座るとお尻が痛いのはなぜ?原因と対策を徹底解説

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デスクワーク、車や電車での長距離移動、歩き始める時や立ち上がった直後にお尻に痛みが出ることがあります。

少し座っているだけでなぜお尻が痛いのか?と疑問に思うこともあるのではないでしょうか。今回は、座ったときにお尻が痛くなる原因と対策についてお伝えします。

座るとお尻が痛い原因は?


座るとお尻が痛くなる原因には、いくつかの要素が考えられます。もっとも一般的なのは、長時間同じ姿勢で座ることによる坐骨結節部(お尻の骨)の圧迫や血流の悪化です。これにより筋肉や靭帯に負担がかかり、痛みが生じやすくなります。

また、悪い姿勢で座ると骨盤が歪み、さらに筋肉や関節への負担が増します。


加えて、坐骨神経痛や腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、変形性股関節症など、神経や関節、骨に関連した症状が原因となることもあります。これらの場合は、お尻だけでなく脚や太ももにしびれや痛みが広がることも特徴です。さらに、筋肉の緊張や炎症、仙腸関節のズレ、尾骨の異常なども痛みの原因となります。運動不足でお尻の筋肉が硬くなっている場合や、痩せてお尻の肉が薄くなり、体重が骨に直接かかりやすくなっている場合にも痛みが出やすくなります。

お尻の痛みと心理的なストレスとの関係性

仕事中にだけお尻や腰が痛くなる場合は、心理的なストレスが関係している可能性もあります。ストレスが身体に及ぼす影響として、筋肉の緊張や血流の悪化があげられます。ストレスを感じると無意識に筋肉がこわばりやすくなり、特に腰やお尻の筋肉が緊張することで痛みが生じることがあります。


また、ストレスは脳の痛みを感じるシステムにも影響し、痛みの感覚を強めたり、慢性化させたりすることが知られています。さらに、ストレスによって姿勢が悪化しやすくなり、これが腰やお尻への負担となって痛みを引き起こす場合もあります。


心理的なストレスが原因で現れる身体の痛みは「心因性腰痛」や「心身症」と呼ばれ、身体的な症状が見つからない場合でも症状が続くことがあります。ストレスが続くと、脳内の痛み抑制物質の分泌が減少し、痛みを感じやすくなることも指摘されています。

お尻が痛いときに関係している症状

お尻が痛いときに何らかの症状が関係している可能性が高いのは、以下のような症状がある場合です。


突然の激しい痛みが発生した場合

椎間板ヘルニアや重大な症状の可能性があり、早期の診断が必要です。椎間板ヘルニアとは、背骨の骨と骨の間にあるクッション(椎間板)が変形して一部が飛び出し、神経を圧迫することで、腰や足、手足に痛みやしびれなどの症状があります。

突然鋭い痛みがある場合は椎間板板ヘルニアの可能性もあります。

足の力が入りにくい、または足にしびれや麻痺がある場合

神経圧迫や坐骨神経痛、脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)などが考えられ、進行すると重篤な障害につながるため、早めの受診が必要です。

坐骨神経痛とは、腰から足にかけて伸びる「坐骨神経」が圧迫・刺激されることでお尻や太もも、ふくらはぎ、足先などに痛みやしびれが生じる症状のことです。進行すると歩行に支障を来す場合もあります。


脊柱管狭窄症とは、背骨の中を通る神経の通り道(脊柱管)が、加齢や椎間板・骨・靭帯の変形などにより狭くなり、神経が圧迫されることで、腰やお尻、足に痛みやしびれ、歩行障害、重症化すると排尿・排便障害などの神経症状が現れます。これらの症状はお尻の痛みと関係が深いものです。

排尿や排便に異常がある場合

排尿や排便がほとんど出なくなったり、逆に意識していないのに漏れてしまうような場合は、神経障害が進行しているサインです。尿や便を排出できないと、腎臓などに負担がかかり、重篤な合併症につながる可能性もあります。緊急性が高いため、できるだけ早く医療機関を受診してください。

痛みが数週間以上続く場合や、徐々に悪化している場合

すぐにお尻の痛みが消失する場合は良いですが、数ヶ月、数年続くような慢性的な症状がある場合は、比較的治療が必要なケースが多いため、専門的な診断が推奨されます。

痛みの部位に強い腫れや熱感がある場合

細菌やウィルスに感染した場合、周囲が炎症による熱感(ねつかん)を持ったり、腫れたりします。そうなっている場合は感染症の可能性があり、服薬や手術などの医療的な治療が必要になることもあります。

日常生活や歩行に支障が出ている場合

坐骨神経痛や椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症などが進行し、足の神経を圧迫している可能性もあります。痛みやしびれで動作が困難なときは、早めに医療機関を受診してください。

出血を伴う場合や肛門の痛みが強い場合

痔やそれ以外の症状の可能性があるため、消化器科や肛門科の受診を検討してください。

これらの症状がある場合は、整形外科や消化器科、肛門科など適切な診療科を早めに受診しましょう。特に神経症状や排尿・排便異常、強い腫れや熱感を伴う場合、足が痺れたり、歩行に支障がある場合は緊急性が高いため速やかな受診が推奨されます。

