鍼灸師が伝える!東洋医学を使った産後のこころセルフケア

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「とても幸せ!」「赤ちゃんかわいい~」と赤ちゃんとの幸せな時間に胸を膨らませて始まった子育て。

しかしその一方で、「なぜか不安になる」「涙が止まらない」「イライラしてしまう」といった感情の起伏を感じて理想と現実のギャップに苦しんでいませんか。


このコラムでは、産後のこころの変化を西洋医学東洋医学の両方の視点から紐解き、心のバランスを整えるためのセルフケア方法を紹介します。今の自分の心と向き合いながら、無理なくできるケアを取り入れてみましょう。

 

産後のこころの変化

産後のこころの変化は、多くのママが経験するものです。なぜなら産後に起こるホルモンバランスの急激な変化が感情に大きな影響を与えているからです。

 

妊娠中に増加していたエストロゲンプロゲステロンといったホルモンは、出産後に急激に減少します。ホルモンの急激な減少は、気分の落ち込みやイライラを引き起こすことがあります。他にも産後の授乳に関わるプロラクチンオキシトシンの影響で、不安感や攻撃性を感じやすくなることもあります。

 

さらに、産後の環境の変化もこころに大きな影響を及ぼします。赤ちゃん中心の生活になり、不眠不休で慣れない育児に追われることで、心身ともに疲労が蓄積しやすくなります。授乳や夜泣き対応などでまとまった睡眠が取れず、気力が湧かなくなったり、イライラが増したりすることもあります。

 

また、親になったという自覚が芽生えることで、「ちゃんと育てなければ」「母親としてこうあるべき」といったプレッシャーを感じることもあるでしょう。理想と現実のギャップに悩み、自信を失うことも少なくありません。


このように、産後のこころの変化は、ホルモンバランスの急激な変化・生活リズムや環境の変化・親としての自覚の芽生えの三つの要因が絡み合って多くのママが経験することになります。

 

東洋医学の考え方

東洋医学では、「五臓(ごぞう)」が体だけでなくこころや感情にも深く関わっていると考えています。五臓とは解剖学的な臓器のことではなくて、体に備わっている機能やバランスを調整する働きを示す概念です。

五臓には「肝(かん)」「心(しん)」「脾(ひ)」「肺(はい)」「腎(じん)」と呼ばれる5つの臓があり、お互いにバランスを取り合っています。

 

産後のこころに影響を与える「五臓」の働き

産後の女性は、妊娠・出産で体力を大きく消耗し、エネルギーが枯渇しているため、五臓の働きが乱れやすくなります。その結果、体調不良やこころの不調が現れます。

五臓を整えることは、産後の心身の健康を支える大切なポイントです。五臓それぞれの働きと感情に与える影響を紹介するので、自分にあてはまることがないかチェックしながら読んでみてください。

 

 

★「肝(かん)」の働きとこころへの影響

肝には感情を調整する、「気」や「血」の巡りをスムーズにする働きなどがあります。感情では「怒り」と密接な関係があるとされています。

 

肝が弱っていると

イライラしやすい
判断力が落ちる
些細なことで不安になる
頭がぼーっとしやすい
目が疲れる
筋肉がつりやすい
爪が弱くなる
月経トラブル

といったトラブルが現れます。

 

★「心(しん)」の働きとこころへの影響

心には精神を安定させる働きや睡眠の質を保つ働きなどがあります。感情では「不安」と密接な関係があるとされています。

 

心が弱っていると

不安感が強くなる
動悸がしやすい
気持ちが落ち込みやすい
眠りが浅く、夜中に何度も目が覚める

汗をかきやすい
顔色が悪い
物忘れが多い

といったトラブルが現れます。

 

★「脾(ひ)」の働きとこころへの影響

脾には消化吸収気力の回復、気力・体力を維持するという働きなどがあります。感情では「憂鬱」と密接な関係あるとされています。

 

