手首の痛み

手首は日常生活でよく使う部位のため、疲労がたまりやすい関節です。家事や仕事などの使いすぎで負担が重なることが原因で痛みがでます。またテニスや野球などラケットやバットを使うスポーツでも痛みがでやすい箇所です。高齢者が手をついて転倒した際に骨折しやすい部位でもあります。

日常生活から考えられる原因

1 手首を酷使したことによる疲労

家事や仕事などで手首を酷使することで疲労がたまり続けることで炎症が起きます。濡れたタオルをしぼった時やドアノブを回すような動作に痛みがでてきます。

2 転倒して手をついた時の衝撃

子どもや高齢者が転倒して手をついた際に骨折を起こすことが多いです。転倒して数時間後に腫れが強く出ている場合は骨折している場合が多く、また負傷後急激に腫れが出ている場合は血管などが損傷していることもあるので要注意です。

3 スポーツによるもの

野球やテニスなど手首の関節に強い負担や衝撃がかかるスポーツでは手首を痛めやすいため、十分なウォームアップやクールダウンが重要です。

手首の痛みをともなう疾患

1 ドゥケルバン病(狭窄性腱鞘炎)

いわゆる腱鞘炎のことで、親指を動かしたときに親指の付け根から手首の親指側にかけて痛みが出ます。腱鞘と呼ばれるトンネルとその中を通る親指を動かす筋肉の腱が擦れて炎症を起こした状態で、痛みや腫れを生じます。周産期や更年期の女性、手をよく使うスポーツや職業で多く見られます。親指と一緒に手首を小指側に曲げたときに痛みが強くなれば、ドゥケルバン病の可能性が高いです。

2 橈骨遠位端骨折(コーレス骨折・スミス骨折)

高齢女性に多い骨折の1つで、転倒して手のひらをついたときなどに、前腕の2本の骨のうちの橈骨が手首のあたりで折れる骨折です。折れた骨のずれ方により、コーレス骨折、スミス骨折と名前がつきます。手首が変形し、強い痛みと腫れが出ます。骨折に伴い、前腕のもう一方の骨である尺骨周りの損傷による手首の小指側の痛みや違和感(TFCC損傷など)、神経損傷による指や手のひらのしびれや痛み(正中神経麻痺)を生じることがあります。

3 TFCC損傷

前腕の2本の骨のうちの尺骨と手のひらの骨の間にある三角線維軟骨複合体(TFCC)が、手首のけが(橈骨遠位端骨折など)、腕を使うスポーツ(野球のバッティングやテニスなど)や日常生活(タオル絞りなど)での繰り返しの負担に伴い、損傷を受けて痛みを生じる疾患です。手首を小指側に曲げたりひねったりしたときに、手首の小指側に痛みが出ます。

4 手根管症候群

親指から薬指にかけてしびれや痛みが出たり感覚が鈍くなるほか、親指の付け根の筋肉がやせてくる(猿手変形)ため物をつまむことが難しくなります。妊娠期や更年期の女性、手をよく使う職業、透析患者などに多いと言われています。手首にある手根管というトンネルの中を通る神経(正中神経)が、様々な要因でトンネル内で圧迫され麻痺することで発症します。痛み止めやサポーターの着用などの保存療法が基本ですが、筋肉の委縮がある場合や難治例には手術を行うことがあります。

5 ガングリオン

ガングリオンとは手首や指の関節近くにできるタコ(腫瘤)のようなもので、通常は無症状ですが、押さえると痛みがある場合や、神経のそばにできると圧迫によるしびれや痛みを生じる場合があります。発生原因は不明です。腫瘤のみで無症状なら放置しても心配ないですし、自然に潰れて治ることもあります。徐々に大きくなったり痛みが出て生活に支障が出るものや、神経を圧迫しているものは治療が必要です。

6 変形性手関節症

手首の痛みや変形、動きの制限が主な症状で、中高齢者に多い疾患です。他の変形性関節症とくらべて、手首の骨折やキーンベック病、関節リウマチなどの疾患を原因として二次性に起こることが多いと言われています。治療はサポーターなどの保存療法が主ですが、効果が見られないときは関節固定術を行うことがあります。

7 舟状骨骨折

手を強くついたときに起こる手のひらの骨折で、受傷直後はレントゲンに写りにくいため単に捻挫や打撲として見逃されることがあります。ケガをしてから2~3週間経過しても痛みが続いたり手首が動かしにくくなってきた場合は、CTやMRIで精査する必要があります。骨癒合には、一般に6~12週間かかると言われていて、折れた骨が壊死したり癒合せずに関節のように動く(偽関節)場合は、手術が必要になります。

8 キーンベック病(月状骨軟化症)

手のひらの手首に近い位置にある月状骨という骨が、骨折や繰り返しの負担などが原因で、血流障害を起こし壊死してしまう疾患です。手を動かすときや使ったあとに手首に痛みを生じるほか、手首の腫れや握力の低下、動きの制限が見られます。大工など手をよく使う職業に多く見られますが、そういった職歴のない高齢女性で転倒をきっかけに発症することもあります。初期は安静やギプス固定が行われますが、進行すると手術が適用となります。

対処法

専門家に相談する

原因が特定できないまま自己判断で無理に動かすとかえって悪化してしまう恐れもあり注意が必要です。
痛みが強い場合や痛みが続く場合は我慢せず、専門家の指示を仰ぐことをおすすめします。

痛みで困っている時、適切な解決方法を教えてもらえるのでまずは相談してみましょう。

⇒【手首の痛みについて】相談できる院・施術所を見る


監修:理学療法士 門脇 章人

セルフケアでメンテナンス

前腕の筋肉を柔らかくするストレッチ


回数:10秒×10セット

STEP1:手を前方に伸ばし手の平を下に向けます。
STEP2:反対側の手で手の甲を支えます。
STEP3:手を手前に引きます。
注意点:手関節に痛みがある場合は肘を曲げても構いません。


※注意事項※
・本ページ掲載のストレッチ・運動・消炎処置(アイシングなど)を行なった際に体に異変が生じたり、強い痛みを感じた場合はすぐに中止し、専門機関に相談した上で専門医の指示に従ってください。
・本ページ掲載のストレッチ・運動・消炎処置(アイシングなど)において生じたいかなる事故・クレームに対して、弊社、監修者は一切の責任を負いかねます。


動画提供元:株式会社リハサク

前腕の筋肉を柔らかくするストレッチ


回数:10秒×10セット

STEP1:手を前方に伸ばし手の平を上に向けます。
STEP2:反対側の手で手の平を支えます。
STEP3:手を手前に引きます。
注意点:手関節に痛みがある場合は肘を曲げても構いません。


※注意事項※
・本ページ掲載のストレッチ・運動・消炎処置(アイシングなど)を行なった際に体に異変が生じたり、強い痛みを感じた場合はすぐに中止し、専門機関に相談した上で専門医の指示に従ってください。
・本ページ掲載のストレッチ・運動・消炎処置(アイシングなど)において生じたいかなる事故・クレームに対して、弊社、監修者は一切の責任を負いかねます。


動画提供元:株式会社リハサク