“健康づくりのための運動” 正しい情報ってどんな情報??

記事

ダイエット情報を集めてみると、こんな話よく聞きませんか??


◇ダイエットにはウォーキングがいい!! いや、ゆっくりジョギングした方がいい!!


◇筋トレをして筋肉が増えると、基礎代謝が増えて太りにくく(やせやすく)なる!!


ダイエットを始めようとしたとき、こんな話をされたらどうでしょう??


◆「運動」によるエネルギー消費量は想像以上に少なく、「運動」だけで減量することは容易ではない。


◆減量時の筋力トレーニングにより除脂肪体重(体重から体脂肪の重さを差し引いた重量:筋肉や内臓、骨、血液などが含まれる)の減少は抑制されるが、基礎代謝の低下を防ぐことはできない。


正しい情報ってどんな情報?


◇の2つの文章はインターネット等でよく目にするダイエットにまつわる運動のメリットを示した情報です。◆の2つの文章は健康づくりのための運動指導の専門家である“健康運動指導士”の養成テキストに書かれている情報です。


インターネットが普及し、あらゆる情報が簡単に手に入るようになりました。健康づくりの情報も世の中にあふれていて、ついつい甘い言葉に飛びつきたくなってしまいます。上記の例で示したように、教科書に記載されるような根拠のはっきりとした情報は、時として都合の悪い情報(聞かなかったことにしたい情報)のように聞こえることがあります。


このコラムでは、科学的な根拠に基づいているかどうかを考えながら、健康づくりと運動にまつわる色々な情報を紹介したいと思います。


運動が”健康”に及ぼす基本的な効果

 さて前置きが長くなりましたが、第1回の今回は、運動が“健康”に及ぼす基本的な効果について紹介したいと思います。2013年に厚生労働省から公表された「健康づくりのための身体活動基準2013」には、からだを動かすことの効果として、


①生活習慣病(循環器疾患、糖尿病、がん等)のリスク低下

②生活機能低下(ロコモティブシンドローム、認知症等)の予防


の2つが掲げられています。これらの効果と運動量との間には“量-反応関係”と呼ばれる、反比例の関係が成立します。すなわち、運動量が増えると、生活習慣病や生活機能低下の可能性が低下します。




具体的には、1日の活動量(例えば、普通の速さで歩いている時間)を2-3分程度増やすことで、生活習慣病の発症、がん発症、ロコモティブシンドローム・認知症発症の危険性を低下させることができると言われています。


かつては運動を20分以上続けないと効果がないだとか、30分以上運動しないと脂肪は燃焼しないなどと言われていました。健康づくりのための身体活動基準2013のデータを読み解くと、1日に2-3分でも普通に歩くような活動を繰り返すことで運動の効果が得られることが分かります。


またウォーキングのような意識的な運動と、通勤や家事などでの活動(生活活動と呼ばれます)との間に大きな違いはありません。

 

健康づくりのために運動をしようと思うと、何か特別なことを始めないといけないような気がしますが、決してそうではありません。オフィスの中でちょっと遠くのトイレを使う、車をいつもより遠くに止める、お買い物でお店の中を余分に歩く等、ちょっとずつ積み重ねて体を動かすことが、健康づくりの運動を始める(続ける)第一歩であると言えます。


できることからコツコツと、まずは90%くらいできそう(続けられそう)なことから始めてみてはいかがでしょうか。



執筆者

川福医療福祉大学 医療技術学部 健康体育学科 純教授
川崎医科大学附属病院 健康診断センター 健康運動指導士
博士(健康科学)
日本陸上競技連盟公認審判員
全日本スキー連盟公認スキー準指導員

脇本 敏裕

(わきもと としひろ)




  • 岡山県倉敷市にある川策医療福祉大学で健康づくりのための運動指導のスペシャリストである健康運動指導の養成に従事しています。川崎医科大学附属病院健康診断センターでは健康運動指導士として健康づくりのための運動指導に従事しています。


【健康情報】秋が旬!さつまいものすすめ


【健康情報】足先、指先、冷えていませんか?




Facebook
X
Line

そのお悩み、ここで解決するかも?!
お悩みを相談できる整骨院・接骨院・鍼灸院はこちら

\ 気になる症状をclick! /

気になる症状をクリックしてお悩みを相談できる
整骨院・接骨院・鍼灸院を探せます

お悩み別カテゴリ