「ダイエットと運動」のはなし
皆さんこんにちは、前回のコラムでダイエットの話題に触れましたので、今回は運動とダイエットの関係を紹介したいと思います。
運動とダイエット
ダイエットにまつわる情報は世の中に星の数ほどあふれているように感じられます。甘い言葉の誘惑に負けそうになるかもしれませんが、ダイエットの基本はただ一つ。それは、エネルギー消費量がエネルギー摂取量を上回った時に体重(体脂肪)が減少するということです。
エネルギー消費量>エネルギー摂取量の状態が続くと体重は減少していき、エネルギー消費量<エネルギー摂取量の状態が続くと体重は増加していきます。では、エネルギー消費量とエネルギー摂取量はどのような要因で決まるでしょうか。
エネルギー消費量とエネルギー摂取量
ヒトのエネルギー摂取は口から栄養素を摂取すること、すなわち食べることのみでエネルギー摂取量は決まります。水を飲んでも体重が増える!!というようなことを耳にすることもありますが、そんなことはありません。エネルギー摂取量は食べた食品の持つエネルギーで決まります。
一方のエネルギー消費量を決定づける要因は3つあります。1つ目は基礎代謝と呼ばれる要素で、心臓の拍動や体温の維持など生命を維持するために消費されるエネルギーです。
2つ目は身体活動によるエネルギー消費で、運動や家事労働など、体を動かすことに伴うエネルギー消費です。
3つ目は食事誘発性体熱産生と呼ばれる要素で、食品の消化吸収等に伴うエネルギー消費です。食事をした後に体が温かくなるのは食事誘発性体熱産生が生じるためです。
3つのエネルギー消費は、基礎代謝が約60%、身体活動に伴うエネルギー消費が約30%、食事誘発性体熱産生が約10%の割合です。ダイエットを行う場合、この3つのエネルギー消費のうち2つ目の身体活動に伴うエネルギー消費量を増加させることを目的とした運動(身体活動)を行います(基礎代謝とダイエットの関係、食事と運動の関係は別の機会で紹介したいと思います)。
では、身体活動に伴うエネルギー消費量を増やすためにはどうしたらいいでしょうか。
身体活動に伴うエネルギー消費量を増やすためには
身体活動に伴うエネルギー消費量は活動の強さ、活動の継続時間、体格(体重)によって決まります。より重いもの、より速く、より長い時間移動させること、すなわちより遠くへ移動することでエネルギーを消費します。
このことは車や電車などが移動する時にガソリンや電気を消費することと同じで、生き物は体にため込んだ栄養素(糖や脂肪)を移動するためのエネルギー源として利用することで糖や脂肪を消費しています。
ゆっくり歩くよりも早歩き、ジョギングよりもランニングのように、速く移動した方がたくさんのエネルギーを消費するように思われるかもしれませんが、移動速度よりも移動距離の方がエネルギー消費量にははるかに大きく影響します。
したがって、ダイエット目的のウォーキング1Kmと、何気ない通勤や通学の1Kmにエネルギーの違いは大きくありません。一日の運動量を評価する目安として歩数を使用するのはこのあたりに理由があります。
最近ではほとんどのスマートフォンに歩数を計測できるアプリケーションが搭載されています。まずは、このコラムを読んでいるスマホを使ってご自身の歩数を把握されることから始めてみてはいかがでしょうか。
執筆者
川福医療福祉大学 医療技術学部 健康体育学科 純教授
川崎医科大学附属病院 健康診断センター 健康運動指導士
博士(健康科学)
日本陸上競技連盟公認審判員
全日本スキー連盟公認スキー準指導員
脇本 敏裕
(わきもと としひろ)
岡山県倉敷市にある川策医療福祉大学で健康づくりのための運動指導のスペシャリストである健康運動指導の養成に従事しています。川崎医科大学附属病院健康診断センターでは健康運動指導士として健康づくりのための運動指導に従事しています。
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