お尻の痛みと生活習慣


お尻の痛みを改善するために、生活習慣を見直すことも非常に重要です。


具体的には、デスクワークや運転などで長時間座り続けると、お尻や肛門周囲の血流が悪くなり、痛みや痔の原因になります。

1時間以上座る場合は、途中で立ち上がったり、ストレッチや足の屈伸運動を取り入れると負担を軽減できます。


また、便秘で強くいきむ、トイレに長時間座る、排便回数が多いなどの習慣も肛門に負担をかけ、痔によるお尻の痛みの原因となります。食物繊維や水分をしっかり摂る、便意を我慢しないなどの便秘予防が大切です。深酒や香辛料の摂りすぎも肛門を刺激し、炎症や出血、皮膚炎などのリスクを高めます。症状がある場合は控えることが推奨されます。

冷たい場所に座る、エアコンで体を冷やし過ぎることも血流を悪くし、痛みや痔の原因になります。湯船につかるなどしてお尻を温め、血行を良くすることが大切です。


他にも、運動不足や悪い姿勢(猫背やお尻を後ろに倒した座り方)は、筋肉や神経への負担を増やし、坐骨神経痛などの痛みを引き起こしやすくなります。適度な運動や正しい姿勢の維持が予防につながります。

ストレスが強いと自律神経のバランスが崩れ、痛みを感じやすくなることがあるので、そういった点でも適度に運動習慣を生活の中に取り入れることが理想です。運動をする際も、まずは散歩程度のウォーキングで十分です。いきなり強い負荷がかかる運動を始めてしまうとかえってそれがストレスになってしまうことがあります。徐々に負荷を増やし、習慣化していくことが大切です。

座るとお尻が痛いときの対処法

すぐに痛みが改善しないこともあるかと思います。お尻が痛いときの対処法をお伝えします。

少しの意識でできることもあるので、ぜひ参考にしていただければと思います。

 クッションや円座を使う

尾骨や坐骨にかかる圧力を分散するため、中心に穴が空いた円座クッションやゲルクッション、低反発クッションを利用しましょう。座るときの痛みがかなり軽減されます。

正しい座り方を意識する

姿勢を整えることで、お尻や腰への負担を減らすことができます。骨盤が寝た姿勢で座っていると、腰とお尻にかかる圧力が増大し、お尻が痛くなる原因となります。正しい座り方を意識するために、

以下の3点に注意してみて下さい。

骨盤を立てて背筋を伸ばす

椅子の奥まで深く座る

足は床につけて、膝が90度になるように調整する


正しい座り方をするためには、体の土台である「骨盤」を特に意識しましょう。

こまめに立ち上がって体を動かす

デスクワークの途中など長時間座った姿勢を続けたときに、1時間に1回は立ち上がり、軽くストレッチや散歩をして血流を促進しましょう。筋肉のこわばりを防ぎ、痛みの予防になります。

ビルなどに事務所があり、デスクワークをしている場合は、階段があれば階段昇降を行うと、散歩よりも短時間で筋肉の血行が良くなります。休憩時間に運動をすると余計に疲れると思う方も多いと思いますが、血流が良くなることで逆に活力が戻るはずです。

お尻のストレッチを取り入れる

お尻の大殿筋や中殿筋を伸ばすストレッチも効果的です。具体的には、椅子に座って片足を反対の太ももの上にのせ、膝を外側に押しながら体を前に倒す方法などがあります。20秒ほどキープして左右交互に行いましょう。

1時間座ったら、歩くか、ストレッチを行うことでお尻の緊張はかなり緩和されます。

温める

湯たんぽや温湿布でお尻を温めると血行が良くなり、筋肉の緊張がほぐれて痛みが和らぎます。お風呂でゆっくり温まるのもおすすめです。デスクワークなどで体をあまり動かした実感がない日ほど、体の血流を良くするために入浴して体を温めてしっかりとケアしましょう。

ツボ押しも効果的





















お尻の横にある「環跳(かんちょう)」や足首の内側の「三陰交(さんいんこう)」などのツボを優しく押してみましょう。血流促進や痛みの緩和に効くといわれています。

環跳(かんちょう)のツボは、お尻のやや外側に位置しています。具体的には、横向きに寝て股関節を曲げたときにできる、お尻のえくぼ部分が目安です。

三陰交は、内くるぶしから指4本分上にあり、ふくらはぎの内側です。親指でいた気持ち良い程度に押します。デスクワークの途中でも簡単に押すことができるので、休憩中にやってみてください。

ストレス源から離れる

ストレスによって腰やお尻の痛みが出ている可能性がある場合は、運動などでストレス発散することも大切ですが、できればストレス源を特定し、そこから離れるようにすることも大切です。できるだけ自分にとって居心地の良い環境になるように工夫することで痛みがましになる場合もあります。職場の環境が合わない場合は、転職できない場合でも、部署の変更や会社内で働く環境を変えることもできる場合があります。

まとめ

座るとお尻が痛くなる主な原因は、長時間同じ姿勢でいることによる坐骨結節部への圧迫や血流悪化で、姿勢が悪いと骨盤が歪み、さらに負担が増します。また、坐骨神経痛や腰椎椎間板ヘルニアなどの疾患が原因である場合もあります。


心理的なストレスも筋肉の緊張や血流悪化を引き起こし、お尻の痛みに繋がることがあります。


お尻の痛みの対策としては、クッションや円座を使用したり、正しい座り方を意識することが大切です。また、こまめに立ち上がって体を動かしたり、お尻のストレッチを取り入れることも有効です。湯たんぽや温湿布で温めたり、ツボ押しも効果が期待できます。

ストレスが原因の場合は、ストレス源から離れることも重要です。

日常生活では、長時間座り続けない、便秘予防、深酒や香辛料を控える、体を冷やさない、適度な運動、正しい姿勢を心がけることが大切です。

ぜひ今回の記事を参考にしてみてください。


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