第6回 うつ病のあれこれ~もし家族がうつ病になったら…~

記事

ここまで、Kさんのケースを治療まで見ていきました。

一方、病にはご本人だけでなく、ご家族などの身近な方が深くかかわることになります。

それでは、ご自分の家族がうつ病になった場合、どのようにすれば良いでしょうか?今度はKさんの奥様の視点で見ていきたいと思います。

Kさんの妻のケース


Kさんの治療方針が決まってから、奥様はほっとしたような、不安なような気持ちでした。

治療が始まってしばらくしても、寝ていることが多い夫を見ると、不安がますます募ります。どう声掛けしてもよいのかわかりません。


夫に同伴してクリニックに行ったある日、医師にどのように家族として見守れば良いのかわからないことを相談、診察の後に少しだけ時間をとることになりました。


奥様「夫が少しずつ眠れるようになってきて、私もホッとしました。ただ、これまでと勝手が違うので、夫に対してどのように声掛けしたらよいかわからず、戸惑ってしまいます」


医師「そうですよね、戸惑いますよね。ただ、今奥様がやってらっしゃることを続けていただければ十分です」


奥様「そうでしょうか」


医師「はい。まずは、ご本人にとって安心な状況をつくること。Kさんのお話を聞くと、奥様はそっと見守ってくれているとのこと、それがまずは重要です。今ご本人はエネルギーが落ちているので、回復までは見守ってください。もし、ご本人が不安を漏らすようなことがあれば、アドバイスをするよりは耳を傾けていただければと思います」


奥様「そうなんですね」


医師「そのうち、徐々に回復に向かって意欲がわいてきます。一見元気が出て良いように感じますが、実は焦りも出てくるので要注意な時期です。ここで何かおかしい様子があった時はぜひ奥様から教えていただければと思います。」


奥様「わかりました。あと、「頑張って」などの言葉は使わないように、という情報を聞いたことがあるのですが」


医師「そうですね。うつ病の方の多くは、頑張りすぎることが多いです。そのため、励ましの言葉はご本人を追い詰めることがあります。ただ、回復に向かったあと、その言葉が有効に働く場合もあります。その対応時期については今後奥様とも相談できればと思います。」


奥様「わかりました」


医師「そして、一番大事なことは、奥様自身のお体を大事にすることです。奥様は眠れていますか?」


奥様「…はい。最初は心配で眠りづらくなりましたが、子供もいるので、疲れて夜は寝てしまいます」


医師「そうですね。奥様もお子さん一人いらっしゃって、しかも妊娠されています。本当に大変かと思います。どなたか頼れる方はいらっしゃいますか?」


奥様「近所に義理の両親、実の両親がいるので、大変な時は子供を預けて面倒を見てもらうようにしています」


医師「それは良かったです。できる限り頼ってください。奥様が疲れてしまわないように、適度に息抜きをしてくださいね。それがKさんが元気になる素になりますので。何かわからないことがあったら、いつでも相談して下さい」


奥様「わかりました」

家族の対応方法

ご家族がうつ病になったとき、どのように対応すればよいのでしょうか。


うつ病の方の場合、自分自身でSOSを出せる状況でないこともあります。

その時は、ご家族がサインに気づき、受診への促しなど対応していただくことが重要になってくることがあります。


また、受診が決まった際は、Kさんのケースのように、受診に同行してくださると、より多くの情報を医師に伝えることができます。


療養が始まってからは、基本的には見守っていただくことがポイントとなってきます。

ご本人の考える力が弱まっていることもあり、発言内容も悲観的なものがあるかもしれませんが、その際も「そう思ってしまうんだね」というように、発言の内容ではなく、そう考えてしまう状態であることを受け止めてあげましょう。


また、励ましてはいけない、と一般的に言われていますが、こちらもご本人の状態によっては有効に働くことがあります。

頑張らない方が良い時期、不安を乗り越えるために少し頑張りがいる時期などがありますので、主治医の先生に今どの段階にいるのか、意見をもらってみても良いかもしれません。


そして、うつ病は患者さんのみならず、ご家族にも様々な影響を及ぼします。

これからどうなっていくのか、不安なことも多くなります。


ご本人が病気で辛そうなので、ご家族は弱音を吐けない、という方もいらっしゃいますが、ご家族自身も頑張りすぎないことが重要です。こんなときこそ、ご家族自身もご自分をいたわるようにしてください。


カフェに行ったり、本屋に行くなど、自分がホッとするものは続ける、そしてなるべく頼れるものは頼ることが肝心です。

何か不安があるときは、主治医と話す機会を設けてもらっても良いと思います。


全6回で【うつ病についてのあれこれ】をお送りしました。

皆様にとって、少しでも有益なものであれば嬉しいです。


執筆者

精神科医

【所属】

医療法人社団敬聴会祐天寺松本クリニック

   【資格】

精神科専門医

公衆衛生学修士



松本 衣美

(まつもと えみ)





第5回うつ病のあれこれ~うつ病の治療・精神療法編~


第4回:うつ病のあれこれ~うつ病の治療・薬物編~




Facebook
X
Line

そのお悩み、ここで解決するかも?!
お悩みを相談できる整骨院・接骨院・鍼灸院はこちら

\ 気になる症状をclick! /

気になる症状をクリックしてお悩みを相談できる
整骨院・接骨院・鍼灸院を探せます

お悩み別カテゴリ