連載 ⑤ 子どものけがを防ぐ!動画でわかる簡単体操~腰・肩編~ 【子どもロコモを考える】

全国地域育整協会では子どもたちの柔軟性や筋力、バランスの評価を行ってきました。
過去のデータを振り返ってみると背骨・肩関節、股関節、足首の機能低下が多い傾向が見られました。
接骨院で受ける相談もこの4部位が関連しているケースが多く見られます。
2020年に埼玉県飯能市で野球やサッカーを行っている小学生〜中学生25人の運動機能調査を行いました。
身体を7ヶ所に分けて評価し、それぞれの数値からスポーツ障害のリスクを算出しました。
この調査で最も機能評価が低く、スポーツ障害が心配される部位は腰部でした。
48%の子どもがスポーツ障害への予防対策が必要なほど機能低下を起こしていました。
全7箇所の平均を見ても、36%の子どもがスポーツ障害の予防対策が必要な状態でスポーツを行っている事がわかりました。
この数字は医療従事者としてはとても怖い数字です。
スポーツ指導現場から「今の子どもたちはケガをしやすい」という声が届く理由も納得します。
この様なデータ収集を繰り返し、全国地域育整協会では、この4部位へ対する改善運動が子どもの運動機能の向上、外傷やスポーツ障害の対策に重要と考えています。
今回と次回の中でこの4部位の機能改善の運動を紹介します。
腰の運動
腰の機能低下が見られる子どもの多くは、姿勢が悪く猫背の傾向が見られます。
本来腰骨はお腹側緩やかな凸を描くアーチを形成しています。
しかし猫背は背中側に凸を描くアーチになってしまいます。
これは構造上とても負担のかかる姿勢です。
腰部の運動ではこのアーチを整える運動が大切です。
CAT&DOG
体幹前面ストレッチ
(※痛みが起きない程度に行ってください)
この運動を朝起きた際や寝る前に行いましょう。
スポーツを行っている子どもは、運動前の準備運動にも行ってください。
この運動の効果を出す為にも普段座る姿勢として背筋を真っ直ぐに座る事も大切です。
肩の運動
肩の機能低下も、腰同様猫背姿勢の影響を受けている事が考えられます。
肩の筋肉は体幹にも影響を与える為、肩の機能低下は背骨や腰の機能低下にも繋がります。
院の中で子ども達の身体を見ていて衝撃なのは、【バンザイ】姿勢ができない子どもがいる事です。
肩〜脇の筋肉が固まっている為、バンザイの姿勢をとれるほど筋肉が伸びなくなっている状態です。
今回の体操はそれらの予防・改善にも効果的です。
広背筋ストレッチ(座位)
大胸筋ストレッチ(立位)
この2つの体操は腰同様朝や夜、運動前に行いましょう。
ポイントは無理なく続けていくこと
今回お伝えした様な子どもの身体の機能低下は今までの生活環境や運動環境の影響で徐々に起きたものです。
その為、改善の為の運動を行ってもすぐに改善する訳ではありません。
大切なのは“継続する事”
お子さんが継続できる様に無理なく取り組んでください。
執筆者
有限会社 ユ・アース 代表取締役/一般社団法人 全国地域育整協会 代表理事/安川接骨院グループ 総院長
安川 元也
(やすかわ げんや)
【トレーナー】
競泳選手(国際大会メダリスト、日本選手権メダリスト)
【講演・講師】
東京都立川市 チヨダ地域保健推進賞講座
東京都立川市 健康推進課主催講座
東京都青梅市 保育士連合会研修
埼玉県飯能市 スポーツ少年団指導者講習
埼玉県深谷市 体育協会主催研修
東京都軟式野球連盟 公認野球指導者講習
その他首都圏を中心に【子供のロコモ予防、子供のケガ予防】をテーマに教育機関、公的機関で講師を勤める


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