指の変形・ゆがみ

指の関節が使い過ぎやケガ、ホルモンバランスによって変形していくことがあります。特に更年期を迎えた女性は第一関節にこぶのようなものが出来、変形していくことがあります。また突き指などで第一関節が曲がったまま痛みが出て、自分の力では伸ばすことが出来なくなることもあります。

日常生活から考えられる原因

1 スポーツによるもの

バスケットボールやバレーなど手を使う球技で指を強くぶつけ変形してしまうことがあります。指をよく使うスポーツではテーピングなどの対策が有効です。

2 ホルモンバランスによるもの

更年期を迎えた女性で特に何かしたという原因は無く変形が始まり、痛みがでることがあります。進行していくと指のこわばりや強く握ることが困難になってきます。

3 使い過ぎによるもの

仕事や家事などで指を酷使することが多い方は使い過ぎによって指が変形することがあります。また最近ではスマホの使い過ぎで指が変形していくことがあります。

4 神経を損傷したもの

交通事故や転倒によるケガ(骨折や切り傷)などで頸から指にかけて走行する神経の一部を損傷すると指が変形してしまうことがあります。動きがぎこちない、感覚が鈍いなどの麻痺症状がある際は要注意です。

指の変形・ゆがみをともなう疾患

1 ばね指・強剛母指

指を曲げる筋肉の腱に起こる腱鞘炎で、手のひら側の指の付け根に痛みが出やすく、指を曲げ伸ばししたときに中にタコ(腫瘤)のようなものが移動するのを感じます。そのタコがトンネル(腱鞘)に引っ掛かり、痛みとともにばねのように急にはじかれるような現象(弾発現象)が起こることがあります。成人におこるばね指と、小児におこるばね指があり、成人の場合は、中高年の女性に多く、指別では親指、中指、薬指の順で多く発症すると言われています。小児の場合は、1~2歳くらいまでに発症し、親指に多いと言われています。腱がほとんど動かず、親指が曲がったままで伸ばせない場合は、強剛母指と呼ばれます。あまり痛がることはなく、半数以上は6~7歳までに自然に治ります。痛みが強い場合や改善されない場合は、手術を行うことがありますが、それによる後遺症はほとんどありません。

2 へバーデン結節

指の第1関節(先端側の関節、正式にはDIP関節と言います)におこる変形性関節症で、原因は不明です。40歳以降の女性や手をよく使う人に多く、人さし指から小指にかけての第1関節が赤く腫れ、痛みを伴います。進行すると、指先が変形して曲がりますが、痛みがなくなることもあります。関節リウマチとは変形の仕方が異なります。

3 母指CM関節症

手首の親指の付け根部分の関節(親指を開いたときに腱が浮いてくるあたり)をCM関節といい、そこにおきる変形性関節症です。更年期以降の女性に多く、タオルを絞ったり、ビンの蓋を開けるときに親指のCM関節に痛みが出ます。進行すると、周囲が腫れ親指が動かしにくくなったり、亜脱臼して指が変形してくることがあります。手首の腱鞘炎(ドゥケルバン病)や関節リウマチとの鑑別が必要です。

4 指関節側副靱帯損傷

指の関節の側面にある靱帯(側副靭帯)がケガによって損傷したもので、いわゆる突き指と言われるものです。ケガをした関節に痛みと腫れや不安定感があり、骨折を伴う場合もあります。靱帯損傷の程度や骨折の有無によって、治療方法や必要な期間が異なります。

5 マレット指(槌指)

ケガによる指の第1関節(先端側の関節、正式にはDIP関節と言います)の変形で、いわゆる突き指の一種です。指の甲側の腱の損傷(断裂)や骨折のために生じたもので、第1関節に痛みや腫れがあり、指先が曲がったまま自分では伸ばせなくなります。腱の損傷のみの場合は、指用サポーターなどによる固定(保存療法)で対応可能ですが、骨折や第1関節の亜脱臼を伴う場合は、手術が必要になることがあります。

