足首後方・踵の痛み

踵の骨である踵骨は足の骨の中で最大の骨であり、地面に接着時の力が最初に伝達される部位です。着地した際や体重を乗せたとき、朝起き上がって第1歩目などに痛みが踵に出ることがあります。踵は痛くても完全に使わないで生活することが難しいので痛みが長引くことが多い部位でもあります。

日常生活から考えられる原因

1 小学生から中学生の成長にかけての痛み

発育期の頃はまだ踵の骨の一部は軟骨となっており、大人になっていくにつれて骨化していきます。スポーツを盛んに行っている子どもの踵に過剰な負担が加わると、踵骨の端が壊死したり軟骨が炎症を起こしたり痛みが出ます。また偏平足などの足の異常が起きていることが多いです。

2 外傷によるもの

高いところから転落した時や階段を踏み外した際などに踵を強く打ち骨が折れたり、ひびが入ってしまうことがあります。踵の骨の骨折は後遺障害を引き起こすことが多く注意が必要です。

3 ランニングなどの疲労の蓄積によるもの

ランニングを日々やられている方や運動不足の状態で急な運動をはじめられた方で腱に衝撃が加わり炎症が起きて痛みが出ます。起床時や運動を開始する際に痛みが出やすいです。

足首後方・踵の痛みをともなう疾患

1 アキレス腱周囲炎・アキレス腱滑液包炎

アキレス腱の周囲で、腱の動きを滑らかにしているパラテノンや骨や皮膚とのクッションの役割をしている滑液包と呼ばれる組織に繰り返し負担がかかり炎症を起こすことで、歩くときなど足首を動かしたときにアキレス腱の周りに痛みを生じる疾患です。アキレス腱の周りを押さえたときに痛みが出たり、コブ(腫瘤)ができることもあります。運動量が急に増えたときや、靴を新しいものに替えたときに発症しやすいと言われています。

2 アキレス腱損傷

アキレス腱の軽度な損傷(アキレス腱炎)から完全断裂(アキレス腱断裂)を含む疾患で、通常足首を動かしたときや、アキレス腱を押さえたときに痛みが強くなります。ふくらはぎの筋肉の柔軟性低下や足首のゆがみなどからくる慢性的な負担や、アキレス腱周囲炎・滑液包炎が進行し炎症を起こしている組織がアキレス腱と癒着して変性した場合などには、アキレス腱炎が起こります。ほとんど運動しない人が急にジャンプしたり走ったときなど、アキレス腱に急激に強い力が加わった場合に、腱が断裂することがあります。完全に断裂しても、つま先立ちはできませんが歩くことはできる場合が多いです。

3 フットボーラーズ・アンクル(足関節インピンジメント症候群)

サッカーやラグビーに多くみられる疾患で、ボールを蹴ったりジャンプ着地などで踏み込んだりすると足首に痛みが出ます。キック動作で足首が過剰に伸ばされたり、踏み込んだときに強制的に曲がることで、足首にある骨同士の衝突が繰り返され、足首の前や後ろ側に骨のトゲのようなものができることが原因と考えられています。進行すると、トゲが折れてしまい関節内で挟まって激痛を引き起こしたり、足首を十分に曲げ伸ばしできなくなることがあります。

4 変形性足関節症

膝・股関節と同様に、関節の変性による痛みが足関節に生じた状態です。加齢によるものや、過去のケガ(骨折や捻挫)から移行するもの、疾患によるもの(関節リウマチなど)があります。最初は歩き始めや長時間歩いた時に痛む程度ですが、進行すると痛みや腫れが強くなったり関節を動かせる範囲が狭くなったりして、日常生活に支障をきたすようになります。

5 足底腱膜炎

足底腱膜とは足裏にあり、踵から指の付け根までを弓のように引張ってアーチを作る働きをする膜のことで、繰り返し牽引力が加わることで踵の骨との付着部に炎症を起こします。朝起きて立ち上がったときや長時間歩いたときなどに、足裏の踵付近に痛みを生じます。ストレッチや足周りの運動、インソールなどで対応します。痛みが強い場合や長引く場合は、体外衝撃波療法という新しい治療法を行うことがあります。

