産前産後の姿勢ケア
女性のお客さまを担当していると「子供を産んでから体の不調を感じるようになった」とお聞きすることがよくあります。
そこで今回は、産前産後の体に起こりやすい変化とそのケア方法についてまとめていきます。
多くの女性を悩ませる産前産後に起こりやすい体の不調の原因は、大きく分けて２つです。
1つは骨や筋肉の「運動器系に起こる変化」と、もう1つは「ホルモン分泌などの生理的な変化」です。
ここでは1つ目の「運動器系に起こる変化」について詳しく説明していきます。
運動器系の変化の理由「体重の増加」
妊娠してから出産を迎えるにあたり、母体の体重が10kg前後増加するケースが多いです。
この体重増加の内訳は、赤ちゃん自体の重さと赤ちゃんの栄養になる血液量の増加や脂肪分の増加などです。
当然ですが、妊娠してから週数が進めば進むほど赤ちゃんは大きくなり、腹部の重さはどんどん増加していきます。
この重さを支えるために、自覚のあるなしに関わらず姿勢が変化していきます。
反り腰になりやすくなる
出産を経験した方ならば想像しやすいと思いますが、お腹が大きくなるにつれて反り腰になりやすくなります。
赤ちゃんの部屋となる子宮は骨盤の中にあります。
赤ちゃんの成長とともにお腹のふくらみは上方に広がり続け、臨月が近づくと赤ちゃんの重みは前方にかかります。
その重みが腰の骨（腰椎）のカーブをより強くすることになります。
この結果、反り腰になり、腰痛や坐骨神経痛などを引き起こす可能性が大きくなります。
また大きくなった子宮が内臓を圧迫し、下半身の血流を悪くすることもあります。
下半身の筋力低下
妊娠してから出産までの間、体に激しく負担のかかるような運動や生活は避けなければなりません。
ただ基本的な健康管理のための適度な運動は推奨されています。
しかし、母体に身体的、精神的な負荷がかかるのは事実です。
体重の増加や姿勢の変化が起こり始め、運動が遠ざかってしまうケースは少なくないように思います。
人間の活動にとって基本ともいえる「歩く」こと。
この「歩く」量が減ってしまうと、下半身の筋力低下と共に腰痛や肩こりの悪化がＯ脚やＸ脚などの骨格の歪み、産後の体のリカバリーに大きな影響を及ぼします。
産前産後のケア
上記で挙げたように産前産後では反り腰になりやすくなります。
その状態で腰だけで支えると痛みや故障が出てきます。
腰の筋肉だけでなく上半身全体、つまり「体幹」でお腹を支えられるようにエクササイズをしましょう。
呼吸エクササイズ
①自然に背筋を伸ばし、5秒間かけて思いっきり鼻から息を吸いきる。
②5秒かけて口から息を吐きだす。
これを３～5セット行います。
※立った状態でも、座った状態でも、寝た状態でも可です。
体幹を使えるようにするために、肋骨を大きく動かすことが大切です。
肋骨の動きを感じながら行うようにしましょう。
そのほかにも、マタニティヨガや地域で行われている体操などに積極的に参加してみましょう。
地面を感じてウォーキング
産前産後において反り腰になりやすいことは何度も述べました。
その反り腰が子宮を支えている骨盤にも影響し、その結果として太ももが内側にねじれてしまう内股や反対に開いてしまうガニ股になりやすい特徴もあります。
内股やガニ股を予防するためには、足の裏で地面を踏みしめる感覚をしっかりと感じながらウォーキングをすることが大切です。
内股やガニ股の多くは、足の裏の内側や外側に体重が偏ってしまうことが多く、足の裏全体を使って歩くことで下半身が整うことに繋がります。
体調が悪い場合は無理をせず、30分～1時間ほどのウォーキングを週に２～３回行うようにして体調管理に努めましょう。
執筆者
猫背・姿勢改善スタジオNature
姿勢改善パーソナルトレーナー
歯科専属姿勢トレーナー
ウォーキングコーチ
片山 翔太
(かたやま しょうた)
【資格】
柔道整復師
日本ストレッチトレーナー学院
①認定ストレッチトレーナー
②姿勢インストラクター
整骨院勤務を経て姿勢トレーナーに転身。
医療機関での姿勢セミナーや教育機関での講演の実績多数。
ラジオやTVのメディアにも定期的に出演し現在は子供を対象にした姿勢の教育のための活動に注力している
呼吸エクササイズで疲れにくい体を作ろう！
