妊娠中の太りやすい体質には「位置覚」をチェック!
妊娠中、健康管理の一環として体重チェックは欠かせないものです。
急激な体重の変動は母子の病気や出産時トラブルのリスクが上がる可能性があることは、よく知られていることかと思います。
妊産婦の方は、相当なエネルギーを要するため、適正な栄養摂取は大切なことですが、妊娠中の過度な体重増加、産後の体型への影響も出てきますので体重増減の数値は意識をしていただきたいところです。
妊娠中の体重増加の要因
妊娠中の体重増加の要因には、さまざまなものがあります。
① 赤ちゃんの成長に伴うもの
② 体内水分量の増加
③ 女性ホルモンの働きによるもの
④ 運動量の減少
⑤ 食べ過ぎによるもの
これ以外に妊娠による変化の中で、あまり知られていないものに「位置覚(いちかく)の変化」というものがあります。
位置覚?初めて聞いた、という方も多いかと思います。
位置覚とは、体の動作において大切な感覚で、腕や脚、体幹において曲げ伸ばしの状態や、位置、動きを察知する感覚のことです。
体のポジションを正しく認識する力は生活をする中で、重要な役割をしています。
(例)運動会のリレー競技で転ぶ保護者
位置覚が衰えることにより、自分が思い描いている動作と、実際の動作にギャップが生じてしまい、足がもつれて転倒!
知らず知らずのうちに、位置覚が変化している一例です。
位置覚に対して、少しイメージが湧きましたでしょうか。
この位置覚が鈍くなる原因として「体の硬さ」があります。
お腹が大きくなるにつれ、ウエストのねじり動作がしづらくなる、腕や、脚を十分に挙げにくくなることにより、関節の可動域が狭くなってしまいます。
肩や腰などの動きの制限により、骨の位置調整をしている関節周りのインナーマッスルが筋力低下を起こしてしまうからです。
骨を正しいポジションにキープするための筋肉が、関節をダイナミックに動かさないために、弱くなってしまうのです。
インナーマッスルが弱ってしまうと、関節内での骨同士の噛み合わせが悪いまま動かすことになってしまいます。
歪んだドアを無理に開けようとしているのと同じような現象が関節に起こるため、関節はスムーズに動かず、また硬くなってしまい位置覚が弱ってしまうという負のスパイラルに陥ってしまうのです。
インナーマッスルの細胞内には、脂肪と糖を代謝させ、体を動かすためのエネルギーを作るミトコンドリアという小器官をたっぷり含んでいるのです。
(ミトコンドリアは、肩こりのなどの原因になるアウターマッスルには少量しか含まれません)
関節の硬さが、筋肉中の脂肪代謝にまで影響してしまうと、ただでさえ体重増加因子に取り囲まれている妊娠生活の体型管理にダメージを与えてしまいます。
妊娠週数が進むにつれ、思うように体が動かず、自分の思い描いている動作と、実際の動きにギャップを感じる妊産婦さんは、少なくないのです。
お腹が大きくなるから仕方がないのかな?と、されがちですが出産後にもこの位置覚の鈍さが残っていると、本来のインナーマッスルの活動が十分になされず、産後、腰痛や肩こりの原因になってしまいます。
余分な脂肪を、エネルギーに変え、動きやすい体を維持していただきたいものです。
そこで、今日オススメしたいことは、「大股歩き」です。
大股歩きを意識してみましょう
歩行時、前足を10cm遠くに着地させ、歩幅を広げる大股歩きです。
10cm幅広の大股歩きをすることで、大腰筋という、胴体のフォームを正す作用があるインナーマッスルが活性化するのです。
大腰筋は腰椎(背骨)の前面から骨盤の中、脚の付け根を通って太ももの骨にまで着いていて、妊娠中の体型管理において、強い味方になるインナーマッスルです。
ホルモンの影響で緩くなった骨盤は、開いたままになりやすく、この時、大腰筋は縮こまった状態になっています。このままでは、大腰筋の中のミトコンドリアは、仕事をサボってしまいます。
歩幅を広げることで、短縮してしまっている大腰筋が伸ばされ、本来の「のび」が可能となり、腰、股関節の位置関係を整えてくれます。
腰回りの姿勢が整うと、上半身も姿勢不良から解放されやすくなり、肩の動かしやすさを取り戻す基盤が出来上がります。産後に備えてもぜひ、活躍させておきたい場所であること違いなしです。
全ての歩行を大股にしなくとも、体調と相談しながら、このお店から、次の信号まで、などとできる範囲からトライしてください。また、上半身が前のめりにならないように、まっすぐ上体を起こして、大股歩きをしてください。
最後までご覧いただきありがとうございました。
執筆者
トータルケアまえいけグループ
あさひ整骨院
日本橋浜町院
鍼灸師
柔道整復師
今村 匡子
(いまむら きょうこ)
【運営】
オンラインサロン「産後ケアを学ぶサロン」
【受賞】
DMM.com治療家オンラインサロン講師金賞
【著書】
『産後リセット体操で妊娠前よりきれいにやせる!』(青春出版社)
『「やせたい」なんてひと言もいってないのにやせた1分ねじれ筋のばし』(サンマーク出版)
東洋経済オンラインビジネスニュースサイト著者
その他、全国紙、地方新聞、雑誌、週刊誌取材多数。講演、セミナーは年間50件を越える。
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