どれを選ぶ?迷える心

記事

2月14日はバレンタインデーでしたね。

デパートなどに出向くと、数多くのチョコレート。


種類がたくさんあり迷う方も多いと思います。

今回は「選ぶ」にまつわるお話です。


日常生活の中で「選ぶ」ことを経験することが数多くあります。

例えば、「夕飯の食材は何にしようか」「スイーツは何を食べようか」「どんな車に乗ろうか」「どんな服を着ようか」など、普段から「選ぶ」という行為に溢れています。


また、同じ種類の中から「選ぶ」ことも多くあります。

例えば、「甘いものが食べたい」と思えば、甘いものの中からケーキ、アイスクリーム、大福など種類があります。

ラーメンを食べに行っても、味噌、とんこつ、塩など種類が多いですよね。



「選ぶ」に関する研究

「選ぶ」に関する研究を2つご紹介します。

研究①


あるスーパーのジャム売り場の試食コーナーでの実験です。

ジャムを6種類並べた時と24種類を並べた時に、どのくらいの人が試食をしたか、またその中から商品を購入した人がどのくらいいたかを比較しました。


さて、結果はどうでしょうか?

皆さんも試食コーナーに立ち寄ってジャムを試食した状況を想像してみてください。


結果は、6種類の場合は試食者の約30%がジャムを購入しました。

一方、24種類の場合は、なんと約3%でした。


この結果から、選択肢が多くなるほど購買意欲が低下し、購入まで至らない可能性が高まると考えられます。


しかし、そう単純ではないケースも考えられます。


例えば、お客さんが「商品へのこだわり」が強かったり、商品についての知識が深かったりすると、どの商品を購入するのか結果に影響を及ぼします。


(参考書籍:シーナ・アイエンガー教授の『選択の科学』)

研究②


大学生を対象に、スイーツを4種類載せている写真と12種類載せている写真をそれぞれ見せます。


そして、好みのスイーツを1~3位まで選んでもらいます。


選び終わった後、自分が選んだスイーツについて評定してもらったところ、「もう一度選び直したい」「後悔している」という思いが、4種類の写真から選んだ場合よりも12種類の写真を見た人の方が強かったのです。


この結果から、選択肢が多くなればなるほど、選んだことを後悔しやすく、満足度が低下すると考えられます。

選択のオーバーロード現象

以上のように、選択肢が多くなるほど、自分の選んだ結果に満足しにくくなることがわかります。


そして、「選ぶ」ことを止めることにもなります。


このことを、「選択のオーバーロード現象」と言います。


選択肢が多すぎると、選ぶことに困難を感じてしまい、購買意欲を抑制してしまう現象です。


簡単に言えば、選ぶことへの負担です。


しかし、選択肢が多く、より自分に合ったものを選べることは幸せなことです。「選ぶ」ことを楽しみながら選択していきましょう。


コラムを書き終えた。さぁ、今日のランチは何を食べようか?

選ぶことを楽しむことができるといいなぁと思います。


執筆者

川福医療福祉大学 医療福祉学部 臨床心理学科 教授
博士(心理学)
認定心理士


保野 孝弘

(ほの たかひろ)




  • 川崎医療福祉大学では、心理学、睡眠学などを教えている。「わかりやすく」、「楽しい」講義を心掛けている。

    また、地域貢献として、小中学校・高等学校、公民館に出向いて、「眠りの習慣と健康」について、子どもさんや保護者、ご高齢の方にお話ししている。


「もうちょっとだけ」の寝不足で、気づかないうちに・・


お世話になっている人に「ありがとう」、いつも心に「ありがとう」




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