6 手根管症候群

親指から薬指にかけてしびれや痛みが出たり感覚が鈍くなるほか、親指の付け根の筋肉がやせてくる(猿手変形)ため物をつまむことが難しくなります。妊娠期や更年期の女性、手をよく使う職業、透析患者などに多いと言われています。手首にある手根管というトンネルの中を通る神経(正中神経)が、様々な要因でトンネル内で圧迫され麻痺することで発症します。痛み止めやサポーターの着用などの保存療法が基本ですが、筋肉の委縮がある場合や難治例には手術を行うことがあります。

7 橈骨神経麻痺

二の腕の骨折(上腕骨骨幹部骨折)に合併するものや、注射によるもの、睡眠時の二の腕への圧迫によるもの(ハネムーン症候群)が多く、主に手と指がだらんと下がって持ち上げられなくなります(下垂手)。また、指や手の甲側から前腕の親指側にかけての感覚が鈍くなります。肘や前腕で麻痺した場合は、指の運動障害(根元のMP関節を伸ばすことができない)のみで、感覚障害はないかあっても手や指の甲側のみで軽度です。

8 正中神経麻痺

正中神経は親指から薬指までの手のひら側の感覚を支配しているため、この神経が傷害を受けると、指先の感覚や器用さに大きく影響します。原因はケガ(切り傷、骨折など)による損傷や、慢性的な圧迫による麻痺(手根管症候群など)があり、どの位置で傷害されるかによって症状が異なります。手首付近の麻痺では、手根管症候群と同様の症状が現れます。肘やそれより体に近い位置での麻痺では、手根管症候群の症状に加えて、親指と人さし指を曲げることができなくなったり、手首を曲げたり捻ることが難しくなったりします。

9 尺骨神経麻痺

ケガ(切り傷や骨折など)に合併するものや、肘部管症候群などの慢性的におこるものがあります。前腕より先の麻痺では、小指や薬指の動きがぎこちなくなったり、小指や薬指、手の小指側の感覚が鈍くなります。肘より上の傷害では、肘部管症候群と同様の麻痺症状のほか、前腕の小指側の感覚が鈍くなったり、手首を手のひら側や小指側に曲げる力が弱くなることがあります。

対処法

専門家に相談する

原因が特定できないまま自己判断で無理に動かすとかえって悪化してしまう恐れもあり注意が必要です。
痛みが強い場合や痛みが続く場合は我慢せず、専門家の指示を仰ぐことをおすすめします。

痛みで困っている時、適切な解決方法を教えてもらえるのでまずは相談してみましょう。

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監修:理学療法士 門脇 章人

セルフケアでメンテナンス

親指(母指)のストレッチ


回数:10秒×3セット

STEP1:片手を前方に出します。
STEP2:反対側の手で親指を握ります。
STEP3:親指を後方へ引っ張ります。母指球が伸びた状態を保持します。
STEP4:ゆっくりと元に戻します。


※注意事項※
・本ページ掲載のストレッチ・運動・消炎処置(アイシングなど)を行なった際に体に異変が生じたり、強い痛みを感じた場合はすぐに中止し、専門機関に相談した上で専門医の指示に従ってください。
・本ページ掲載のストレッチ・運動・消炎処置(アイシングなど)において生じたいかなる事故・クレームに対して、弊社、監修者は一切の責任を負いかねます。

動画提供元:株式会社リハサク

指の筋肉を柔らかくするストレッチ


回数:10秒×5セット

STEP1:人差し指を後方へ反らせ、指の前面を伸ばします。
STEP2:中指を後方へ反らせ、指の前面を伸ばします。
STEP3:薬指を後方へ反らせ、指の前面を伸ばします。
STEP4:小指を後方へ反らせ、指の前面を伸ばします。


※注意事項※
・本ページ掲載のストレッチ・運動・消炎処置(アイシングなど)を行なった際に体に異変が生じたり、強い痛みを感じた場合はすぐに中止し、専門機関に相談した上で専門医の指示に従ってください。
・本ページ掲載のストレッチ・運動・消炎処置(アイシングなど)において生じたいかなる事故・クレームに対して、弊社、監修者は一切の責任を負いかねます。

動画提供元:株式会社リハサク