脾が弱っていると

体がだるく、疲れが取れない
胃腸の調子が悪く、食欲が落ちる
何もやる気が起きない
ぼんやりしがち

口内炎
軟便
肌トラブル

といったトラブルが現れます。

 

★「肺(はい)」の働きとこころへの影響

肺には気を全身に巡らせる、免疫力を保つという働きなどがあります。感情では「悲しみ」と密接な関係があるとされています。

 

肺が弱っていると

ふとした瞬間に涙が出る(理由がないのに悲しい)
赤ちゃんと家にこもることで孤独感を感じやすい
風邪をひきやすい、喉が弱くなる
息が浅くなり、呼吸が苦しいことがある

といったトラブルが現れます。

 

★「腎」の働きとこころへの影響

腎には生命エネルギーを貯蔵する、ホルモンバランスの調節といった働きなどがあります。感情では「恐れ」と密接な関係があるとされています。

 

腎が弱っていると
漠然とした不安を感じる(子どもの将来が心配)
体が冷えやすくなる(特に下半身)
白髪や抜け毛が増える
腰や膝がだるく、足腰が弱くなる

といったトラブルが現れます。

 

 

こころを整える東洋医学的セルフケア方法

 五臓の弱っている場所に気が付いた人は五臓のタイプにあわせたセルフケアを紹介するので、生活に取り入れてみてください。コツコツと継続するとこころの状態や体調が整ってくると思います。

 

東洋医学的セルフケア方法

「肝」が弱っているときには

🔸  イライラしたときは百会(ひゃくえ)を押す。頭に昇った気が発散されてスッキリします。

ツボの場所:頭のてっぺん、左右の耳の先端を結んだ線と顔の中心線が交わるところ
🔸深呼吸やストレッチで気の巡りを良くする
🔸 香りの良い食材(シソ、レモン、生姜など)を摂る

 

「心」が弱っているときには

🔸 寝る前に神門(しんもん)を押すと心拍が落ち着いて睡眠の質向上が期待できます。

ツボの場所:手首の横ジワ上、小指側のくぼんだところ
🔸 赤色の食材(ナツメ、小豆、トマトなど)を摂る
🔸 寝る前に足湯や温かい飲み物でリラックス

 

「脾」が弱っているときには

🔸 朝起きたときに足三里(あしさんり)を押すと消化器の働きが良くなり元気ややる気が出やすくなります。

  ツボの場所:膝のお皿の下から指4本分下がったところ、すねの外側。

🔸 温かいスープや消化の良いものを食べる(お粥、さつまいも)

🔸 冷たい飲み物を避け、胃腸を冷やさない

 

「肺」が弱っているときには

🔸 気持ちが落ち込むときは列缺(れっけつ)を押しながら深呼吸をしてリラックス。

ツボの場所:手首の横ジワから親指側に指1.5本分上がったところ、骨の際
🔸 外の空気を吸いに行く(散歩や深呼吸)
🔸 白い食材(大根・レンコン・豆乳)を摂る

 

「腎」が弱っているときには

🔸 寝る前に湧泉(ゆうせん)を押すと体のエネルギーを補い疲労回復を促します。

ツボの場所:足の裏の中央よりやや上、足指を曲げたときにへこむところ
🔸 黒い食材(黒ゴマ・黒豆・ひじき)を意識的に摂る
🔸 お腹や腰を温める(カイロや腹巻き)

 

 

最後に


さいごにセルフケアで大切なポイントを紹介します。それは「自分に意識を向ける」ことです。子育て中は目の前の赤ちゃんに意識が向いていて自分のことを意識する余裕がないと思います。


セルフケアを通して自分の状態を知り、自分を大切にしている実感を味わってみてください。きっとこころに余裕が生まれ、子育てを楽しむ瞬間が増えますよ。育児の合間に、ほんの少しの時間でもよいので、自分の心と体に目を向けてみてください。

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