第1印象について
さぁ、もう4月ですね。
進学、進級、職場などなど、新しい環境でスタートをきった方も。。。初めて出会う人も多いでしょう。
初対面で人に会う時、良い印象を持ってもらいたいと思いますよね。
いわゆる、第一印象ですね。今回は、第1印象について良い印象を持ってもらうためのヒントをお伝えしていきます。
ある人に初めて会う時、私たちはいろいろな情報から相手の性格や考えなどを推論します。
例えば、初めて対面した方が常にニコニコして、話し方もゆっくりで丁寧だと、「この人は、やさしく楽しい人かなぁ」と、その人の特徴をイメージします。
つまり、表情・言動・しぐさ・声の調子などから、その人が「どんな人か」をイメージするのです。
このことを「印象形成」と言います。
ここで、皆さまに1つ質問です。
異性に対して「グッとくるなぁ(魅力的だなと感じる)しぐさ、言動は何ですか?」
いかがでしょうか?
大学生の皆さんに、同じ質問をしました。
その結果、最も多かったのは「笑顔」でした。
男性から女性に対しても、またその逆も「笑顔」が最も多く挙がりました。
その他、「お店の人にちゃんとお礼を言う」、「礼儀正しいふるまい」など。
第1印象を良くするためにも、まずは「笑顔」が重要でしょう。
そして、「TPO(時と場所と場面)にあった身だしなみと言動」も大切です。
また、話をする時に相手の目を見て話すことや、相手の話をしっかりと聴くことも、第1印象を良くするかもしれません。
少しの意識で変わってきますね。
実験の紹介
さて、ここである古い実験をご紹介いたします。
中心特性の実験
大学生を対象に「ある特性の人物の特徴」を読み上げて、その人物の印象を評定するもので、2種類の文章が用意されました。
文章Aは、その人物について「知的な、器用な、勤勉な、温かい、決断力のある、実際的な、注意深い」と読み上げられました。
一方、文章Bでは「知的な、器用な、勤勉な、冷たい、決断力のある、実際的な、注意深い」と読み上げられました。
この後、文章Aの人物像と文章Bでの人物像の印象を評定してもらいました。
さて、皆さま、どちらの人物が好印象だったでしょうか?
結果は、文章Aを読んだ人物像の方が、文章Bに比べて好印象でした。
各条件の文章の違いは、「温かい」(A条件)と「冷たい」(B条件)だけの違いです。
このように、ある情報の印象を与えるのに中心的な働きをするもの(中心特性)とそうでないものがあります。
この場合、「温かい」と「冷たい」です。
したがって、人は情報の中で重要な部分(中心特性)に注目し、それ以外の部分は情報のとらえ方に影響を与えながら、全体的な印象を作り上げると考えられます。
中心特性になりやすい言葉として、個人的な親しみやすさや社会的な望ましさ、活動性・積極性などがあります。
その後の研究で「礼儀正しい」と「無骨な」、「表情豊かな」と「無表情な」も中心的特性として印象に大きな影響を与えると考えられています。
今度は、同じ方法で以下の2つの文章を読ませ、その人物像の印象を比較しました。
A条件の文章には「明るくて、素直で、頼もしく、用心深く、短気で、嫉妬深い」、
B条件の文章では「嫉妬深い、短気で、用心深く、頼もしく、素直で、明るくて」と読み上げられました。
この場合、A条件の文章が、B条件に比べ好印象を得ました。
両者の文章の形容詞は、全く同じで、並べる順序が違います。
A条件は、ポジティブな用語が最初に、B条件では最初にネガティブな用語から始まっています。
このように、最初にポジティブなことから始まると、印象が良くなるようです。この現象は「初頭効果」と呼ばれます。
(参照:Asch. S, 1946)
このことから、第3者に友達を紹介する時など、少し配慮すると良い印象を持ってもらえると思います。
最後に、異性に対して「えっ?ここは嫌!」と感じるしぐさ、言動は?と大学生に聞いてみました。
最も多かった回答は、「くちゃくちゃと音をたてて食べること」でした。この点も、皆さまお気を付けください。
さぁ、コラム書き上げた。ちょっとワンポイントも好印象につながるかも・・・。
赤のポケットチーフを差し込んで、街を歩きに出かけよう。
執筆者
川福医療福祉大学 医療福祉学部 臨床心理学科 教授
博士(心理学)
認定心理士
保野 孝弘
(ほの たかひろ)
川崎医療福祉大学では、心理学、睡眠学などを教えている。「わかりやすく」、「楽しい」講義を心掛けている。
また、地域貢献として、小中学校・高等学校、公民館に出向いて、「眠りの習慣と健康」について、子どもさんや保護者、ご高齢の方にお話ししている。
「もうちょっとだけ」の寝不足で、気づかないうちに・・
どれを選ぶ?迷える心