スポーツ障害の考え方
スポーツ障害とはいわゆるスポーツを行うことが原因で発症した怪我のことです。
ボールを投げて肘や肩を痛める、走って膝を痛める、ジャンプして膝の靭帯を損傷する、など一言で「スポーツ障害」と言っても様々な症状があります。
今回は「なぜスポーツ障害が起こるのか?」についてお話します。
なぜスポーツ障害が起こるのか?
スポーツ障害が起こる原因は3つあります。
①間違った動作を繰り返す
代表的なものに野球肘やテニス肘と言われるものやランナー膝やジャンパー膝と言われるものがあります。もしこれがスポーツをすることで起きるものであれば、野球をしている人たちはみんな野球肘になります。
しかしそうではありません。ならない人は正しい動作で行っているからです。人の体は理屈通りに動きます。正しい理屈で動かせば怪我をすることはありません。間違った動きを行えば代償動作(動いていない関節に対して他の関節が本来の動作を補って動くこと)により、ある部位に負担がかかり痛めてしまいます。
例えばボールを投げる動作をイメージしてみてください。肘を曲げて腕を真横に90°挙上します。そして手のひらを後方へ回します。この時人の前腕は90°(直上)まで回せます。しかし、肘を曲げて腕を閉じて手のひらを後方へ回すと60°しか回せません。
つまりボールを投げるときに肘が肩の真横より下にさがった状態で投げるとボールを持った手を無理して90°近く回そうとします。本来動かせない角度まで動かそうとするため代償動作が起こり肩や肘に負担がかかります。これを繰り返すことで負担が特にかかっている部位が痛くなります。
これで肘に痛みがでるといわゆる野球肘と言われます。このように間違った動作で起こってしまったスポーツ障害は間違った動きを正していかなければいけません。これは膝や腰においても同様です。ですので膝が痛く「成長痛」と言われるものも、成長期に必ずでる症状ではありません。正しい股関節と膝の使い方をしていれば成長痛はおこりません。
②練習のし過ぎ(オーバーワーク)
1つ目に記述したようにどんなに正しく体を使っていても、やり過ぎは体に負担がかかります。人間は動いたら栄養を摂取して休む(運動・栄養・休養)という基本的なシステムで成り立っています。
そのシステムの目的は「生きる」ため。なので運動により「疲れる」、空腹で「お腹がすく」、睡眠不足で「眠い」は人間の危険回避のためのシグナルとも言えます。それを無視すると人の体は何かしらの不調が現れます。運動に関しては「痛み」です。やり過ぎによる痛みは休むことが大切です。
オーバーワークに関しては疲労を感じながら運動をすることで動きがおかしくなることがあります。すると1つ目の間違った動きによるスポーツ障害にもつながります。「休む」こともレベルアップに必要な要素です。
③不慮の事故
これは主に野球やサッカーなどの団体競技や柔道やレスリングなどの対人競技において考えられます。
投げたボールが当たるとか、相手が膝の上に乗ってくるなど、鍛えていても自分のできる範疇以外の要因で起こってしまうため、事前に対策をしておくことができません。不慮の事故に関しては負傷した後にすみやかに処置をすることが大切です。
まとめ
以上のように、スポーツ障害は起こって当たり前ではなく事前に対応することが可能です。(不慮の事故を除く)
一流選手の絶対的条件は「怪我をしないこと」です。
怪我をしていることは名誉の負傷という考えではなく、怪我をせず現役を終えることが何よりも一流と考えてみてください。
執筆者
合同会社HATTORI project 代表社員
リハビリ&トレーニング C-power 代表
理学療法士
JATI・ATI
JHBA認定アドバンスメンタルトレーナー
服部 融法
(はっとり ゆうほう)
【著書】
一瞬で心が変わる!
=良いも悪いも思い込みは現実になる=
著者 服部融法(C-power代表)
林原慧未子(ホリステックブレイン学院校長)
海外での柔道指導、高校保健体育科の教諭、病院でのリハビリ科勤務
さまざまな分野の経歴を持つ異色のトレーナー
現在は不調がある方や高齢者からスポーツ選手まで幅広くリハビリトレーニングを
行っている。
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