長時間座るとお尻が痛い!原因と対策を徹底解説

仕事でデスクワークが主体となっている現代では、仕事中や会議、病院での受診待ち、通勤電車、移動中の車の中、映画館など日常生活の中で意外と長時間座り続ける場面があります。座り続けた後にお尻が痛くなることがありませんか?座っていると「腰」が痛くなる経験をしている方は多いと思いますが、座った後の「お尻」の痛みで悩んでいる方も少なくありません。今回は、長時間座った後のお尻の痛みについて原因とその改善方法を詳しくお伝えします。
長時間座るとお尻が痛くなる原因
長時間座るとお尻が痛くなる主な原因は、座ることでお尻や太ももに一定の圧力がかかり続け、血流が悪くなったり、お尻の筋肉が緊張し続けるためです。特に椅子の座面が硬かったり、身体に合わない椅子を使っていたり、姿勢が悪い場合は、圧迫や負担が強くなり痛みが出やすくなります。
また、長時間同じ姿勢でいることで、お尻の筋肉(大臀筋や中臀筋など)が硬直したり、骨盤や関節に負担がかかったりすることも原因です。さらに、坐骨神経の圧迫が起こると、お尻から太ももにかけて痛みやしびれを感じることもあります。このような痛みが慢性化すると、坐骨神経痛、腰椎椎間板ヘルニアなどの症状が隠れている場合もあるため、症状が続く場合は専門医の診断を受けることが大切です。
ほかにも、座っているとお尻が痛くなる原因には、心理的な要素が大きく関与する場合があります。
心理的ストレスは身体にさまざまな影響を及ぼし、特に筋肉の緊張や血流の変化を引き起こします。これによって腰やお尻の筋肉がこわばり、痛みを感じやすくなることがあります。また、ストレスは神経系にも影響し、痛みの感覚を増幅させたり、慢性化させたりすることが知られています。例えば、仕事や人間関係などの精神的な負担が強いと、脳が痛みに対して過敏になり、実際の身体的な問題以上に痛みを強く感じる場合もあります。
さらに、ストレスや心理的な疲労が続くと、無意識に姿勢が悪くなったり、足を組むなどの癖が出やすくなります。これが骨盤やお尻への負担を増やし、痛みの悪循環を生み出すこともあります。座っているとお尻が痛くなる背景には、筋肉や骨の問題だけでなく、心理的ストレスやそれに伴う姿勢の乱れ、痛みの感じ方の変化などが複雑に関与している可能性もあります。症状が長引く場合は、身体面だけでなく心のケアやストレス対策も意識することが大切です。
お尻の痛みの原因となる可能性のある症状
上述の痛みの原因は特に症状がない場合ですが、お尻の痛みの原因となる症状には、さまざまなものがあります。
代表的なものとして、「痔核(いぼ痔)」や「肛門周囲膿瘍」など肛門周辺の症状が挙げられます。これらは肛門付近の炎症や腫れによって、刺すような強い痛みや腫れ、時には発熱を伴うこともあります。
また、「坐骨神経痛」は腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などが原因で坐骨神経が圧迫され、お尻から太もも、下肢にかけて痛みやしびれが現れる症状です。腰椎や仙骨の障害による「腰痛症」や「仙腸関節炎」も、お尻の痛みを引き起こすことがあります。
さらに、直腸がんや潰瘍性大腸炎・クローン病などの腸の症状、女性では子宮内膜症や子宮筋腫といった婦人科症状もお尻の痛みの原因となることがあります。妊娠や産後の骨盤の変化、筋肉や靭帯の損傷、肉離れや打撲などの外傷も考えられます。お尻の痛みの原因となる症状には、肛門症状、神経障害、整形外科的症状、婦人科・消化器症状など多岐にわたります。
お尻の痛みを予防する方法と改善策
お尻の痛みを予防・改善するためには、日常生活での姿勢や筋肉の使い方に注意し、適切なストレッチや運動を取り入れることが重要です。以下のような生活習慣の見直しとセルフケアを継続することで、お尻の痛みの予防と改善が期待できます。
姿勢をこまめに変える
まず、環境によって難しい場合もあると思いますが、長時間同じ姿勢で座り続けることをやめることを検討してみましょう。お尻の筋肉や神経、関節に過度な負担をかけ、血流が悪くなりやすいため、最低でも1時間に1回は立ち上がって軽いストレッチや歩行を挟むことが効果的です。
デスクワークなどで長時間座っている方は、1時間に1回はコーヒーを入れに行って歩いたり、外へ出て5分で良いので散歩をすることができれば理想です。椅子に座っている際も、深く腰掛けて背筋を伸ばし、両足をしっかり床につけることで骨盤が安定し、筋肉への負担を軽減できます。お尻を前に移動させて腰を寝かせた姿勢で座ると腰椎などの負担が増大するため、骨盤を起こし、その上に上体を乗せるイメージで座ると負担を軽減できます。さらに、普段から正しい姿勢を意識し、猫背や反り腰を避けることも大切です。
適度に体を動かす
また、日常的にお尻や股関節周りのストレッチを行うことで、筋肉の柔軟性が高まり、痛みの予防や改善につながります。
座った状態で片足を反対側の膝に乗せて上半身を前に倒すストレッチや、仰向けに寝て両足で床を押してお尻を持ち上げる運動(ヒップアップ)などがあります。ウォーキングや水泳などの軽い運動もお尻の筋肉を鍛え、血行を促進するため有効です。
