歩く? 走る? それともペダルこぐ? やせるにはどれが効果的?

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皆さんこんにちは。前回のコラムでは減量に水中での運動がおすすめな理由をご説明しました。


今回のコラムではウォーキングやジョギング、サイクリングなど、ダイエットに一般的に用いられる有酸素性運動について、そのメリットやデメリット、取り組み方のポイントを紹介したいと思います。


以前のコラムでダイエットでは有酸素性運動を行うことで、エネルギー消費量を増加することが大切であることを説明しました。

有酸素性運動には前回紹介した水中での運動の他に、ウォーキングやジョギング、自転車こぎが代表的な種目としてあげられます。フィットネスクラブ等へ行くと、たくさんのルームランナーやエアロバイクが並んでおり、どのマシンを使えばいいのか迷ってしまいます。


有酸素運動を行う上での前提として、運動の“強さ×時間”が同じ場合、その運動で消費するエネルギーや脂肪の量は同じであるという条件があります。


つまり、ウォーキングであれ自転車こぎであれ、運動をしているときの心拍数や酸素消費量が同じで、運動の持続時間が同じ場合、その運動で消費するエネルギーの量(脂肪の量)に大きな違いはありません。


したがって、ウォーキング(またはジョギング)と自転車こぎを比較した場合、エネルギー消費の点から考えると、運動の強さ・時間が同じ場合、両者に大きな違いはないと言えます。


では、ウォーキング(またはジョギング)と自転車こぎをどのように使い分ければよいでしょうか。


両者の違いは膝や腰にかかる負担にあります。

ウォーキングやジョギングでは、体重を脚で支えながら運動するため、移動速度に応じた負担が足腰に掛かります。


一方、自転車こぎでは、サドルに座った状態で運動するため、体重の大部分がサドルで支えられ、足腰にかかる負担は軽減されます。


したがって、足腰に自信がある方はウォーキングやジョギングを、足腰に不安がある方は自転車を選ぶことで、より安全で効果的に運動することができます。


また、体重が重い方は体重をかけてペダルをこぐことができるため、自転車を選ぶことでウォーキングやジョギングよりも負担感を感じることなく運動することができます。逆に体重が軽い方は体重をかけてペダルをこぐことが難しいため、自転車よりもウォーキングやジョギングを選んだ方が楽に運動することができます。


このように、ウォーキングやジョギングを選ぶか、自転車を選ぶかで迷ったときは、足腰の状態や体重を考慮して種目を選択してください。


次に、ウォーキングとジョギングではどちらがダイエットに効果的でしょうか。


まず、ウォーキング(歩行)とジョギング(走行)の違いから説明します。

歩行と走行、両者の違いは両足が地面についている時間があるかないか、両足が地面から離れる時間があるかないかで決められています。


つまり、両足が地面についている時間(両脚支持相)があるのが歩行で、両足が地面から離れる時間(遊脚相)があるのが走行です。


歩く場合、両脚支持相があるため、重心の移動がスムーズで、消費するエネルギーを節約しながら移動することができます。


一方の走行では遊脚相があり、一歩一歩跳びはねながら前へ進むため、より多くのエネルギーを消費します。


したがって、エネルギー消費の観点からみると、ウォーキングよりもジョギングの方がより多くのエネルギー(脂肪)を消費することができます。


体重60kgの人が1km移動する運動を例にエネルギー消費量を比較すると、ウォーキングでは49kcal程度消費するのに対し、ジョギングでは60kcal程度のエネルギーを消費します。


ジョギングでは運動強度が高くなるため、エネルギー消費量だけではなく、体力を向上させる効果や生活習慣病を予防する効果もウォーキングよりも得られやすいと言えます。


またジョギングはウォーキングと比較して同じエネルギーを消費する(同じ距離を移動する)際に要する時間が短いため、エネルギー消費や体力向上をより短い時間で達成することができます。


ただし、ジョギングは一歩一歩跳びはねるため、足腰への負担が大きくなります。

ウォーキングとジョギングの選択でも、やはり足腰への負担を考える必要があります。


以上から、有酸素運動の種目を選択する際は、足腰の状態や体重等を考慮する必要があると言えます。

またジョギングのように、より高い運動強度で運動することで運動に要する時間を短縮することができる点も大切です。


有酸素運動を選択する際はご自身の体力や健康状態、足腰の状態を考慮して種目を選択するといいでしょう。


【参考文献】


健康体力づくり事業財団, 「健康運動指導士養成講習会テキスト 上巻」, 南江堂, 311-316, 2022.


健康体力づくり事業財団, 「健康運動指導士養成講習会テキスト 下巻」, 南江堂, 465-474, 2022.



執筆者

川崎医療福祉大学 医療技術学部 健康体育学科 准教授
川崎医科大学附属病院 健康診断センター 健康運動指導士
博士(健康科学)
日本陸上競技連盟公認審判員
全日本スキー連盟公認スキー準指導員

脇本 敏裕

(わきもと としひろ)




  • 岡山県倉敷市にある川策医療福祉大学で健康づくりのための運動指導のスペシャリストである健康運動指導の養成に従事しています。川崎医科大学附属病院健康診断センターでは健康運動指導士として健康づくりのための運動指導に従事しています。


“減量に水中での運動がおすすめな理由


減量における有酸素性運動の役割と取り組み方




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