筋トレは週3回でOK!?コスパ最高!!正しい筋トレのススメ
皆さんこんにちは、前回のコラムではダイエットにおける筋力トレーニングの役割や効果について説明しました。今回のコラムでは筋力トレーニングについて、具体的な実践方法を紹介したいと思います。
皆さんは筋力トレーニングにどのようなイメージを持たれているでしょうか。
「つらい」「しんどい」「筋肉痛になる」などなどあまり良いイメージを持っていない方が多いのではないでしょうか。
確かに腹筋や腕立て伏せなど、きつくてしんどい運動の割に具体的な効果を感じられない方が多いのかもしれません。
あまりいいイメージを持たれていないように思える筋力トレーニングですが、正しい方法(負荷や回数、頻度など)を用いて行うことで、意外と簡単に効果を上げることができる運動です。
まず、筋力トレーニングの効果について確認しておきましょう。
筋力トレーニングの直接的な効果は以下の二つで、①筋力が向上すること、②筋肥大により筋肉量を増加させることです。
また筋力が向上したり、筋肉量が増加することによる副次的な効果として、日常生活の様々な活動(力を使うような動作:布団の上げ下ろしや階段の上り下りなど)が楽になることや寝たきりの予防、関節痛の予防や改善、糖尿病の予防等につながります。
筋力トレーニングを効果的に行うことで、生活の質を向上させられると考えるとよいでしょう。
具体的なトレーニング方法
では具体的な筋力トレーニングの方法を説明します。
今回は一般的によく行われる、筋肥大を起こしながら筋力を向上させるトレーニングの条件設定を説明したいと思います。
まず、筋肥大を起こすための要素は以下の2つで、①大きな力を発揮することと、②筋肉を疲労させることです。
①大きな力を発揮する
筋肉を効率よく肥大させるためにはその人が発揮できる筋力の最大値である最大筋力の70~80%の力を発揮する必要があると言われています。
一般的によく行われる筋力トレーニング種目である腕立て伏せや腹筋運動のような自分の体重を負荷とした種目ではこの最大筋力の70~80%という負荷をかけることは困難です。
バーベルやダンベル、トレーニングマシンなどを用いることで、筋肉に十分な負荷を与えることができます。
②筋肉を疲労させる
筋肉を疲労させるために大切なことは、限界に至るか、筋に疲労を感じるまでトレーニングを繰り返すこと、筋肉の疲労が完全に回復する前に次のトレーニングを行うことです。
最大筋力の70~80%の負荷でトレーニングを行った場合、10~12回程度のトレーニングで限界に達します。
この10~12回で限界に至るか、疲労を感じるようなトレーニングを1分程度の休息を挟んで3~5回(セット)繰り返すことで効率よく筋肉を鍛えることができます。
ここまで読んでいただくと、なんだ高い負荷なんてかけられないじゃないかと思われたのではないでしょうか。
最近の研究で、低い負荷でもある工夫をすることで高い負荷をかけた場合と同じような効果が得られることが明らかにされています。
その方法はとても簡単で、トレーニングの動作を“ゆっくり”かつ“止めない”で行うことです。
スクワットであればしゃがむのに3秒、立ち上がるのに3秒かけ、立ち上がったタイミングで動作を止めない(立ち上がった姿勢で休憩しない)ことで、筋肉を疲労させ、かつ十分に負荷をかけることができます。
皆さんのよく知っている腕立て伏せや腹筋運動、スクワット等のトレーニング種目をゆっくりとした動作を心がけて、筋肉に疲労(だるさや軽い痛み)を感じるまで動作を繰り返してみましょう。
おおむね10回から12回程度の動作を反復することで筋肉に適度な疲労を感じることができます。
この方法で1分程度の休息を挟んで3~5セットトレーニングを繰り返すことで効率よく筋肉が鍛えられます。
トレーニングの効果を得るためには毎日トレーニングしなくちゃいけないと考えられる方がおられるかもしれませんが、筋力トレーニングの頻度は週3回が上限で、それ以上トレーニングを行っても週3回以上の効果が得られないことが分かっています。
一つの種目につき1日~2日程度の休息を挟みながらトレーニングを行うことで十分な効果を得ることができます。
また、週1回のトレーニングでも現状の筋力や筋肉量を維持することが可能であると言われています。
まとめ
筋力トレーニングをゆっくりとした動作を心がけながら10回のトレーニングを1分程度の休息を挟んで3セット繰り返しましょう。このトレーニングを週3回繰り返すことで効果的にトレーニングできます。
月曜日:スクワット、火曜日:腕立て伏せ、水曜日:腹筋、木曜日:スクワット、金曜日:腕立て伏せ、土曜日:腹筋、日曜日:お休み
といったように日替わりでトレーニングを行ってもよいかもしれません。
10回3セットのトレーニングはゆっくり行ったとしても5分程度しかかかりません。
毎日5分、種目をかえながらトレーニングを行ってみてはいかがでしょうか。
3ヶ月ほど続けると少しずつ体の変化が感じられるかもしれませんよ。
〈参考文献〉
健康体力づくり事業財団, 「健康運動指導士養成講習会テキスト 上巻」, 南江堂, 293-302, 2022.
執筆者
川福医療福祉大学 医療技術学部 健康体育学科 純教授
川崎医科大学附属病院 健康診断センター 健康運動指導士
博士(健康科学)
日本陸上競技連盟公認審判員
全日本スキー連盟公認スキー準指導員
脇本 敏裕
(わきもと としひろ)
岡山県倉敷市にある川策医療福祉大学で健康づくりのための運動指導のスペシャリストである健康運動指導の養成に従事しています。川崎医科大学附属病院健康診断センターでは健康運動指導士として健康づくりのための運動指導に従事しています。
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