足首の痛み

足首の関節は、複数の骨から構成される複合的な関節です。また足関節を前後左右にしっかり支えるため靭帯が付いています。この靭帯を捻ったりすることで損傷してしまい痛みが出ることが多いです。靭帯の損傷は、程度によってはすぐに痛みがひいて歩行や運動が可能になる場合が多いですが、その後足関節が不安定となり捻挫を繰り返す場合があるため痛みが出た初期の治療が大切です。またO脚の方や加齢によって軟骨がすり減り痛みが出てくることもあります。

日常生活から考えられる原因

1 捻ったり衝撃などで無理に力が加わった時

つまづきで起こる捻挫歩行時に段差でつまづいたり、階段などで踏み外してしまった際に靭帯や骨が損傷されます。損傷後は青白くなってしまったり、赤く腫れてしまいます。


2 スポーツを長くしている場合

若いころからスポーツをしていて、繰り返し足首を捻ったりしていることで足首の関節が不安定になってしまうことがあります。また一度損傷し完全に治りきる前にスポーツを再開することで関節が不安定になってしまうことが多いです。

3 加齢や疾患による軟骨の変形

加齢や過去の骨折や捻挫、関節リウマチなどの疾患によって軟骨が傷んだり、すり減ってしまい痛みが出ます。この変形が進行すると腫れが出てきて歩行が困難になってしまうことがあります。

足首の痛みをともなう疾患

1 足関節捻挫

足関節捻挫足関節の捻挫は、そのほとんどが足を内側に捻って生じる内反捻挫です。内反捻挫の場合、外くるぶしの前や下にある靱帯が損傷するため、その周囲に痛みや腫れが出ます。足関節捻挫はスポーツによるケガで最も頻度が高く、骨折等がないため自身の判断で放置してしまい、捻挫を繰り返したり慢性足関節不安定症へ移行し、その後のスポーツ活動に支障をきたす場合が多くあります。損傷の程度によって、痛みの強さや腫れの大きさ、異常可動性の有無が異なるため、正しく診断を受けて適切な処置を行うことが重要です。受傷直後はRICE処置(局所の安静、冷却、圧迫、挙上)が有効で、損傷が強い場合は、その後にギプスなどでの固定が必要となる場合や、手術を必要とする場合があります。

RICE処置


2 慢性足関節不安定症

足関節捻挫の治療が不十分だったときの結果として、足首の靭帯が弛緩したり足首を動かす筋肉がうまく機能せずに、慢性的な不安定さ(ぐらつき)がある状態です。捻挫を繰り返したり、歩いたり走ったりするときの足首周りの不安感の原因となります。放置してしまうと関節の変性が進み、変形性足関節症へ移行します。

3 変形性足関節症

膝・股関節と同様に、関節の変性による痛みが足関節に生じた状態です。加齢によるものや、過去のケガ(骨折や捻挫)から移行するもの、疾患によるもの(関節リウマチなど)があります。最初は歩き始めや長時間歩いた時に痛む程度ですが、進行すると痛みや腫れが強くなったり関節を動かせる範囲が狭くなったりして、日常生活に支障をきたすようになります。

4 足関節果部骨折(脱臼骨折)

転倒や転落などをきっかけに足関節に強い力が加わると、内くるぶし、外くるぶしのいずれか、あるいは両方の骨折を生じます。足関節に強い痛みと変形や腫れが見られ、歩くことは困難になります。骨の転位(ズレ)が少ない場合は保存療法で良いですが、転位がある場合は手術が必要になります。また転落による場合は、骨盤などほかの部位の骨折を伴うことがあるので、注意が必要です。

5 足根管症候群

足裏から足指にかけて広がるような痛みを感じたり感覚が鈍くなるほか、内くるぶし後方の痛みが主な症状です。内くるぶしの後方にある足根管と呼ばれるトンネルのようなものの中で神経が圧迫されることで起こる障害で、圧迫されている部位を軽くたたくと足裏にビリっとしびれる感じが現れることがあります。

6 距骨骨軟骨損傷

足首を捻挫したときなど強い力が足首に加わった際に、距骨と呼ばれるくるぶしの間に挟まれている骨が周囲の骨と衝突し、関節面の軟骨が損傷してしまう疾患です。捻挫後に長期に渡って痛みが続く場合は、本症を疑います。捻挫などのケガがなくても日ごろの運動による慢性的なストレスが原因で徐々に発症する場合もあります。足関節捻挫の治療に準じますが、長く放置された例では、変形性足関節症に移行し、手術が必要になることがあります。

7 腓骨筋腱脱臼

腓骨筋腱脱臼とは、外くるぶしの後ろを通る腓骨筋の腱が、ケガや長年の負担が原因で脱臼してしまうことで、痛みや腫れが出る疾患です。ケガに伴うものでは、もともと腱が通る外くるぶしの溝が浅いなどの要因がある場合が多く、捻挫などの急激な強い力が加わることで脱臼し、外くるぶしの周囲に腫れや運動時の痛み、不安定感があります。また踵のくずれを伴う偏平足(外反偏平足)の場合、長年の負担から脱臼してしまうことがあり、長時間歩いたときに外くるぶし周囲に鈍い痛みや違和感が現れます。治療には手術が必要で、捻挫として扱われる場合があるため注意が必要です。

8 フットボーラーズ・アンクル(足関節インピンジメント症候群)

サッカーやラグビーに多くみられる疾患で、ボールを蹴ったりジャンプ着地などで踏み込んだりすると足首に痛みが出ます。キック動作で足首が過剰に伸ばされたり、踏み込んだときに強制的に曲がることで、足首にある骨同士の衝突が繰り返され、足首の前や後ろ側に骨のトゲのようなものができることが原因と考えられています。進行すると、トゲが折れてしまい関節内で挟まって激痛を引き起こしたり、足首を十分に曲げ伸ばしできなくなることがあります。

9 偏平足

偏平足足の土踏まず(縦アーチ)が低下した状態を偏平足と言います。小児の頃から続く偏平足では痛みはほとんどありませんが、中年期以降で体重増加、筋力低下や靱帯の緩みなどが原因となり変形が進むと、内くるぶしの周りに痛みや腫れが生じることがあります。また外反母趾、変形性足関節症などの原因になります。


対処法

専門家に相談する

専門家に相談する原因が特定できないまま自己判断で無理に動かすとかえって悪化してしまう恐れもあり注意が必要です。
痛みが強い場合や痛みが続く場合は我慢せず、専門家の指示を仰ぐことをおすすめします。

痛みで困っている時、適切な解決方法を教えてもらえるのでまずは相談してみましょう。


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監修:理学療法士 門脇 章人

セルフケアでメンテナンス

アイシング(足関節)


回数:15分×1セット

STEP1:アイスパックを腫脹部位に乗せます。
STEP2:バンドやタオルを巻きつけます。


※注意事項※
・本ページ掲載のストレッチ・運動・消炎処置(アイシングなど)を行なった際に体に異変が生じたり、強い痛みを感じた場合はすぐに中止し、専門機関に相談した上で専門医の指示に従ってください。
・本ページ掲載のストレッチ・運動・消炎処置(アイシングなど)において生じたいかなる事故・クレームに対して、弊社、監修者は一切の責任を負いかねます。

動画提供元:株式会社リハサク