6 踵骨骨端症(シーバー病)

10歳前後の男子に多く発症する踵の痛みを特徴とする障害です。発育期の踵の骨に運動による負荷が繰り返しかかり、そこにアキレス腱の引張る力が加わることで、血流障害が起き発症すると考えられています。運動時や運動後に踵に痛みが出たり、踵の後ろ側を押さえると痛みが増します。痛みが強い場合は運動を控えて、局所を安静にさせます。通常、オスグッド・シュラッター病などと同様に経過とともに自然治癒します。

7 踵骨骨折

踵の骨に起こる骨折です。受傷直後から踵への荷重ができなくなり、踵に痛みと腫れを生じ、足首を動かしても痛みが出ます。骨折の形が複雑になりやすく、外傷性偏平足や骨委縮などを合併しやすいことから、治療が難しい骨折と言われています。踵骨骨折のほとんどが高所からの転落による圧迫骨折であり、10~20%に脊椎の圧迫骨折を合併することがあるため、腰や背中の痛みなどがある場合は注意が必要です。

対処法

専門家に相談する

原因が特定できないまま自己判断で無理に動かすとかえって悪化してしまう恐れもあり注意が必要です。
痛みが強い場合や痛みが続く場合は我慢せず、専門家の指示を仰ぐことをおすすめします。

痛みで困っている時、適切な解決方法を教えてもらえるのでまずは相談してみましょう。

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監修:理学療法士 門脇 章人

トレーニングで鍛える

足の裏の筋肉を鍛える運動


回数:10回×3セット

STEP1:指先にタオルを入れて段差の上に立ちます。
STEP2:踵は段差から出した状態でゆっくりと上げます。
STEP3:ゆっくりと下ろします。
STEP4:バランスを崩さないように壁に手を添えてください。


※注意事項※
・本ページ掲載のストレッチ・運動・消炎処置(アイシングなど)を行なった際に体に異変が生じたり、強い痛みを感じた場合はすぐに中止し、専門機関に相談した上で専門医の指示に従ってください。
・本ページ掲載のストレッチ・運動・消炎処置(アイシングなど)において生じたいかなる事故・クレームに対して、弊社、監修者は一切の責任を負いかねます。


動画提供元:株式会社リハサク

セルフケアでメンテナンス

足裏の筋肉を柔らかくするマッサージ


回数:10秒×10セット

STEP1:足元に置いたテニスボールを踏みます。
STEP2:両手を膝に起きテニスボールを足の裏で圧迫します。
STEP3:圧迫したまま、ボールを後方に動かします。
STEP4:その後、ボールを前方へ動かします。繰り返しボールを交互に動かしてください。


※注意事項※
・本ページ掲載のストレッチ・運動・消炎処置(アイシングなど)を行なった際に体に異変が生じたり、強い痛みを感じた場合はすぐに中止し、専門機関に相談した上で専門医の指示に従ってください。
・本ページ掲載のストレッチ・運動・消炎処置(アイシングなど)において生じたいかなる事故・クレームに対して、弊社、監修者は一切の責任を負いかねます。


動画提供元:株式会社リハサク

ふくらはぎの筋肉を柔らかくするストレッチ


回数:10秒×10セット

STEP1:壁に手をつき片足を前方に出します。
STEP2:前方の膝を曲げ、体重をかけます。
STEP3:踵を浮かさないように注意し、元の姿勢に戻ります。
注意点:踵が浮かないように注意してください。


※注意事項※
・本ページ掲載のストレッチ・運動・消炎処置(アイシングなど)を行なった際に体に異変が生じたり、強い痛みを感じた場合はすぐに中止し、専門機関に相談した上で専門医の指示に従ってください。
・本ページ掲載のストレッチ・運動・消炎処置(アイシングなど)において生じたいかなる事故・クレームに対して、弊社、監修者は一切の責任を負いかねます。


動画提供元:株式会社リハサク