太ももの痛み

太ももなどの下半身の筋肉は体重を支えることや、歩く、階段の昇り降りなど日常生活のなかで必要不可欠なものです。下半身の筋肉の中でもっとも大きく膝関節の曲げ伸ばしに重要な筋が太ももについています。激しい運動や急激に力が入ることで筋が傷つき痛みがでることがあります。

日常生活から考えられる原因

1 交通事故や転倒による外傷

交通事故の強い衝撃や高齢の方で転倒などによって太ももの骨が折れてしまったりひびが入ることがあります。太ももの骨を損傷してしまうと下肢静脈血栓症など様々な合併症を発症してしまう可能性があり注意が必要です。

2 激しい運動によるもの

激しい運動によって太ももの痛みが発生スポーツを始めて間もない運動不足の方や疲労が蓄積している状況で急な運動を行う事で筋繊維が傷つき痛みがでることがあります。運動をする際は、事前にウォーミングアップで筋を温めたりストレッチで筋の柔軟性を確保する事が大切です。


3 過度な運動などによるもの

日頃からランニングなどの運動を行っている方や仕事でよく体を動かす方は、お尻の筋肉が固くなりすぎ神経を圧迫してしまうことで、太ももの裏に痛みや痺れがでることがあります。
筋肉が固くなるということは様々なケガを負いやすい状態なのでストレッチ等ケアを行いましょう。

太ももの痛みをともなう疾患

1 肉離れ

肉離れ

急激に筋肉が収縮したり、打撲などの外から強い力が加わったりすることで、筋線維が部分的に断裂した状態をいわゆる「肉ばなれ」と言い、断裂した部位に痛みを生じます。ふくらはぎ(腓腹筋)や太ももの前面(大腿四頭筋)・後面(ハムストリングス)に起こりやすいと言われています。スポーツによるものが多く、ストレッチの不足や急激なジャンプやダッシュ動作、他選手との接触が原因となります。ひどい場合は断裂した部分が凹んでしまうことがあります。


2 大腿骨骨幹部骨折

交通事故などの非常に強い力が太ももの骨(大腿骨)に加わったときに、骨折が起こります。受傷直後から、痛みや腫れのほか、立ち上がったり歩行ができなくなります。またかなりの出血があるため、血圧低下やショックなどの全身症状への注意が必要です。外傷の機会の多い青・壮年に多いですが、小児にも少なくないと言われています。

3 変形性股関節症をはじめとする股関節の疾患

変形性股関節症をはじめとする股関節の疾患によって太ももに痛みが出る場合も

股関節疾患(変形性股関節症、先天性股関節脱臼など)に現れる症状の1つとして、股関節から太ももにかけての痛みやだるさを生じる場合が多くあります。特に小児に多い疾患(ペルテス病、大腿骨頭すべり症など)では、太もものみに痛みを生じることがあり、股関節疾患を見逃して治療が遅れてしまうこともあるため注意が必要です。

4 梨状筋症候群(坐骨神経麻痺)

お尻の奥にある筋群(梨状筋など)の使い過ぎによって、その間を通る坐骨神経が圧迫されることで、お尻や太ももの裏側からふくらはぎにかけて広がるようなしびれや痛み(坐骨神経痛)を生じる疾患です。ランニングやマラソンなど股関節を繰り返し動かしているときや運動後に発症します。仰向けになって膝を伸ばしたまま脚を持ち上げていくと、症状が強くなります。梨状筋などのお尻の奥の筋肉をストレッチすることが有効ですが、難治例では手術をしたり、腰部椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症を併発している場合があります。

5 腰椎椎間板ヘルニア・腰部脊柱管狭窄症

腰の疾患に現れる症状の1つとして、太ももの裏側に痛みやしびれを生じる場合が多くあります。


○腰椎椎間板ヘルニア→背骨をつなぎクッションの役割をする椎間板の一部が、加齢やスポーツなどが原因で飛び出てしまうことで、神経を圧迫し腰やお尻、脚の痛みやしびれ(坐骨神経痛)を引き起こします。痛みを和らげるために側弯症がおこる場合があります。10~60歳代の幅広い年代で発症し、発生する部位によって筋力が低下して動きがぎこちなくなったり感覚が鈍くなることがあります。ぎっくり腰などに伴って症状が急激に生じる場合と、慢性的に同じ姿勢をとり続けるなどして徐々に発症する場合があります。


○腰部脊柱管狭窄症→加齢やケガによる背骨の変形(変形性脊椎症、腰椎分離症・分離すべり症など)が原因で、背骨の中を通る神経が骨や筋肉など周囲の組織によって圧迫され、両側もしくは片側のお尻や脚にしびれや痛み(坐骨神経痛)を生じます。また最も特徴的な症状として「神経性間欠跛行」というものがあり、長時間歩くと症状がひどくなりますが、姿勢を変えてしばらく休むと症状がなくなり再び歩くことができます。薬やブロック注射、サポーター着用などの保存療法が第一選択ですが、症状が長期にわたって改善しない場合は手術が適用されることもあります。

対処法

専門家に相談する

原因が特定できないまま自己判断で無理に動かすとかえって悪化してしまう恐れもあり注意が必要です。
痛みが強い場合や痛みが続く場合は我慢せず、専門家の指示を仰ぐことをおすすめします。

痛みで困っている時、適切な解決方法を教えてもらえるのでまずは相談してみましょう。

⇒【太ももの痛みについて】相談できる院・施術所を見る


監修:理学療法士 門脇 章人

セルフケアでメンテナンス

もも前の筋肉を柔らかくするストレッチ


回数:10秒×10セット

STEP1:足首を持ちます。
STEP2:掴んだ足を後方へ引っ張ります。
注意点:股関節が開かないように注意してください。腰を反らないように注意してください。


※注意事項※
・本ページ掲載のストレッチ・運動・消炎処置(アイシングなど)を行なった際に体に異変が生じたり、強い痛みを感じた場合はすぐに中止し、専門機関に相談した上で専門医の指示に従ってください。
・本ページ掲載のストレッチ・運動・消炎処置(アイシングなど)において生じたいかなる事故・クレームに対して、弊社、監修者は一切の責任を負いかねます。


動画提供元:株式会社リハサク

太もも裏の筋肉を柔らかくするストレッチ


回数:10秒×10セット

STEP1:椅子に座り、片脚を前に出します。
STEP2:上体を真っ直ぐにし、体を前へ倒します。太ももの後ろが伸びた状態を維持します。
STEP3:元の姿勢に戻ります。
注意点:腰を丸めないように注意してください。


※注意事項※
・本ページ掲載のストレッチ・運動・消炎処置(アイシングなど)を行なった際に体に異変が生じたり、強い痛みを感じた場合はすぐに中止し、専門機関に相談した上で専門医の指示に従ってください。
・本ページ掲載のストレッチ・運動・消炎処置(アイシングなど)において生じたいかなる事故・クレームに対して、弊社、監修者は一切の責任を負いかねます。


動画提供元:株式会社リハサク