はもちろん、姿勢が良くなることで気持ちも明るくなりますよね。背中も丸まりにくくなり、内臓の働きや血流、呼吸にも良い影響を与えるといわれています。

②身体のバランスが整う

骨盤の歪みは、身体のバランスを崩し、特定の部位に負担がかかりやすくなります。骨盤矯正によってバランスが整うと、負担が軽減され、歪みが原因の腰痛や肩こり、膝の痛みといった不調の改善が期待できます。

③内臓機能の向上

便秘や生理痛の緩和、冷え性の改善、基礎代謝の向上といった効果も期待できます。骨盤内には、消化器系や生殖器系など重要な臓器が収められています。骨盤の歪みは、これらの臓器を圧迫してしまい、機能低下を招く可能性があります。骨盤矯正によって骨盤内の空間が広がると、臓器が本来の機能を取り戻し、さまざまな不調の改善につながることが期待できます。

④産後のケア

妊娠・出産によって骨盤は大きく開き、靭帯が緩みます。さらに、骨盤底筋がダメージを受けることで機能の低下を招き、この状態がつづくと、腰痛や尿漏れといった不調が起こりやすくなります。

産後の骨盤矯正は、開いた骨盤を元の状態に戻し、これらのトラブルを予防・改善する効果が期待できます。また、骨盤の歪みが原因によるぽっこりお腹や手足のむくみなど、体型の変化にも効果が期待できます。


効果には個人差があり、身体の状態もそれぞれ異なります。

施術を受ける先生に自分の症状や悩み、身体の状態を見てもらいながら、自分にあった施術方法を相談してみましょう。

骨盤矯正の効果を高めるために~日常生活でできること~

施術院での骨盤矯正に加えて、日常生活においても正しい姿勢を意識し、適度な運動を行うことで、骨盤矯正の効果を高めることが期待できます。


正しい姿勢を維持する

デスクワーク中は、背筋を伸ばし、足を床にしっかりとつけて座るようにしましょう。パソコンのモニターの高さを調整したり、適切な椅子を使用したりして、自分の姿勢が正しく保つことができるように工夫してみるといいですね。

適度な運動やストレッチを行う

ウォーキングやヨガ、ピラティスなど、骨盤周りの筋肉を強化する運動をできる範囲で取り入れてみましょう。激しい運動ではなく、無理なく続けられる運動からはじめてみましょう。

運動が苦手な方には、骨盤周りのストレッチもおすすめです。家にいながら、手軽に骨盤周りの筋肉に刺激を与えることができます。椅子の上でストレッチができるグッズなどもあるので、活用してみるといいでしょう。

産後の方や腰に不安がある方は、かかりつけ医や骨盤矯正を受けた施術院に相談しながら取り組んでみましょう。

生活習慣を整える

食事や睡眠をしっかりとることも大切です。栄養バランスの良い食事を摂ることで、骨盤周りの筋肉や靭帯、骨を健康に保つことができます。カルシウムやタンパク質、ビタミンDなどを積極的に摂取しましょう。また、睡眠不足は、身体の回復力を低下させ、骨盤の歪みに悪影響を及ぼす可能性があります。毎日十分な睡眠時間を確保しましょう。

重い荷物を片側だけで持たない

重い荷物を片側だけで持つと、身体のバランスが崩れ、骨盤の歪みにつながる可能性があります。リュックサックの使用や荷物を両手で均等に持つようにしましょう。

骨盤の安定性が向上し、腰痛の軽減にもつながるといわれています。

骨盤ベルトを使用する

仕事や家事で忙しい中、姿勢や癖をずっと意識することは難しいですよね。また、子どもを連れて施術を受けに行くのは難しい、運動やストレッチをする時間がとれない、など継続的に骨盤矯正に時間を使えないこともあると思います。

そんな時は、装着したまま普段の生活ができる骨盤ベルトを活用することもおすすめです。ベルトの装着によりピンポイントに骨盤周囲が圧迫され、関節や靭帯がサポートされます。継続的かつ長期の使用をすることで、良い姿勢を保ちながら骨盤の歪みにアプローチすることができます。

施術院でも販売されていることがあるので、自分の体型や悩みにあった装着方法や装着位置を教えてもらいましょう。

その他施術を受ける場合によくある質問

Q: 骨盤の歪みの種類は?

A: 骨盤の歪みには、前傾後傾左右の傾きねじれなど、さまざまな種類があります。これらの歪みが複合的に発生している場合もあります。


Q: 骨盤矯正にかかる費用は?

A: 店舗、メニューによって異なりますが、1回あたり3,000円~8,000円程度が相場です。事前にホームページやSNSなどで検索したり、電話して確認しておくと安心です。


Q: 骨盤矯正の施術時間は?

A: 施術時間は、30分~1時間程度が一般的です。初回時にはカウンセリングで骨盤や身体の状態、現在の悩みなどを丁寧に確認する場合が多いので、通常よりも長くなることがあります。


Q: 産後の骨盤矯正はいつから始められる?

A: 産後の身体の状態は人それぞれです。かかりつけ医に相談し、いつ頃から始めることができるか確認してみましょう。一般的には産後1ヶ月頃から始める人が多いといわれていますが、自己判断をせず、身体の様子を見てかかりつけ医と相談しながら考えてみましょう。

まとめ

骨盤の歪みは、身体の不調や心の健康にも影響を及ぼす可能性があります。骨盤を整えることで、身体のバランスが整い、心も身体も良い影響を受けることが期待できます。

日常生活でのちょっとした意識や生活習慣を取り入れながら、必要な時には骨盤矯正の施術を受けることもおすすめです。

焦らず、じっくりと時間をかけて、自分の身体と向き合いながら、骨盤ケアに取り組んでいきましょう。


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