手軽にできるお尻を鍛える運動では、スクワットが挙げられます。
肩幅の広さに足を広げて立ち、膝を屈めてお尻を突き出すようにかがむ動作を10回ほど行います。毎日行うことで、加齢に伴い衰えやすい足の筋肉を効果的に鍛えることができます。
お尻の筋肉は加齢にともない萎縮しやすく、年を重ねると見た目にもお尻が下がったようになる場合もあります。お尻の筋肉を運動して鍛えることで、見た目・美容としてもお尻が引き締まり、若々しい印象を与えることができます。さらに、人体の中でもお尻の筋肉と太ももの筋肉はとても大きい筋肉です。鍛えることで基礎代謝が向上しやすく、太りにくい体質作りにも非常に効果的です。ぜひ積極的にお尻と足の筋肉を鍛えることをおすすめします。
安静にする・冷やす
筋肉痛や使いすぎによるお尻の痛みの場合は、まず安静にし、炎症が強い場合はアイスパックで冷やすと痛みが緩和します。炎症がなく、慢性的な痛みや、筋肉のコリによる痛みが疑われる場合は、温めることで血流が改善し、筋肉のコリがほぐれやすくなることがあります。入浴してお尻を温めてみると良いですね。
一方で、慢性的な痛みや強い痛みが続く場合は、専門医の診察を受けて原因を特定することが先決です。
クッションを活用する
クッションを活用して座面の圧迫を緩和するのも有効です。痔がある場合は円座クッションが特に有効です。
クッションを購入する際は、自分が座ったときに潰れてしまい、お尻が床についてしまう(底付き)してしまうような「薄い座布団」のようなものや、綿で作られたものは効果が見込めない場合が多いです。自分が座ったときに、体重を支えることができる厚みと硬さが必要です。ゲルタイプのクッションやハニカム構造のクッションは底付きしにくいため、おすすめです。
市販のタイプで座ってお試しができる環境であれば、一度座ってみて、クッションと椅子の間に手のひらを入れ、お尻が軽くでも触れるようであれば底付きしています。もう少し厚めのものを選ぶか、違い素材のタイプのものを選びましょう。
体重管理(ダイエット)
体型が痩せすぎていると、坐骨(お尻で座面に接するところにある骨)や尾骨の周りの脂肪が薄くなり、座っているとお尻が痛くなりやすくなります。
また逆に、太っている場合も座っている時に自身の体重でお尻の血流が阻害され、お尻が痛くなりやすくなります。
体重を管理し、適正な標準体重を維持することで、 長時間座っていてもお尻の痛みが出にくくなります。
中年期以降は活動量・筋肉量やホルモン代謝が低下し、どうしても太りやすくなってしまいます。 意識的に生活の中で運動する時間を確保し、脂質や糖質を減らす食事を行う必要があります。きちんと体重管理を行うためには、運動習慣の確立だけではなく、食事、睡眠、ストレス管理など生活の中で重要なことを全て見直していく必要がありますが、それが良い刺激になります。体重管理を行うことで、お尻の痛みを減らすだけではなく、健康的で、精神的・身体的に充実した豊かな生活を送ることができます。ぜひチャレンジしてみてください。
お尻の痛みを和らげるための生活習慣
お尻の痛みを和らげるための生活習慣として、まず長時間同じ姿勢を続けないことが大切です。デスクワークや座り仕事の場合でも、30分から1時間に一度は立ち上がって軽いストレッチや歩行を挟み、筋肉の緊張や血流の滞りを防ぎましょう。また、座るときは深く腰掛けて背筋を伸ばし、骨盤が前傾しすぎないように意識することで、お尻への負担を軽減できます。
日常的にお尻や腰回り、太ももの筋肉を柔らかく保つためのストレッチを習慣化することも効果的です。たとえば、仰向けで片膝を胸に引き寄せる動きや、床や椅子など座った状態で片足を反対側の膝に乗せて上半身を前に倒すストレッチなどが、お尻の筋肉をほぐすのに役立ちます。ウォーキングや軽い運動を取り入れることも、筋肉のこりや血行不良の予防になります。
さらに、バランスの良い食事で適正体重を維持することや、無理なダイエットを避けることも、お尻への負担を減らすポイントです。入浴時は湯船にゆっくりつかり、身体を温めて血流を促進することもおすすめです。
まとめ
長時間座ることによるお尻の痛みは、お尻や太ももへの圧迫、血流悪化、筋肉の緊張などが主な原因です。硬い椅子や姿勢の悪さ、長時間同じ姿勢を続けることも痛みを悪化させます。坐骨神経の圧迫や症状が隠れている場合もあるため、慢性的な痛みには注意が必要です。
予防と改善には、1時間に1回は立ち上がりストレッチや歩行を挟む、正しい姿勢で座る、お尻周りのストレッチや軽い運動を取り入れることが有効です。筋肉痛の場合は安静にし、炎症が強い場合は冷やしましょう。慢性的な痛みは入浴するなど、お尻を温めると良いです。
あまりにも痛みが強く、長時間持続する場合は専門医に相談することが重要です。
日常生活では、1時間に1回は立ち上がりストレッチや歩行を挟む、座る際は背筋を伸ばす、お尻や腰回りのストレッチを習慣化する、バランスの良い食事と適正体重の維持、入浴で身体を温めることなどがお尻の痛みの緩和に繋がります。
まずはできることから小さく始めていくことがポイントです。ぜひ参考にしてみてください。