【インタビュー】坂本直子選手 独占インタビュー ~走り続けるために~
日本代表としていくつもの大会を走り抜け、度重なるケガを乗り越えてきた坂本選手。
ランニングを長く楽しめる方法を、練習内容からケアの方法まで坂本選手の実体験に基づいて教えていただきました。
継続することが1番大切
―これからマラソン・ランニングを始める方に、楽しくトラブルなく走り続けるコツを教えてください。歩くことが次のステップのジョギングにつながるので、まずはウォーキングから始めると良いと思います。
30分、1時間歩いてみて、可能になってきたらその間で5分、10分程ジョギングを入れていくのがおすすめです。
そのジョギングの比率をどんどん大きくしていくと、30分、1時間と長く走れるようになっていきます。
急に練習して足が痛くなってしまうと、もう走りたくない…という気持ちになるので、長く続けるために徐々にステップアップしていくことが大事ですね。
―ステップアップのポイントはありますか?
運動していないと最初は息がすぐ上がって苦しくなると思うので、呼吸方法を意識していただきたいです。
背が丸くなって胸を圧迫してしまうと呼吸がしにくいので、しっかり胸を張って大きい呼吸ができるランニングフォームを心がけましょう。
―ランニングフォームについて、これだけは押さえておきたいポイントはありますか?
ランニング、ジョギング、自己ベストを目指すマラソンランナーなど、走る方全員に言えることですが、やっぱり姿勢を良くすることですね。姿勢でだいぶ変わってくると思います。
腕を振っているつもりでも、肩甲骨が動いていない方が多くいます。
肩甲骨を動かすと骨盤も連動して動きます。脚の力のみで走るよりも上半身の力も使って効率よく走りましょう。
マラソン・ランニング中も時間やキロ数を決めて定期的に肩甲骨のウォームアップ(イラスト参照)を行うと姿勢良く走れます。
―走る前のウォームアップについて教えてください。
先ほども伝えた肩甲骨と股関節は準備運動したほうが良いですね。
そこはランニングのポイントになる部分なのでちょっとずつ筋肉を動かして、慣らしてから走ったほうが絶対良いです。
運動を日々の生活に組み込んでみる
―ジョギング、走ること以外におすすめのトレーニング方法はありますか?階段を使ったり、できるだけ歩いたりと、自分の体で生活することがおすすめです。
家がマンションの6階だった時も、できるだけ階段を使っていました。
しんどいですけどね(笑)
意外とそれが大きいと思います。
あとは「ながら運動」で歯磨きしながらスクワットや、かかとを上げ下げしたりすることもおすすめです。
「ながら運動」ができる方は記録がスーッと伸びていきます。
このように運動を少し生活に組み込んで、自然にできるようになっていくことが良いと思います。
―記録という話が出ていますが、サブ4を目指すランナーの方は1か月で何キロ走ることが理想なのでしょうか?
よく150kmとか200kmとか言われますが、走行距離に惑わされずに、走る頻度や負荷のかけ方を意識していただきたいです。
1週間のうちに同じように3回走るよりも、1回は長く、1回は少し息が上がる程度に速く、あとは少しペースを落として走るなど、強弱をつけて練習すると良いですね。
走ることを楽しむための工夫やアイテム
―日々ジョギングやランニングを楽しむ上で、便利なアイテムやおすすめのお助けグッズはありますか?走り慣れてない方は走ると膝に違和感をおぼえることが多いので、サポーターなどなにか1つあると良いですね。
最初はやはり筋肉も未発達で走ることに慣れていないので、まずはサポーターを装着して少し走れるようになって、筋肉をつけてしっかりさせていく方がいいかなと思います。
足裏のアーチを上げる靴下なども売っていますし、脚が引きあがりやすいランニングタイツというのも出ていますし、アイテムで少し補助をしながら、継続して走れるようにしていくことが1番大切だと思います。
―続いて、マラソン時におすすめなアイテムについてお聞きかせください。
靴やウェアなどはもちろんですが、脚に不安がある方はテーピングや着圧がしっかりしたタイツなどのサポートアイテムもを取り入れると良いと思います。
タイツだと筋肉も守られるのでおすすめです。
それを履けば速く走れるというわけではないですが、トラブルを起こさないようこういったサポートグッズを上手に活用してみてください。
―大会を走った後のセルフケアはどういうことをされていますか?
走った後に温泉に行き、まず10分程度足を冷やして、その後温かいお風呂で温める。
その後1分冷やす、3分温める、と交互に行うと血流がよくなります。
難しかったら水をかけるだけでも十分だと思います。
冷感スプレーやアイシングスプレー、冷感のマッサージジェルも良いですね。
いわゆるアイシングです。
冷やすと、翌日の筋肉の違和感などが軽減されるので、まずは冷やすことが大切です。
ありがとうございました。
ランナーの皆さまには、今回お話いただいたことを是非実践していただき、長く楽しいランニングライフを送っていただければ幸いです。
今回インタビューしたのは…坂本 直子選手
・profile
2003年 パリ 女子マラソン日本代表
2004年 アテネ 女子マラソン日本代表
現 走健塾コーチ
・走健塾
元日本代表と箱根ランナーがコーチを務めるマラソン完走プロジェクト。
https://55run.jp
・走りを学べるYoutubeチャンネル